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空見焔の再来、そして少年は啖呵を切る
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露草を雇って、本当に良かった。
雇ってたったの一週間で、白月は何度そう思ったか分からない。あの利かん気な虹音が、露草に優しく語りかけられるだけでひどく大人しくなり、相変わらず賑やかに笑い騒ぎはするが、城のものを壊すことはなくなった。露草は虹音に行儀作法も教えているようで、虹音が大人ぶって、優雅な足取りで歩くのは、微笑ましいとさえ思えた。ちょっと前まで小型の怪物にしか見えなかった娘を、そう思えることが驚きだ。
紫蛇も、白月に謝り続ける必要がなくなり、ずっと顔色が良くなった。それも白月には嬉しい。
露草に精霊の加護があるというのは本当のようで、なにか人の影のようなものが城中を動き回り、隅々まで掃除をして、城はすっかり綺麗になった。当然、蜘蛛の巣などどこにもない。窓枠を指で拭ってみたが、埃一つつかなかった。
そんな露草への褒美に、宝飾品などを与えようとしてみたが、露草は首を横に振る。
「……ただ、龍の宴にお連れくだされば、私はそれだけで。ですがどうか、それだけは叶えていただきたい」
白月は頷いた。露草のしてくれたことを考えれば、自分が今までの無断欠席を責められるくらいどうということもないと思えた。
「分かった、約束する。龍の約束は絶対だ」
白月がそう言った時だった。
「頼もぉう!! 『砂漠の魔龍』よ、この前はしてやられたが、今日こそ貴様を倒してやるぞ!!」
聞き慣れた声が、城の庭からした。窓の外を見ると、果たして空見焔がそこにいた。白月は呆れてしまう。本当にしつこいやつだ。そして、ふと思いついた。
「虹音、虹音。あのお兄さんに遊んでもらいなさい。大丈夫、あいつは頑丈だから、ちょっとやそっとじゃ壊れない」
虹音はパッと顔を輝かせて庭に飛び出していった。庭からは悲鳴のような声が聞こえてきた。
「な、なんだおまえは……『砂漠の魔龍』にさらわれた子どもか何か……ぎゃああ、何をする! やめろっ、こらっ、やめろと言っているだろう!! こらっ、『魔龍』! 白月、出てきてこの子どもを止めろぉおおおっ!!」
外を見ずとも、何が起きているのかは明白だ。白月は腹を押さえて笑い転げ、こんなに笑ったのは何年ぶりだろう、とそう思った。
やがて、虹音が飽きて帰ってきたが、外の声は止まない。
「貴様、白月、さては攫った子どもを使い魔にしたのだな!? 出てきて戦え、この恥知らずの卑怯者めが!!」
笑い疲れたところでもあるし、そろそろまた吹き飛ばしてやろうかと、白月が立ち上がろうとした時だった。何やら難しい顔をしていた紫蛇が、白月より先に立ち上がり、外に飛び出していった。
「紫蛇!?」
白月が慌てて紫蛇を追いかけると、紫蛇は、自分よりずっと上背のある焔の巨体と対峙して、震えながらも胸を張り、焔を睨んでいた。
「訂正してください。白月さんは、恥知らずでも卑怯者でもありませんし、俺たち兄妹は攫われたんじゃありません。助けてもらったんです!」
焔は、嵐のような少女が去ったかと思うと、今度は突然現れた美少年に楯突かれて、目を丸くしてうろたえていた。だが、先程の虹音と違って、礼儀正しい紫蛇の方は、明らかに人間だと判断したのだろう。
「なぁ、お前たちはきっと騙されているんだ。あの女は、男を誘惑して殺した、恐ろしい殺人者なんだぞ」
「白月さんがそんなことをするはずがありません。誇り高い方だと、ちょっと過ごしただけの俺にすら分かります! あなたには、それがわからないんですか!」
初めて見る紫蛇の怒りには妙な迫力と、威厳のようなものがあって、それが自分に向けられたものでなくても、白月は思わず立ちすくむ。まして、それを真っ向から向けられた焔の動揺は激しかった。
「俺は……白月が、流星殿を誘惑して殺したと、母上が、そう……いや、だが、あの白月が……そうは思えなかったからこそ、騙されていたのだと悔しくて……」
焔は独り言を呟きながら、呆然と立ち尽くしている。いよいよ頭がおかしくなったかと心配になり、白月は声をかける。
