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第12話 帰りますって言ったら捕まりました
しおりを挟むたくさんの唐揚げを揚げると、半分は甘酸っぱいソースを絡める。こちらは日持ちするよう、冷ましてからタッパーに入れて冷蔵庫へ。
メインを作り終えると、夢乃は鷹田の姿を探す。愁傷にも彼は風呂掃除をしていた。
——ますます信じられない。
夢乃がいた時は夢乃がしていた家事だ。夢乃は驚くと共に自分が鷹田の身の回りのことに世話焼きすぎたのかなと反省する。
——お母さんになっちゃダメね。
きっとそのせいで浮気されたのだ。
だけどその時の夢乃は彼の身の回りのことをすることで彼への愛情を示していたつもりだった。
——難しいな。
夢乃もそっとため息をつく。
自分が彼への想いを伝えるつもりで世話を焼いたら、それが当たり前になって、お母さんみたいだって飽きられて——?
鷹田が戻って来たところで、夢乃は「帰ります」と声をかけた。
「えっ?」
「帰りますよ。いつまでも居られないです」
「ままま、待て! いや、その、まだ早くないか?」
「部屋も片付いたし、作り置きもしましたから二、三日は持ちますよ。五穀米のご飯はおにぎりにしてあります。その他にもご飯を炊いたので余ったら冷凍して下さい」
「ゆ、夢乃……」
「なんですか?」
「一緒に昼ごはん食べないか?」
「私が今作った物を食べるんですか?」
そんなのつまんない。
夢乃の心の声が聞こえたのか、それとも夢乃の言葉に棘を感じたのか、鷹田は言葉に詰まる。
その隙に夢乃はさっさと玄関へ向かった。
後を追う鷹田は咄嗟に彼女の華奢な手をつかんだ。
「……っ!」
「帰るな」
夢乃の心臓がどくんと跳ね上がる。
つかまれた手首が熱い。
「離して……!」
今日の鷹田なら夢乃の言うことを聞いてくれる。そう思って咄嗟に言ったのだったが、夢乃の期待に反して鷹田はつかんだ手を離さなかった。
つづく
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