かいせん(line)

たくひあい@あい生成

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Commentary

「スマァァーッシュ!」

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「スマァァーッシュ!」

ガコン、と小気味いい音が響いて
ボールが的に当たる。
賑やかな音楽とともに穴に吸い込まれていくのを見届けてから、橋引は得意げにVサインをした。

「どう? 色ちゃん、見てた?」
ラケットを手にした橋引が色を見ると、彼も微笑ましそうに笑う。
「凄いね」

 此処は、近くにあったカジュアルレストラン。


レトロで落ち着いた店内だが、何故か店の端にゴールデン☆スマッシュという
的あてアーケードゲームが設置されている。
金曜日限定で、スマッシュが入ると割引らしいので、皆で挑戦してみたのだが……これが難しい。


「このラケット、重くね!?」
俺がゼェハァと呼吸を乱している横で、橋引は「そう?」と不思議そうである。

今、画面には全国ランキングが表示されており、橋引は56位にランクインしていた。

「お客様おめでとう! こちら、景品と……ハッピーフライデー割引です!」

エプロン姿の店員が出てきて、橋引に何やら小さな小包を手渡す。
「わぁ、ありがとうございます!」

喜んでいる橋引を、色が嬉しそうに眺めている。
なんだか親子みたいだ。



 それより早く食べないと。次はバスに乗って空港に向かう。
猶予はあと二時間くらいだ。
そんなときに、ちょうど携帯に着信が掛かって来る。

「ちょっと、悪い」


俺は、橋引に断りを入れ、店から出ると上着のポケットから端末を取り出して応答した。


「はい」
『ウワアアアアアアアア!! 俺は騙されていたのか!? 一緒になってくれるって言ったのに、皆の為にやって来たのに、彼女にも裏切られて俺は一人で、皆の為なのに……』
「晶?」


何事だろう、なんだか鬼気迫る様子の晶が暴れている音声が聞こえている。
ややあって、菊さんの声。

『みんなの為に、情報収集とかやって来たのにその事で周囲から距離を置かれ、ずっと一緒だと思っていた女にも逃げられている晶の様子だ』

「――――」

これは、また。受取り方が難しい。
えぇ……
どうせ、いつものように「何もかも自分に都合よく捉えすぎて」周りが見えてないんじゃないか、というのが俺の第一印象だったのだが、そのまま伝えても晶が余計に怒りそうな気がする。
(あの人、現社長としか分かり合えないんじゃないか)


「み、みんなの為に、や、やってきたのに。大変だな」

『やめて!』
撫子のか細い声が上がっている。後ろで『俺は利用されただけだったのか!!』と発狂している声。
『なぁ、お前ら、今何処に居る?』
「あー……ちょっと、そこから、4、5時間くらいかかりますね」


『なぁ、飯島あぁ!! 俺は、間違って居たのか!?』



ブチッと通話が遮断される音がして、静かになる。


入口付近、隅の方でしばらくメニューを眺めていたまつりがきょとんと俺の方を見た。

「……。とりあえず、なんか食うか」


2025/10/2413:32
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