一六銀行の鵜飼くん

芝桜 のの

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暑い日5

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今日は休日。
休日はいつも遅めに起きる。ボーッとしているところを急かされ歯磨きをして顔を洗う。
が!今日はそうも言ってられない。
甥っ子のあっ君達が来る前に退散しなければ!私の有意義な「堕落した休日」が消えてしまう。
私にとって、甥っ子達は正に怪獣。
可愛いが、可愛くても怪獣は怪獣。手を焼きはじめると「もう!帰れ~」とも言えずにモヤモヤ度がMAX!
怪獣が来る前に退散するに限る。
私は手早く身支度すると
「出掛けてくる」
と母に言い残し、車で出掛けた。
あっ君達に出掛けると気付かれると「お姉ちゃんは?お姉ちゃんは?」とうるさい。子供は目新しいオモチャが大好きだ。しかも、より体力のある方を好む。ジジババのような、古くて動きの悪い相手より、まだ動きのいいお姉ちゃんが好まれる。私はあっ君達の暇潰し人間ではないのだ。逃げろ~!
と、言うことで少し離れた大型スーパーまできた。ここは私達家族のテリトリーではないので、甥っ子達には気付かれまい!
でかい3階建てフロアにお店がひしめく。一日中遊べるタウン型スーパーだ。
私が着いた朝9時からでも、ちらほらと店舗が開いている。
お茶でもしますかな?
本屋さんはまだ開いてないらしく手持ちぶさたな私は名のあるコーヒーショップに入った。勿論、喫茶店ではないのでモーニングセットはありません。うちのジジババが入ったら、「モーニングもないコーヒー屋なんて!」って文句言いそう。
モーニングは喫茶店に根付く地域文化ですから。名のあるコーヒーショップにはありません。
小難しい名前の普通のコーヒーの普通のサイズを指差しで頼み、より奥間って人目の付きにくい席を探す。一人だしカウンターでも良かったが、隣に座られると微妙に気を使うので、二人席の角に座った。
小説でも読みながら時間を潰しますか。
深く腰かけて読みかけの携帯小説を開いた。

ふっと視界が暗くなった気がして顔を上げる。
ギョッとした。
「やっぱり、森さん」
うわー!笠原!!なんでまたこんなところで…
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