異世界管理を拳で!~ラノベのラの字も知らないまじめな不良が異世界に転生したら~

310番

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一日目

 異世界初の景色は洞窟だった。俺は頑丈そうな皮の服に身を包んでいた。目の前に置かれたバックパックには薬草セット、巾着に入った銅貨銀貨金貨が10枚ずつ、地図、干し肉、塩、水の入った容器が入っていた。地図には現在地と赤い点が書かれていた。これも神様のはからいであろう。銅貨は100円、銀貨は1000円、金貨は10000円ほどの価値があるらしい。薬草やら効果の知識が分かったのは神様がくれた知識のおかげだ。ちなみにこのかばん100㎏までは重さも感じずいくらでも入るらしい。日本で持ってたら、引っ越し業者として大成できたな。

 「とりあえず村に行くかなー。あ、でも極撃ってやつをやってみるか。」

 神様の知識曰く、頭の中でつぶやき正拳突をするとできるらしい。なので、洞窟の人ほどの大きさある岩に向かって殴ってみた。拳再生するし岩殴ってもいいべ、と安易な考えからである。

 「よし、この岩を壊そう。(極撃)」

 シュッ!ドッゴーーーーーン!!!!!!

 「え!?ええええええ!?!?!?」

 拳が触れたとたん岩が砂になった。

 「・・・こ、これは回数制限必要だわ、強すぎる。こんなの人に見せられないな……」

 拳は極撃の威力に困惑しつつもいろいろと納得したらしい。そして、人前で見せないことと鍛錬のためにも極力使わないことを誓った。

 「よし、村に向かうか。えーと地図で一番近い村はっと、第一剣村ね。ここで探索者になって日銭を稼ぐと。」

 むろん探索者の存在を知ったのは、神様の知識によるものである。傭兵兼トレジャーハンター的な者らしい。
 拳は村へ向かって歩みを始めた。洞窟を出たとき拳は驚いた。そう、道路はなく見渡す限りの自然だったのだ。

 「うわー、ここで野宿は勘弁だな~。村に着かない場合は避けられないだろうけど。」

 そして拳は村にむかって足早に歩み始めた。

 歩き始めて1時間ほどたったときである

 ガサガサガサガサ

 「(何かくる?)」

 グモオオオオオーーーーーーーーーーー!!!

 草むらからイノシシが飛び出してきた!
 拳はとっさに身構えた。危険に対してとっさに対応できるのも喧嘩に明け暮れた日々の産物であった。

 「ハァーーーーーーー!!!」

 拳が拳を振るおうとしたとき草むらから人が飛び出てきた。拳はとっさに拳を止めた。見ず知らずの人を攻撃する趣味など拳にはないのである。
 その人物はイノシシを見つけると同時に剣で胴体を両断した。

 「ふぅこれで今日の飯に困らんな。ん?おぬし誰だ?」

 初の異世界人との会話であった。

 「えーと旅人です」

 もちろん拳は、管理者であることをばらす気はない。

 「旅人がなんで村道ではなくこんな奥地に?もしかして迷ったか?」
 「ま、まぁそんなところです。」
 「そうかそうかでは一緒に来るか?儂も村に戻るところじゃし。」
 「あっ、是非お願いします。」

 拳は人見知りもしなければ、人を疑うことをあまり知らない。あ、今回は別に何も起きないのだが。

 「承知した。ではついてまいれ。」

 拳は男の人についていった。ちなみにこの異世界日本と言語も文字もほぼ変わりない。考えても見てほしい。なぜ前世の知識があるのに違う言葉の世界に飛ばされるというのか。不便極まりない。故に神は、拳を似た言語の世界に飛ばしたのだ。

 見た目も日本人のような黒髪黒目は普通に存在する。なので、拳が浮くことはない。
 因みに拳の見た目であるが、平均的な顔立ちで小顔、身長は175㎝の細マッチョである。


「そなた名をなんともうす?某はベンケンと申す」
「あっ、拳です。」
「ほう、武器と同じ名かよい名であるな」

 剣ではなく拳なのだか・・・ただ、おれはその人に指摘することができなかった。ぶっちゃけビビっていた。
 ベンケンさんの見た目は武蔵坊弁慶のそれであった。腰には3本の剣、服装なんてまさにそれである。

 「だが、おぬし武器を持っとらんな。丸腰で森に入るとは魔物にあったらどうするんじゃ?」
 「なんですかそれ?」
 「魔物を知らぬとは。もしかして箱入り息子だったか?」

 まじか!この世界魔物でるのか!会いたい!てか、なんで神様それ隠してたんだ。笑
 
 拳は知らないのはさすがに不自然だと思い冗談ということにして何とか話を逃すこととした。

 「で、なんで武器持っとらんのじゃ?」
 「俺は拳で戦うんですよ。」
 「お主、拳県の出身であったか。それでは結構遠いところから来たのじゃな。ということは剣ではなく拳がおぬしの名かの?」

