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第51話 監督と剪定
しおりを挟む俺は建築組合の門をくぐると、顔付きを引き締め直し受付へと向かっていたのだ。
受付に行くと、可愛らしい女性が対応してくれ、直ぐに今居る幹部と会見出来る
様にして欲しいと頼んでのだ。そうすると受付の女性は、「幹部の方々と直ぐに
会見するのは難しいです。それならば、直ぐに会える棟梁監督とお話をして見て
はどうでしょうか?」と言って来たので、俺はその棟梁監督との話し合いをした
いと伝えたのだ。
応接室で待つ事30分位が経った時に、棟梁監督が応接室に遣って来たのだった。
「お待たせして申し訳ありませんな。今日はどの様な用件で、此方に起こしにな
ったんでしょうか?」
棟梁監督も暇では無さそうで、直ぐに用件を訊いて来たのだ。
「この度、此方に赴いた用件はですね。壊滅した村と新しく建てる集落の建物と
外壁を此方の職人の方々に作って貰いたくて、此方の組合に依頼をしに来まし
た。」
「壊滅した村と言うと、北部にある川辺のベールプコヴァールト村ですよね?
あそこは、まだ魔獣が居座ってると訊いてますが、そこに我々を派遣して
村の外壁や建物を建てろと言うのですか?」
俺は静かに棟梁監督の問いに頷くと。
「馬鹿もやすみやすみ言って下さい。そんな危険な場所に我々が赴く事は出来ない
魔獣はグレーウルフやシージャッカルが出ると言う噂じゃないですか!何故その
様な危険な場所に、我々が行かないと悪いんですか!」
現地の人間の間では、シーランド・ジャッカルの事を略して、シー・ジャッカルと
呼んでいる人も居るのだ。
「大工職人や左官職人だけで、現地で仕事をして貰うならば、無理を言っていると
自覚はしますが、私達が職人の方々を守ります。それを信用して貰い、仕事をし
て頂きたいのです。私が若造で、貴方達を守る実力があるのかと思うでしょうが
私達には、此れがあります。」
俺は、そう言うと目の前の机に、シーランド銃を置き、棟梁監督に見せたのだが、
棟梁監督は、シーランド銃の事を知らないので、銃を見せてもそれが何かと言う
事が解らずにいたのだ。棟梁監督は明らかに嫌な顔を見せていた。
「そんな鉄の棒がどうしたと言うんですか?相手は魔獣ですよ!解ってるんですか
そんな棒で叩いていたら、我々は直ぐに魔獣のお腹の中に入ってしまうのです!
冗談も程ほどにして貰いたいですな!」
話しても埒があかない事は、今までの会話で明らかだったので、俺は組合の中庭で
この棒の使い道を見せる事にした。俺達で作り上げた銃を棒呼ばわりして
くれたからには、銃の素晴らしさを身に沁みるまで堪能して貰おうかな!
俺も少しだけだが、眉間の繭が痙攣していたが、それを解らせない様にして、中庭
に赴いたのだった。中庭に出ると棟梁監督は、シーランド銃を見ているのだが、
まだ棟梁監督には、此れが何なのかが解って居なかったので、仕方が無かったのだ。
「それでは、この1ベルクを空に投げて貰えますかね?それも高く投げて貰っても
俺は全然構いませんよ!」
そう棟梁監督に言うと、直ぐに棟梁監督は1ベルクを空高く投げたのだった。
「バァーン!!!」
10秒後
「バァーン!!!」
チャリン
1ベルク硬貨が地面に落ちて、良い音を奏でていた。
そして硬貨を拾い上げると、棟梁監督に見せたのだ!
「穴が2つも開いている!?こんな小さな硬貨を空の上で、2回も撃ち抜いたと
言う事なのか?信じられない、此れは夢でも観ているのではないのだろうか
もしも夢ならば、早く夢から覚めたいものだ。」
俺達が作り上げたシーランド銃の性能は、此れで棟梁監督にも解って貰えたと
俺は信じている。だが、此れだけでは納得しない様ならば、静と秋に町で作れ
るか解らないが、例の物を頼んでいたから、あの物を見せれば棟梁監督も納得
すると思う!
「その棒は、いったい何なのですかな?大砲....いや大砲より小さい、そして
狙った場所に正確に撃てている事を見ると、大砲より正確な射撃が出来て
いると言う事だな!こんな物は今まで見た事も訊いたこともない!」
棟梁監督が興奮しながら、俺に色々な質問をして来ていたが、俺は聴こえない
ふりをしながら、続けて中庭に生えている木の枝を打ち抜いて行ったのだ。
「此処の木は、少々手入れがされてない様ですね。良いでしょう私が綺麗にして
差し上げましょう!」
そう言うと俺は、一番遠い木の枝に向かって、シーランド銃を撃ち続けたのだ。
太い枝も細い枝も全ての枝が、木から無くなるまで俺は撃ち続けた結果、その
木は見るも無残な木になっていたのだ。枝と言うと天辺の付近に、申し訳無さ
そうに、少量だけが残された状態だった。
「いやはや、私とした事が全ての枝を落としてしまいました。もっと綺麗にする
だけだったのですが、失敗失敗......あはははは」
「あの木は、組合の支部を建てる時に植えた思い出の木なのに、支部長が見たら
どうなってしまうんだ。俺が怒られてしまうじゃないか!」
「今なんと言いました?大切な木!?へっ!」
俺が調子にのって、シーランド銃で剪定《せんてい》した木は、組合の支部が
出た時に植えた思い出の木だとかで、支部長が大切にしているようだ......
どうしたら良いだろうかな?
2人は狼狽していると、中庭に1人の初老の男性紳士が遣って来たのだった。
男性の格好は、剪定職人と言った風貌で、手には梯子に剪定鋏と肩にはロープを
かけている姿だったのだ。木を見た初老の男性は、口を開けたままの状態を続け
た後に口にした言葉がこれであった。
「なんじゃ~こりゃ~!」
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