戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第115話 狩りの後の食事と水揚げ場

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俺達は、シーランド・シェーヴルを荷台に積み込み、帰り仕度を
進めたのだった。町に帰る為には、狩りで仕留めたシー・シェー
ヴルを荷台に、隙間無く積み込まないとならず。慣れない作業で
俺は、アントンに聞きながら作業を進めたのだった!

アントンは、農業を主体とした、村の出身であり、荷台に何かを
積み込むなどは、朝飯前だったのだ。イーナもアントンを手伝い
綺麗にシー・シェーヴルを荷台に並べて積み込みをしていた。

この2人は、傍から見たら、息もぴったり合っているし、お似合い
のカップルと言う物なんだろう!他の者から見たら、俺や芳乃に
静に秋も、傍から見たらお似合いのカップルに、映るのかも知れ
ないな?

「好成さん、ぼっーっと見てないで、そこに置いているシー・
シェーヴルを荷台に上げてくださいよ!1人では重たいんですから
ちゃんと手伝って下さい!」

アントンから、俺はお叱りを受けてしまったのだった。

ようやくシー・シェーヴルを全部、ニーロ達が引く二台に積み込む
と、テントや調理道具などの片付けを始めたのだった。片付け終わ
った時に、1つの問題が生じていたのだ!

それは......

テントや調理道具などの荷物が、荷台に乗り切れなかったのだ!
コレには全員が、頭を悩ませる事になったのだ。

「アントン!テントと調理道具は、持って帰るとして、他の荷物を
どうにかしましょうよ!」

イーナがアントンに、残りの食料や水を処分すれば、何とかなると
言ってるのだが、ニーロの足で半日の距離なのに、水や食料を全部
食べてしまうのは、少し不安が残ったのだが、イーナの提案しか今
は問題を解決する手立てが無く、不安に感じながらも食料を全て食
べたのだった。

「このチーズは焼いてパンに載せると、凄く美味いよ!イーナも
食べて見て御覧よ!」

そんな感じに、2人は何故か、短期間の間に仲が凄く良くなっている
のだが、この2人に一体何があったのかは、俺には解らなかった!

俺は、1人で黙々と食事を取っていたのだが、流石に1人で黙々と食べ
るのは味気なく、2人の邪魔をしたくなかったが、2人の会話に入って
行ったのだった!

ところで、最近2人は何でそんなに、仲睦まじいくなったんだ?
この前までは、そんなに話す事も無かったのに、急に2人で寄り
添いだしたし、一体どんな心境の変化があったんだ?

いらないお節介な事を訊くのは、野暮と言うものだが、俺は好奇心
に負けてしまい、2人に仲睦まじくなった訳を聴いたのだった!

そうすると、2人は挙動不審な動きをしながら、俺に顔を真っ赤に
した顔を向けると、唐突に話し出したのだった!

「イーナの仕事を見ていると、やっぱり結婚するならば、この人
しか居ないと思って、あの話し合いの後からボクは、イーナに
猛烈にアタックしたんです!」

猛烈にアタック?アタックって何だ?

「あっ!好成さん、つまりイーナを口説き落としたと言う意味
なんです!解りました?」

俺は、いまいち理解してなかったが、日本人の差がなのか、曖昧
な表現で相槌を打ったのだった!

「この人がね、私の事を好き好き、毎日煩い位に言ってくるもん
だから、私もね......アントンの事を異性として、ちゃんと見る事
で、アントンの良さが見えてきたんです!」

イーナの話は長かったので、重要な点だけ訊いて、後は適当に俺
は頷いて居ただけだった!イーナの話は、もう惚気話でしかなく
訊いてる俺の方が、顔を真っ赤にしそうになるくらいだった。

俺も人の事は言えないが、イーナ程は惚気てはいないと自負して
いる!この2人の話を纏めると、こうなる訳だな!

アントンは、あの話し合いのあとから、イーナに思いを伝え続け
その気持ちに、イーナは気が付き、2人は相思相愛になったと、
簡単に纏めると、こう言う事を2人は言いたかったのだろう!

焼きチーズをパンに挟むと、口一杯にパンを頬張りながら俺は、
2人の経緯を簡単に纏めたのだった。

残りの食料も粗方食べ尽くしてしまい、残りの荷台に乗らない荷物
は、全て処分してしまったのだ。処分した物っと言っても、折り畳
が出来る椅子や折り畳みが出来るテーブルなどの直ぐに買い直せる
物ばかりであった。破棄したと芳乃に知れたら、確実に勿体無いと
言われるであろうが、今回は仕方がない!御者台にも荷物は一杯に
載せているのに、まだ載せる物があり、それらが載らないのだから
破棄するしかないのだ。

そうして、俺達は町に帰り始めたのだった。

町に戻ると、直ぐにユニオンのに、毛皮職人組合ではなく、水揚げ場
に向かったのだった。毛皮にしているならば毛皮職人組合でも良かった
のだが、加工もしてないままで、そのままでの取引は毛皮職人組合では
していなかったのだ。

水揚げ場に向かうと、直ぐに受付の者にダーンから預かっているユニオ
ンの手形を見せると、直ぐに手続きをしてくれたのだった。始めて此処
に来た時に、ダーンと一緒に受付の者と会ってたおかげで、別に咎めら
れる事はないまま、受付を終えたのだった!

「競りは明日の朝にするから、代金は明日の午後に取りに来てもらえる
かな?此の手形を代金換金所に見せれば、獲物が売った代金と交換して
くれるからな!無くさない様に気を付けてくれよな!」

受付の者は、そう言うと忙しそうに次の人の相手をしていたのだった。

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