「焔?」
白月の声に、焔はハッと我に返った。
「──っ、また、来る!」
そう言って白月に背を向け、立ち去ろうとしたが、この城壁に門扉がないことを忘れていたようだ。いつも吹き飛ばされて帰っているから、帰り方を知らないらしい。困ったように白月を振り返る。
白月もまた、どうやって帰してやればいいか分からない。
──ので、いつもどおり、龍の姿に変じ、焔を一息で吹き飛ばしてやることにした。
「白月ぃいいい!! また来るからなぁああああ!!!」
焔はそう捨て台詞を残して、虹蛇王国まで飛ばされて行った。
虹音が庭に飛び出してきて、目をキラキラさせて白月を見上げた。
「私もあれやりたい」
と言う。さすがにそれはできかねるが、虹音と紫蛇、それに露草を乗せて飛んでやることにした。露草は固辞しようとしたが、露草がいなければ、虹音に鱗をひたすら毟られかねない。頼み込んで乗ってもらった。
魔法をかけて、背の上の三人に当たる風が和らぎ、三人が落ちないようにした。そうして、ゆっくりと空を飛ぶ。
頬を撫でる風、眼下に見下ろす景色に、虹音だけでなく、紫蛇も子どもらしく顔を明るくしてはしゃいでいる。露草は相変わらず深く布を被っているので、表情は見えなかったが、彼女はポツリと言った。
「先程の騎士様」
「焔?」
「はい。あの方は、白月様がお好きなのですね」
思いがけないことを言われて、白月は危うく、背の上の三人を振り落とすところだった。
「な、な、な、なんで」
「白月様がお好きだから、他の男を誘惑したと聞いて激昂した──と、そのように受け取れました」
「馬鹿馬鹿しい。だいたい、あの焔の家族には、さんざん虐められて──」
だが、焔がそれに気づいた様子はなかった。使用人と一緒に働かされる白月を見て、『おまえは貴族の娘なのに、偉ぶらずよく気働きするな!』などと呑気なことを言っていた。
そんなことを思い出して、白月は何をどう考えていいやらわからなくなり、結局思考を放棄した。
その日の夜のことだった。
何やら気が高ぶって寝付けずにいた白月は、結局寝るのを諦め、庭を散策することにした。
虹音の悪戯に荒れ果てた庭は、露草の手によって少しは見目が整えられている。降りかかりそうなほどの満天の星が空を埋め尽くしているのを見上げながら、白月はぶらぶらと歩いた。
と、同じように空を見上げる少年がいるのに気づいた。紫蛇だ。
「紫蛇」
気づかぬふりをした方が良かったのかと思ったのは、声をかけた後だった。振り返った少年は、やけに真剣な顔をしていた。
「白月さん。──昼間は、出過ぎたことをしました」
「いや」
白月は頭を振る。あんなふうに庇われるとは思っていなかったが、悪い気分ではなかった。紫蛇の隣に並び、ともに星空を眺める。
しばし沈黙があった。やがて紫蛇が言う。
「妹は、龍に成ったら、空に飛んでいくのでしょうか」
「さて。──人間に混じって生活することを選ぶ龍もいるが、人間は龍を怖がる。その場合は、種々の契約を迫られるだろうな」
かつて身の内にあった軛を思い出し、白月は眉を顰めた。あれは白月にとっては枷だった。己を縛る鎖であった。だが、その鎖を心地よく受け入れ、人間社会に溶け込む者とて、おそらくはいるのだろう。
虹音ははて、どちらか。──あの娘のことはさっぱり分からん。
「虹音が行ってしまったら、俺はどうすれば良いのかと思って。母が亡くなってから、妹の面倒を見ることしか、今まで考えてこなかったから」
自由にすればいいさ、と言おうとして、白月はやめる。妹を背負って嵐の砂漠を越え、必死の形相で白月に助けを求めた少年。
守るものもなく生きてきた白月と彼は、きっと違う。だから代わりに言った。
「君なら、なんでもできるさ。やりたいことを探せばいい。──そして、疲れたときや、助けが必要な時は、またここにおいで」
その言葉は、すんなりと身体の奥深くから出てきたようだった。決して上っ面の親切ではなかった。妹を守るために必死で生きてきた少年。そして、今日白月を庇ってくれた少年。この少年のためなら、そうしてやりたいと思ったのだ。
ともに生きることは、おそらくできない。白月はやはり、独りで空を飛ぶのが一番好きだ。だが、時折なら、誰かと関わることも悪くはない。
