一六銀行の鵜飼くん

芝桜 のの

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プレゼント4

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8番の札を下げたまま、コの字形に作られた机の外側にすわる。
女性は外側らしい。男性は中側で女性の真向かいに椅子がある。どうも中側の男性が席を移っていくらしい。一応ジュースとお菓子は所々に置かれている。そして机も会議机だし、乱雑感丸出しだな。
まあ、お洒落なホテルの宴会場でもないんだし、公共施設の会議室でならこんなもんか。
なんら、役所か会社の会議とかと変わらない感じだな。お見合いパーティーとは聞こえが派手だが雰囲気は「集団お見合い会議」。まあ、年齢層がアレだから粛々と流れていく感じなんだな。盛り上りもなく。
では、私も役割をこなすべく、一人持ち時間3分のPRを15回(男性15人)腕捲りする気持ちで挑んでいきます。
でも、3分で自分も相手も語りつくそうと思ったら足りないよね。自己PR力が試されるわけだ。これは社会人としては何としても好成績を残さなければ!
持ち前の外面の良さ(仮面被ってます)を発揮して次々とPR合戦を繰り広げた。
話して盛り上がろうが盛り下がろうが、頑張って話のパスを拾いまくりましたよ。
途中休憩に入ると、もう7人目くらいでクラクラしてきた。こぼしたパスを拾い捲ってもう疲労困憊なんです。
「…森さん、頑張り過ぎです。」
A子さんがお代わりのジュースを持ってきてくれた。
「嘗めてたは…しんどい…」
と言いながらジュースを受けとる私に
「気の会う人を見付ける目的なんですから、何がなんでも話を合わせなくていいんですよ」
え?そうなの?
「森さんが気になって、身が入りません」
ごめんね~A子さんの付き添いなのに、手間をかけさせちゃって。
それならそうと、後半戦は気軽にやるわ!任せて!
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