一六銀行の鵜飼くん

芝桜 のの

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プレゼント6

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一通り「回転PR大会」は終わったが、収穫は少なかった。たくさん情報を入れ過ぎてあんまり覚えてないけれど、コレという人は居なかった。
お見合いパーティについては、ワタシ的には意味が無い事が判っただけだ。
だって、第一印象で決めて長い時間費やして知り合い、結婚を決めるまでエンドレスで何回コレをやるんだ。時間が掛かり過ぎる。私にはソレに費やす時間が残り少ない。
もう、この年まで独身を彷徨っている人たちなんだから、占いかお見合いおばさんを導入して、無理してもくっつけないと実益がないんじゃない?
無駄な雑談会が続き、最後のカップル発表の頃には気持ちが冷めてきてしまった。

「どうでした?」
A子さんが食い気味に私に詰め寄ってくる。ココはお見合い会場から少し離れた喫茶店。
どうもこうも…
知っての通りカップルにはならなかったし。連絡先をもらったのは、がむしゃらに頑張ったPR大会前半の人たち。でも、相手をあまり覚えてなくて、連絡も取りようがない。連絡取ってまた頑張るのも嫌だしね。
なんか、疲れがどっときて、また行こうとは思えないんですけど。
「不発と言うか。無駄骨?」
なんの為なのか判らなくなる。
「そうなんですよね。出会いは数を打てば当たると思ってたんですけど、結局、今まで自分で見つけられなかった人は数を打っても見つけられないんですよね」
真理です。と付け加えてA子さんは最終結論を述べた。
判ってるんなら、無駄骨は止めようよ。残りの時間少ないんだし。
「じゃ、何が有ったら一歩前へ進めるの?」
A子さんは少し考えて
「他人の推薦とか?」
それって、
「お見合いって事?」
それもまた、ハードル高いな。相手から推薦が来るって事は、自分もかなりの好位置にいないと推薦はしてもらえないって事じゃない?かなりのプレッシャーが…
「そうなんですよね。自分を棚に上げて誰か推薦してなんて、ちょっとおこがましい気がするんですよ」
やっぱり結婚は値踏みなのか?
よく、結婚は家同士、釣り合いがとれてなきゃとか言われたわ。
今のこの世で家同士とか、釣り合いとか「ないわ~」って思ってたけど。
歳を取ると「好き同士で結婚」の情熱もないならばもう釣り合いしか無いことないかい?
だって、結婚の条件が「今と同等な生活」が最低条件なんだから。
ああ、悲しき人生。やっぱり打算なんだ。
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