「白月さん──ありがとう」
紫蛇はそう言った。
雇ってたったの一週間で、白月は何度そう思ったか分からない。あの利かん気な虹音が、露草に優しく語りかけられるだけでひどく大人しくなり、相変わらず賑やかに笑い騒ぎはするが、城のものを壊すことはなくなった。露草は虹音に行儀作法も教えているようで、虹音が大人ぶって、優雅な足取りで歩くのは、微笑ましいとさえ思えた。ちょっと前まで小型の怪物にしか見えなかった娘を、そう思えることが驚きだ。
紫蛇も、白月に謝り続ける必要がなくなり、ずっと顔色が良くなった。それも白月には嬉しい。
露草に精霊の加護があるというのは本当のようで、なにか人の影のようなものが城中を動き回り、隅々まで掃除をして、城はすっかり綺麗になった。当然、蜘蛛の巣などどこにもない。窓枠を指で拭ってみたが、埃一つつかなかった。
そんな露草への褒美に、宝飾品などを与えようとしてみたが、露草は首を横に振る。
「……ただ、龍の宴にお連れくだされば、私はそれだけで。ですがどうか、それだけは叶えていただきたい」
白月は頷いた。露草のしてくれたことを考えれば、自分が今までの無断欠席を責められるくらいどうということもないと思えた。
「分かった、約束する。龍の約束は絶対だ」
白月がそう言った時だった。
「頼もぉう!! 『砂漠の魔龍』よ、この前はしてやられたが、今日こそ貴様を倒してやるぞ!!」
聞き慣れた声が、城の庭からした。窓の外を見ると、果たして空見焔がそこにいた。白月は呆れてしまう。本当にしつこいやつだ。そして、ふと思いついた。
「虹音、虹音。あのお兄さんに遊んでもらいなさい。大丈夫、あいつは頑丈だから、ちょっとやそっとじゃ壊れない」
虹音はパッと顔を輝かせて庭に飛び出していった。庭からは悲鳴のような声が聞こえてきた。
「な、なんだおまえは……『砂漠の魔龍』にさらわれた子どもか何か……ぎゃああ、何をする! やめろっ、こらっ、やめろと言っているだろう!! こらっ、『魔龍』! 白月、出てきてこの子どもを止めろぉおおおっ!!」
外を見ずとも、何が起きているのかは明白だ。白月は腹を押さえて笑い転げ、こんなに笑ったのは何年ぶりだろう、とそう思った。
やがて、虹音が飽きて帰ってきたが、外の声は止まない。
「貴様、白月、さては攫った子どもを使い魔にしたのだな!? 出てきて戦え、この恥知らずの卑怯者めが!!」
笑い疲れたところでもあるし、そろそろまた吹き飛ばしてやろうかと、白月が立ち上がろうとした時だった。何やら難しい顔をしていた紫蛇が、白月より先に立ち上がり、外に飛び出していった。
「紫蛇!?」
白月が慌てて紫蛇を追いかけると、紫蛇は、自分よりずっと上背のある焔の巨体と対峙して、震えながらも胸を張り、焔を睨んでいた。
「訂正してください。白月さんは、恥知らずでも卑怯者でもありませんし、俺たち兄妹は攫われたんじゃありません。助けてもらったんです!」
焔は、嵐のような少女が去ったかと思うと、今度は突然現れた美少年に楯突かれて、目を丸くしてうろたえていた。だが、先程の虹音と違って、礼儀正しい紫蛇の方は、明らかに人間だと判断したのだろう。
「なぁ、お前たちはきっと騙されているんだ。あの女は、男を誘惑して殺した、恐ろしい殺人者なんだぞ」
「白月さんがそんなことをするはずがありません。誇り高い方だと、ちょっと過ごしただけの俺にすら分かります! あなたには、それがわからないんですか!」
初めて見る紫蛇の怒りには妙な迫力と、威厳のようなものがあって、それが自分に向けられたものでなくても、白月は思わず立ちすくむ。まして、それを真っ向から向けられた焔の動揺は激しかった。
「俺は……白月が、流星殿を誘惑して殺したと、母上が、そう……いや、だが、あの白月が……そうは思えなかったからこそ、騙されていたのだと悔しくて……」
焔は独り言を呟きながら、呆然と立ち尽くしている。いよいよ頭がおかしくなったかと心配になり、白月は声をかける。
「焔?」
白月の声に、焔はハッと我に返った。
「──っ、また、来る!」