 この国は武国といい、戦い方にちなんだ名の都道府県で構成されている。ちなみに今いるのは剣県である。

 「はい、そうです。ただ、出身は拳県ではないんです。まあ、秘密ということで。」
 「うむ、詮索はせんから安心してくれ。」

 この人、めっちゃいい人や、と拳は勝手に感動していた。

 そんなこんなで世間話をしながらベンケンさんから森にでる魔物のことを聞きながら村へ向かった。どうやら大蜥蜴、小鬼、火狐あたりがこの森の魔物らしい。

 ガサガサッ

 「ぬ?」
 「グギギギ」

 近くの茂みで音がした。そこで見たことない生物をみた。小さな顔につぶれた鼻顔面は蒼白、頭に小さな一本の角140程度の身長。もしかしてこれが小鬼か?

 「お、小鬼か。そうじゃ拳殿、わしは素手での戦いを見たことがない良ければ見せてくれんか?」

 おお、やっぱりあれが小鬼か。て、ええええええ???まじか、俺魔物と戦ったことねえよ、どうしよう。でも戦いたい感はある。

 「あのー僕未熟なのでピンチになったら助けてくれます?」
 「承知した。」

 よし、じゃあ頑張ってみますか。
 
正直、拳はやりたくてしょうがなかった。やはり魔物とも戦ってみたかったのだ。そして、両雄?は茂みで相まみえた

 「グギギ」
 「どうした!かかってこい!」
 「グギャー!」

 小鬼は雄たけびを上げながら拳に突進してきた

 「へっ、そんなスピードじゃあ俺には当たらん」

 拳は素早いフットワークで小鬼の突進を交わすと同時にリバーブローをお見舞いした。

 「グギー!!!」
 当たると同時に小鬼は苦しそうに倒れるも、すぐに立ち上がり今度は拳との距離をとった。

 「おいおいもうビビってんのか?じゃあ今度はこっちから行かせてもうらうかな」

 シュッ、パンパン、ドゴッ!

 拳はそういうと小鬼に向かって一直線に駆け寄ると素早くワンツーを小鬼の顔面にヒットそして、小鬼がよろけたところでアッパーを顎にお見舞いした。
 くらった小鬼はふらふらとし、そのまま顔から地面に倒れた。

 ふー、なんとかなったかな?

 「ベンケンさんどうですか?」
 「拳殿、まだ終わっておらんぞ!」
 「え?」

 ザシュ!
 
 拳の後ろで飛びかかってきた小鬼の首が飛んだ。

 「完全に仕留めるまで気を抜いてはいけませんな。しかし、見事なり!なるほど足をうまく使い敵を倒すとはすばらしい技術をお持ちであるな!」

 ベンケンは小鬼にとどめを刺しながら拳をたたえた

 「え?殺しちゃったんですか?」
 「当り前じゃ、人を一度でも襲った魔物はまた人を襲うではないか。であれば速やかに駆除しなければ。」

 それも、そうか。納得。どうやら俺の認識は甘かったらしい。

 「そうですよね、アハハ。」
 「うむ。しかし、ほんとに見事であった。それと、わしの知る拳闘士の戦いとはちと違ったように感じたが、特別な師でもいるのかの?」

 因みに拳はボクシングが大好きで戦い方はボクサーを意識している。

 「ええと、師匠はいません。俺はほかの戦い方を知らないのですが、他の拳闘士の方はどのように戦くのでしょうか。」
 「そうじゃな技や術で敵をけん制しつつ、身体強化で決めるという感じかの。また、おぬしのようにすでのみというのは珍しい。大抵は籠手を付けとるの。」
 
 ほうほう、身体強化は覚えたいところだな。籠手は極撃との相性が悪いが、人がいて極撃が使えないときに備えて確保しておきたいな。

 「そうなんですね、僕は田舎出身で身近に術を使える人がいなかったのでこうなったのかもしれません。」
 「なるほどそうであったか、しかし、術に頼らんとは勇ましいことであると思うぞ。わっははー。じゃあ小鬼の角を持ち帰るかの。」

 そういうと、ベンケンは小鬼の角を切り取り、拳に渡した。

 「え?僕がもらっていいんですか?」
 「ワハハ、儂はとどめさしただけじゃしの当然じゃ。登録所に行けば買ってくれるしの。」

 実は初魔物なので嬉しかった。これは記念にとっておこう。

 「そうなんですね。ありがとうございます!」

 この後、拳達は他愛ない世間話をしながら村に到着した。

 「ベンケンさん色々話聞けて良かったです。ありがとうございました。」
 「よいよい、儂も珍しいものを見れたしの。まあまた何か縁があったらよろしくの。」
 「はい、こちらこそ。」

 村の入り口で俺はベンケンさんと別れてベンケンさんおすすめの宿「剣花」へと向かった。
 
 明日は登録所に行こうかな。
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