戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第99話 艦隊強化と花道

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ジャック提督は、海兵達に白兵戦の準備をさせていた。何故ならば
この敵船である戦闘用キャラベルを拿捕し、持ち帰って修理をすれ
ば、また艦隊の予備の戦力として使えるからである!

ジャック提督は、此れまでに海賊の船を拿捕しては、造船所・ガレアス
に売り払って、シーランド私設艦隊の維持費に充てていたが、辺境伯に
頼み込みようやく、念願であった海兵訓練所を創設してシーランド私設
海軍の増強が出来る見込みが出来たのである!

ジャック提督は、この戦いが終わったら、海兵訓練所の訓練所の所長兼
教官として着任する事になっていた。そんなジャックを助けるかの如く
イデオン艦長もシーランド私設海軍の一線を退き、ジャックと共に訓練
所で教官を務める事にしていたのだ。

2人は、長年の問題である補充兵問題に悩み続けて居たのだ。それを
解決するには、人材を育てる機関が必要だと判断したのである!そんな
2人が願った私設が、もう直ぐ手に入ると思うと、2人は心踊る気持ち
であった。

シーランド私設海軍では、負傷しながらでも艦隊に残り、戦い続けてい
る者達が、少なからず居るのだが、その者達も好きで残って居る訳では
無く家族を養う為に私設艦隊で働いていたのだ。

此れまでの戦闘で、手を無くした者や、足を無くした者は、大勢いたが
その多くは戦場で死んでいった。だが、生き残った者達も居るのだった
そんな彼等をジャック提督は、楽にして遣りたいと言う気持ちでも居た!

船には、色々な持ち場がある!操舵する者・大砲を撃つ者・帆を操作す
る者・羅針盤を使う者・食事を作る者・掃除をする者・色々な仕事が船
にはあるが、そんな中で1番の負傷者を出す持ち場があったのだ。それ
は、オールを漕ぐ者達である!

彼等は、オールを漕がなくなれば、海兵へと変身するのだ。そして、
敵船に乗り込み戦うのだから、1番の負傷者が出るのも頷けるはずだ。

海兵を救うには、海兵を育てる事だ。ジャック提督は何時も言っている
言葉である。今現在居る海兵を亡くせば、補充をするのが難しくなるし
補充が出来なければ、今居る人数だけで戦う羽目になるのだ。

だから、ジャック提督は、
周囲の者達に言って回ったのである!

バーバリアンガレー級が、敵船である戦闘用キャラックに接舷すると、
直ぐにジャック提督は、フック付き梯子を敵船に架ける様に命じたので
あった。フック付き梯子と言うのは、読んで字の如しである!

梯子の先にフックが取り付けられており、1度架けると梯子を外すのに
ハンマーでガレー側から叩いて上に押し上げないと外れない程に、フック
が敵船の淵に食い込む仕掛けになっているのだ。

海兵が敵船に乗り込む間は、ガレー船の帆に上がって弓を構えている者達
が居たのだ。それは、帆を操る事に長けた者達である!この者達は、何時
も帆先等に立ち仕事をしているので、足場が細くても問題なく弓を射る事
が出来たのである!

弓の援護を受けた海兵達は、妨害と言う妨害を受けないままに、敵船に
乗り込むと、直ぐに敵船の船長や副長と言った主要な乗組員を探したの
だった。何故かと言うと、敵の船長に降伏させれば、船での戦闘は終わ
りを迎えるからである!

海兵達に混ざり、ジャック提督とイデオン艦長の他に、海兵長・砲術長
等のバーバリアンガレーの主要な乗組員が、敵船に乗り込んで居たのだ
彼等は、今回の戦いで格艦隊に散らばって居たのだが、ジャック提督の
一声で、旗艦であるヴァンハネンに配置換えをさせられたのであった。

この4人は、各艦の艦長を勤めていた者達で、イデオンは軽ガレオン・
ヴァタネンの艦長を務めて居たのは記憶に新だろう!その他の者達はと
言うと、海兵長に配置転換されたハンネスは、軽ガレオン・リッサネン
の艦長だった。そして、砲術長に配置転換されたシモは、軽ガレオン・
クルヴィネンの艦長であったのだ。

格艦の副長であった者に船を託しての、配置転換であったのだが、これ
には事情があったのだ。それぞれがジャック提督が目指す場所に行きた
いと考えており、それぞれの副長には、今までの経験を全て教えていた
ので、あっさりと引継ぎもできたのである。

そして、元艦長達には最後の花道が用意されたのであった!

「がっはははは!腕が鈍ってなければ良いのですが、もう数年間は
軽ガレオンで楽をさせて貰って居ましたからな!」

そう言っているのは、海兵長であるハンネスであった!

「ハンネスの言う通りだな!もう数年間は楽な軽ガレオン勤めを
していたから、白兵戦など久しぶり過ぎて出来るか解らんな!」

砲術長であるシモも、ハンネスと同じ様に白兵戦が久しぶりだと
言っているが、2人を見るにヤル気をみなぎらせて居る様子である!

「そろそろ、敵からの反撃が来るぞ!総員、防御体制を取れ!」

ジャック提督は、経験から来る感を信じて、皆に注意を促したのだ!
その直感が当たったかの如く、敵からの矢が放たれて飛んで来ていた
のだった。

「敵さんは歓迎委員会を作って、俺達を歓迎してくれてる様だな!」

シモが嬉しそうに言うと、盾を片手に手斧を持って突撃して行った
のであった!

「敵船の艦長は出て来い!俺と一騎打ちだぁ!」

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