そう言って白月に背を向け、立ち去ろうとしたが、この城壁に門扉がないことを忘れていたようだ。いつも吹き飛ばされて帰っているから、帰り方を知らないらしい。困ったように白月を振り返る。
白月もまた、どうやって帰してやればいいか分からない。
──ので、いつもどおり、龍の姿に変じ、焔を一息で吹き飛ばしてやることにした。
「白月ぃいいい!! また来るからなぁああああ!!!」
焔はそう捨て台詞を残して、虹蛇王国まで飛ばされて行った。
虹音が庭に飛び出してきて、目をキラキラさせて白月を見上げた。
「私もあれやりたい」
と言う。さすがにそれはできかねるが、虹音と紫蛇、それに露草を乗せて飛んでやることにした。露草は固辞しようとしたが、露草がいなければ、虹音に鱗をひたすら毟られかねない。頼み込んで乗ってもらった。
魔法をかけて、背の上の三人に当たる風が和らぎ、三人が落ちないようにした。そうして、ゆっくりと空を飛ぶ。
頬を撫でる風、眼下に見下ろす景色に、虹音だけでなく、紫蛇も子どもらしく顔を明るくしてはしゃいでいる。露草は相変わらず深く布を被っているので、表情は見えなかったが、彼女はポツリと言った。
「先程の騎士様」
「焔?」
「はい。あの方は、白月様がお好きなのですね」
思いがけないことを言われて、白月は危うく、背の上の三人を振り落とすところだった。
「な、な、な、なんで」
「白月様がお好きだから、他の男を誘惑したと聞いて激昂した──と、そのように受け取れました」
「馬鹿馬鹿しい。だいたい、あの焔の家族には、さんざん虐められて──」
だが、焔がそれに気づいた様子はなかった。使用人と一緒に働かされる白月を見て、『おまえは貴族の娘なのに、偉ぶらずよく気働きするな!』などと呑気なことを言っていた。
そんなことを思い出して、白月は何をどう考えていいやらわからなくなり、結局思考を放棄した。
その日の夜のことだった。
何やら気が高ぶって寝付けずにいた白月は、結局寝るのを諦め、庭を散策することにした。
虹音の悪戯に荒れ果てた庭は、露草の手によって少しは見目が整えられている。降りかかりそうなほどの満天の星が空を埋め尽くしているのを見上げながら、白月はぶらぶらと歩いた。
と、同じように空を見上げる少年がいるのに気づいた。紫蛇だ。
「紫蛇」
気づかぬふりをした方が良かったのかと思ったのは、声をかけた後だった。振り返った少年は、やけに真剣な顔をしていた。
「白月さん。──昼間は、出過ぎたことをしました」
「いや」
白月は頭を振る。あんなふうに庇われるとは思っていなかったが、悪い気分ではなかった。紫蛇の隣に並び、ともに星空を眺める。
しばし沈黙があった。やがて紫蛇が言う。
「妹は、龍に成ったら、空に飛んでいくのでしょうか」
「さて。──人間に混じって生活することを選ぶ龍もいるが、人間は龍を怖がる。その場合は、種々の契約を迫られるだろうな」
かつて身の内にあった軛を思い出し、白月は眉を顰めた。あれは白月にとっては枷だった。己を縛る鎖であった。だが、その鎖を心地よく受け入れ、人間社会に溶け込む者とて、おそらくはいるのだろう。
虹音ははて、どちらか。──あの娘のことはさっぱり分からん。
「虹音が行ってしまったら、俺はどうすれば良いのかと思って。母が亡くなってから、妹の面倒を見ることしか、今まで考えてこなかったから」
自由にすればいいさ、と言おうとして、白月はやめる。妹を背負って嵐の砂漠を越え、必死の形相で白月に助けを求めた少年。
守るものもなく生きてきた白月と彼は、きっと違う。だから代わりに言った。
「君なら、なんでもできるさ。やりたいことを探せばいい。──そして、疲れたときや、助けが必要な時は、またここにおいで」
その言葉は、すんなりと身体の奥深くから出てきたようだった。決して上っ面の親切ではなかった。妹を守るために必死で生きてきた少年。そして、今日白月を庇ってくれた少年。この少年のためなら、そうしてやりたいと思ったのだ。
ともに生きることは、おそらくできない。白月はやはり、独りで空を飛ぶのが一番好きだ。だが、時折なら、誰かと関わることも悪くはない。
「白月さん──ありがとう」
紫蛇はそう言った。
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