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六日目

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「拳起きよ、拳起きよ」

夢で声かけられてる・・・

「誰ですか?」
「儂じゃ、神じゃ。笑」
「え、神様夢の中に出てこれるんですか?」
「逆に夢じゃなきゃ無理的な?」

なんだそれ!逆ってなんだよ!

「そ、そうですか。」
「まあ、それはいいとして、今日夢枕に現れたのはあの魔物化のことじゃ。」
「神様何か知ってるんですか?」

「うむ。あれはある術者の集団によるものじゃ。」
「その集団名は?」
「彼岸じゃ。拳に頼みたいことがあるんじゃ。彼岸を壊滅させてほしい。あの魔物化は神の禁忌に触れとる。」

「神の禁忌?」
「神の禁忌とは神の領分を犯す行為のことじゃ。」

「なるほど、あと、彼岸の壊滅についてですが、自由に生きていいという話では?」
「そこは変わっておらん。要は旅の過程でということじゃな。」
「なるほど。まああれは僕も許しがたいので善処しますよ。」

「すまんな。ところで戦闘の方はずいぶん慣れてきたようじゃの。」
「はい、動きやすい体で満足しています。ただ、松級の敵を倒せるほどとは思っていませんでした。」
「いや、正確にはおぬしは倒せておらんぞ。まともな一撃も受けなかったのはいまだに魔物可が完璧でなく、動きの再現が完璧でなかったためにすぎん。あれは力と気が増幅しただけに過ぎないんじゃ。なので動きそのものでは小松級という感じじゃ。もっとも、極撃があれば松でもそなたなら余裕であろうが。」

「うーんちょっとショックですね・・・。もっと鍛えなければいけないんですね。」
「そうじゃ、ステータス的な者が見れるようにしようか?鍛錬の効果が可視化できた方が便利じゃろ?」
「いいんですか?ではよろしくお願いします。」
「ほいっと」

佐藤 拳
力200
守120
速150
気150
精神力100

技()は消費する気の量
崩(10)・不滅の手(0)・極撃(0 ただし24時間で5回)


「おお、すごいのかどうかわからない。」
「ちなみに同年代の天才が鍛えたと仮定して転移したじゃろ?その時はオール100じゃったんじゃよ。」
「なるほど、そうすると精神力は成長していないんですね。」
「これから術を覚えていけば成長するじゃろう。これでも圧倒的な成長スピードじゃよ。」

よし、術覚えるぞ!

「まあ、今回はこんなところじゃ、次は教会で祈ってくれ、そうすればステータスが見れたり、儂に会えるようにしておこう。ではの」

〈技 祈り〉を覚えました。教会で祈ることで神と何らかの交信を可能にする。

「ちょっと待ったー!」
「な、なんじゃ?」
「聞きたいことがあります。ヨシツネンさんが戻れたのは極撃のおかげですか?」

「そうじゃろうな。さっき言った通り、魔物化は不完全であった。そして、お主は魔物を倒すことを意識していためあの結果となったのじゃろうな。完全に魔物化していたら不可能じゃったろう」
「なるほど。わかりました。」
「もうよいかの。ではの~」

そういうと神様は暢気に去っていった。そして、起きると日が出ていた。

「あー、良く寝た。それにしても彼岸に、ステータスと盛りだくさんな夢だったな。」
ぐぅぅぅぅぅぅ~

「腹減った飯食おう」
「おはようございます!朝食お願いします!」

「あんた馬鹿言ってんじゃないよ!もう昼だよ!」
「え?そんな寝てたんですか?じゃあ、外で食べるか・・・」

「いや、朝食はとっておいたよ。食べるかい?」
「神対応ありがとうございます!よろしくお願いします。」
「神対応?まあいいや。ちょっと待ってな。」

そして、数分後温められた朝食(昼食)を拳は食べた。

「よし、ベンケンさんのところに行くか。」

拳はベンケンのいる診療所へ向かう。

「すいません。ベンケンさんいらっしゃいますか?」

拳は受付の看護師に尋ねる。

「はい、昨日と同じ部屋にいらっしゃいますよ。」
「ありがとうございます。」

コンコン

「拳です。」
「おお拳殿どうぞお入りくださいませじゃ。」

「失礼します。ベンケンさんヨシツネンさんの体調はいかがですか?」
「まだ目覚めませんのじゃ。」
「そうですか。では、話を変えましょう。聞きたいこととはなんでしょうか?」
「はい、ヨシツネン殿をもとに戻したのは拳殿ですか?」

うわ、予想通りの質問きたな。

「戻したというか、倒したら戻ったというか・・・」
「なるほど。特別な術や技で戻したわけではないのですな。もし、そんなことが可能であれば主を目覚めさせていただけるとも思っていたのですが。」
「すいません。そういうわけではないんです。」

拳は半分真実半分嘘を言った。戻ったのは極撃のおかげだ。しかし、極撃の説明上目覚めさせることはできない。

「もう一つ良いですかな?拳殿はいかように倒されたのでしょうか?正直私と拳殿でそこまで実力に大きな差はないと思っていたのですが、実は隠されていたのですかな?」
「拳の技の一つに崩というのがあります。それを連続でしようし防御力が下がり切ったところで倒しました。」

嘘である。

「崩?拳の技の初歩ですな?あの魔物を倒すほど連続するとは拳殿はなかなかすごい気を持っているんですな。」
「あ、ありがとうございます(嘘行ってごめんなさい!)。」

気まずくなった拳は話題を変えることにする。

「ベンケンさんこれからはどうするおつもりで?」
「第一剣市へ行きヨリトモン様に報告するつもりですじゃ。」

「馬車ですか?」
「いいや、転移の術ですが?あれ、拳殿は知らんのですかな?」
「すいません。」

「いえいえ、では説明させていただきますじゃ。各同武器名・番号の都道府県と市町村は転移の術で移動ができるのですじゃ。そして、その術式がある場所を転移所というのですじゃ。もっとも防衛の点から一気に移動できるのではなく、原則村から町へ町から市へと順番に移動することになりますじゃ。もっとも、今回はヨシツネン様の非常時故直接市へ行けますじゃ。」

「なるほど。」
「つきましては拳殿も同行して欲しいのですじゃ。詳細を報告していただきたので。」

「いいですよ。いつ頃行きますか?」
「今日許可を申請するので明日には行けるはずですじゃ。」
「わかりました。」
「では明日の朝宿に10時ころ伺いますじゃ。」

そうして、拳は診療所から出て次はギルドに向かった。
ギルドで拳は沼で大蜥蜴討伐依頼受けると沼に向かった。昨日魔物と倒したところに行くと戦いの後はあるものの彼岸に関するものは何もなかった。

「特に手掛かりは何もなしか、あっ神様に拠点とか聞いとけばよかったじゃん!これじゃ先が思いやられるわ。」

手掛かりが発見できないず、拳は蜥蜴狩を開始した。そして依頼最後の一体を倒した時である。

「ギ、ギー・・・」
「よし、依頼完了と。ん?」

〈拳技 威を取得〉殴るたびに威力増加。維持時間は5分。

「おお、新しい技を覚えたぞ!でも、術はまだか・・・どうすればいいんだ。」

うれしい半分悲しい半分で拳は報告へ戻った。そして、報酬をもらうと宿へ戻った。今までお世話になった局さんにお礼と明日旅立つことを報告する。

「今までお世話になりました。」
「寂しくなるねぇ。また村に来ることがあったらよろしくね。」
「はい!」

そういうと拳は体を拭く道具を受け取り、部屋に戻り体を拭いて就寝した。
明日は剣第一市か。楽しみだな。
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