戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第95話 帝国貴族と私設海軍

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宿屋の前での騒動も、沈静化されていたのだが、ある一角だけ
では、未だに抵抗を見せていたのだ。その一角を見ると、両腕
が無くなってしまった傭兵隊長を部下が、身を挺して庇って居
たおかげで、なだ傭兵隊長は生きていたのだった。

「隊長、もう残り人数も少ない!早く撤退しましょう!」

「腕が....腕が.....」

「駄目だ!俺達だけで撤退を指揮するしかない!予定通りの場所
まで撤退するぞ!」

「おう!お前の分隊は、後何人くらい生き残っている?」

「俺の分隊は5人って所だな!」

「そうか!俺の分隊も同じ位だ!この人数で、逃げ切れるか解らん
が、遣るだけの事は遣ろうじゃねか!」

「そうだな!遣ってやろう」

傭兵隊長の部下の分隊長2人は、残された部下達を纏めると直ぐに、
東の海岸を目指して撤退を開始していたのだった。だが、騎士団の
追撃は甘くは無く、次々に1人、また1人と、人数を減らして行き
東の海岸に辿り着く頃には、傭兵隊長の他には、分隊長1人だけに
なっていた。

そして、ヴィルフリート男爵と甥のレオンを入れても、全部で4人
しか、此処まで辿り着けていなかったのだ。それだけ、格騎士団の
追撃は苛烈を極めたのだった!

「一体、何でこうなってしまったのだ。儂が何か間違って居たとで
も言うのか?儂は何も間違った事はしてないぞ!帝国から逃げて来
て、やっと権力を手に入れたと思った矢先に、こんな事になろうな
るとは、帝国貴族として生きていたのに、権力争いに敗れて亡命し
て、早30年は過ぎている。その間に商人として成功したが、やはり
貴族として行きたいと、王国の王弟派に媚を売り、爵位を手に入れ
たのに、何でこんな事になるんだ!」

「叔父上、落ち着いてください!頭を抱え込んで落ち込まないで
下さい。叔父上は、帝国貴族の侯爵家の長子ではないですか!
帝国では、準貴族など貴族と見る者はいません!準男爵や準士爵
を殺したとしても罪にはなりません!だって相手は平民なのです
よ!叔父上の行いは何も間違っていません!」

帝国では、貴族以外の人間は、人間として扱われないのが常日頃
からの帝国での日常なのだった。そんな環境で貴族として育って
いたヴィルフリート男爵は、王国に亡命してからも、帝国貴族と
して生きていたのだった。

デュリンケン帝国と言う国は、人を人と思わない者達が集まり
国を形成していたのだ。そんな国の貴族として生まれ育ったの
であれば、それを何処でも通そうとして、余計な摩擦を起こし
そして、罰せられる。

これも自然の成り行きであった。貴族が貴族であろうとした
だけの話なのだ。だから、デュリンケン帝国でも王国でも、
無理を通そうとすれば、破滅が待っているだけだった。

アイリ殿!ご無事で何よりです!あの貴族達を追い詰めたものの
今一歩の所で取り逃がしてしまいました。申し訳ありません!

「ヴィクトル副団長殿、そんな、私に謝らないで下さい!
ヴィクトル殿は、良く遣ってくれていました。それなのに
私に謝られると、私の立場がありませんわ!」

そうですね!アイリ殿の事を思えば、私が謝罪する事でアイリ殿
が、失敗をした事になってしまいますな!これはこれで、成功な
のですから、私が謝る場面ではなかったです!申し訳ないです!

「ですから.....ヴィクトル殿!」

そうでしたな!

「所で、あの貴族達は一体何処に逃げたのですか?」

部下達の追跡の結果、東の海岸に逃げ込み、そこで防御陣地を
築き、援軍の到着を待っていると見られますな!

「そうですか!援軍など待っても来ないと言うのに、何とも悲しい
人達でしょうね!今頃は、シーランド私設海軍に援軍は叩かれてい
る頃でしょうね!」

アイリ殿の言う通りですな!あの貴族にも引導を渡して遣りましょう!
お2人には、このシーランド銃と言う物を使って下さい。使い方は現地
で説明します。

「これが、お母様が言っていたシーランド銃と言う物ですか!?こんな
鉄の筒なのに、人を傷つける事が出来る武器なのですね?」

「姉上!母上が言っておられた様に、見かけで判断しては行けません!
大砲だって登場した当時は、大砲の威力を知らない者達が馬鹿にしてま
したが、威力が解ると人々は大砲に対して、畏怖と尊敬の目を向ける様
なったんですよ!」

「そうねエルナ!貴女の言う通りですわね!見た目で判断していると
あの貴族達の様になりますわね!シーランド銃の説明は、現地に付いて
から受けましょうねエルナ」

「.......はい.......」

エルナは返事をしたのだが、顔は何処を向いているのか解らず、明後日
の方向を向いて返事をしていたのだ。立派な事を言ったのに、当のエルナ
は、剣以外の武器の使用は極端に嫌っていたのだ。だからエルナは嫌な顔
をアイリに向けていた。

その頃、シーランド本島の沖合い50㌔の地点では、艦隊同士の戦いが火蓋
を切ろうとしていたのだ!

「よぉ~~し!野郎共!まだ死んだ奴は居ねだろな?」

《提督、まだ戦いは始めってませんぜぇ!がっはははは!》

「此れまでの海賊船艦隊と同じで、敵をスピードで圧倒してしまい、
弾を当てたら逃げる、弾を当てたら逃げるを繰り返す!そして、止め
は格好良く白兵戦で決めるぞ!」

《へい!》

シーランド私設海軍は、海賊艦隊との戦いを幾度と無く繰り返して居る
王国でも実戦経験豊富な海軍であった!

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