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十一日目

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「おはようございます。ベンケンさんたちに頼みがあるんですが、今日少しだけ訓練とかできませんか?」
「構いませんぞ。」
「いいわよ♡」
「組み手にしますかな?」
「はい、できれば。」
「でも武器がモノホンしかないわ。素手でやるの?」
「では、拳殿とやる際は素手、儂とクフリン殿がやるときは武器ありでどうでしょうかな?」
「「了解(♡)」」

そして、まず、拳とクフリンの戦いが始まった。

「拳ちゃん、私のマッスルちゃん達に拳ちゃんの拳が通用するかしらん♡」
「クフリンさん挑発しなくてもこちらは手を抜くようなことはしませんよ?」
「ほんと拳ちゃんいじりがいがないわぁ。じゃあ私からイクわよ♡」

クフリンは拳に向かってショルダータックルをしてきた。クフリンの鍛えられ上げた筋肉をまとうタックルの威力たるや横綱のぶちかまし級の威力をほころう。
拳はそれをとっさに左に飛び躱す。そのままクフリンの背後に回り一撃を放とうとする。

!?

クフリンは急に体をひねり、勢いそのままに裏拳で拳を攻撃してきた。拳は攻撃を中断し距離をとる。

「あらぁ、これ躱されちゃったのねぇ、残念♡」
「いえ、危なかったです。クフリンさんが槍を持っていれば間違いなく腹を裂かれていました。」
「ほんと拳ちゃんは油断しないわねぇ、流石よ♡」

「次はこちらから行きますね。」

拳はクフリンに徐々に近寄りジャブの連打をする。一方クフリンはそれらすべてを手のひらで受けきる。

シュッ、パン、シュシュッ、パパン

拳と手のひらがぶつかり合う音が周囲に響き渡る。そして、今度はクフリンもジャブを放つ。クフリンと異なり拳はフットワークでそれを躱していく。

「本当に拳ちゃんは躱すのがうまいわぁ♡」
「いえいえクフリンさんの攻撃をガードしたら腕が壊れそうですから、必死ですよ。」

そのまま均衡が続く。そして、お互いに決定打が決まらず時間が過ぎていった。

「そこまで!両者素晴らしい戦いでした。」
「「ありがとうございました(♡)」」

「拳ちゃんがこんなに激しいなんて思わなかったわ。またヤリましょう。」
「は、はいお願いします・・・(なんか寒気が)」

「次は儂と拳殿ですな。しかし、拳殿もお疲れでしょう。それに移動もありますし、続きは明日ということにしませんか?」
「そうですね、まだまだ旅も続きますし。」
「その代わりといってはあれだけど、今の戦いの考察をしましょうよ、きっと自分のスタイルを見直すきっかけをつかめるはずよ♡」
「妙案ですな。では移動しながら話しますかの。」

そういうと、拳たちは馬車に乗り込み今日の戦いについての考察を始めた。

「じゃあ、まず私から気づいたことをいうわ。拳ちゃんは躱すのがうまいけどそれだけではだめだと思うの。
 たしかに、武器持ちとの戦いにおいて、拳闘士の基本は躱すことにあると思うわ。でも、躱しながら相手の獲物を躱しつつ懐に入るっていうのはかなり大変だと思うの。実際私が戦ってきた拳闘士の多くは攻撃を籠手て流しながら懐に入っていく人が多かったわ。だからこそ拳ちゃんも攻撃を受けて流すという戦い方も意識すべきだと思うわ♡」

これは俺も思っていたことだ。実際俺は躱すのに必死でクフリンさんにまともに一撃を入れられていない。籠手とか使ったことないしこの点は要練習だな。

「とても貴重な助言ありがとうございます。そこで一つ教えてほしいのですが、受け流すということを体得するにはどんな訓練がいいのでしょうか。今までその練習をしたことがなくて。」
「それであれば、ゆっくりとした動作で受けて流すという訓練をするのがいいかと思います。慣れてきたら徐々に早くしていくのですじゃ。」
「そうね私もその方法で訓練していたわ、私でよければ明日から付き合うわよ♡」
「本当ですか?ぜひお願います。」
「は~い♡」

「では、次に儂からクフリン殿へ。クフリン殿は受けること前提の戦い方をしていると思うのですが、何故でしょうか?」
「それは私の本当の武器が銃槍盾だからなの♡」
「なんと、あの高火力武器ですな!」
「どんな武器なんですか?」
「銃剣ってあるでしょ?あれの槍バージョンね。それに盾もかなり重厚よ。銃の大きさが大きい分自分を守るために頑丈なのよ。まあおかげで機動力は皆無なんだけどね。」
「なるほどゆえに受けるという戦い方になるわけですね。」
「そういうことよ、でも旅とかではあの武器は使わないし少しは足を使う戦い方を意識しようかしら、自分を見直すいい機会だわ♡」

こうして拳たちは反省会をした。

「拳ちゃん、明日からって話だったけど組み手今日から始めない?♡」
「いいですよ!」
「じゃあ、構えてもらえる?私がゆっくりとパンチや蹴りを入れるから、それを手で払うようにして受け流してみて。♡」

そういうとクフリンはゆっくりと右ストレートをする。拳はそれを右に誘導するように手で受け流す。次にクフリンは左から蹴りを入れる。拳はそれを左に受け流す。それを徐々に徐々にペースを上げていく。
これを一時間ほど行っていった。

「うん、拳ちゃんやっぱり筋がいいわね。♡」
「なんか俺の出身地の書物に似たようなものをあったおかげかと。」

H2に似たような修行あったよな・・・

「じゃあ、今日はこれで上がりましょ。♡」

こうして、拳たちは訓練を終えると体を拭き眠りについた。

明日はベンケンさんと訓練か。楽しみだ。

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