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第三話:お客様
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雑貨屋エレール。
アレンとディーネが王都を飛び出し、以前旅で立ち寄ったことのあるレクレールに辿り着き、建てた雑貨屋。
丸太を積み重ねてできたその店は決して大きくはないが、温かみのある雑貨屋だ。
雑貨屋というが、店に並んでいる商品は回復薬や能力を一時的に向上させる薬、魔物の素材など、旅をする冒険者が必要なものを専門とする店であり、長年旅を続けていたアレンの知識を活かすことができた。
のだが……
「今日も暇ですねぇ」
すでにアレンが店を開店して六時間が経過していた。
ディーネは店のカウンターに両肘をつけて顎に手を当ててボーっとしている。
「おい、ディーネ。 客が来ないなら来ないでやることはあるだろ」
アレンは棚に並んでいる小瓶を一つずつ丁寧に拭きながらサボって溜息ばかりついている看板娘に注意する。
「確かに掃除は大事よね。でもアレンが今拭いている棚は二時間前に私が奇麗にしたばかりですよ」
「えっ……」
アレンは拭いていた小瓶をじっと見つめ、ゆっくりと棚に戻す。
よく見ると小瓶だけでなく棚自体も塵一つなく拭きあげられており、手を付けるところなどまるで無いようだった。
この雑貨屋エレールは繁盛していないどころか一日営業してお客が一人も来ないことも珍しくない。
そんな店が何故二年も営業し続けることができたのかというと魔王を討伐した際に得られた莫大な報酬があったからだ。
しかしその金も徐々に少なくなってきた。
このままでは店が潰れるだけでなく生活すらできなくなる。なんとかしなければとアレンは思い始めていた。
今日もすでに夕方……今日開店してから一人の客も店を訪ねる事は無かった。
「なんでこんなに客が来ないんだろうな」
諦めたようにディーネの横に座って、同じようにカウンターに左肘をカウンターに付け、手の平を顎に当てる。
「なんでって……」
ディーネが何をいまさらと言ったように呆れて、アレンの方に顔を向けたとき、とうとう店の入口の鐘が静かな店内に鳴り響いた。
「いらっしゃいませ~」
ディーネは鐘の音が一音聞こえたタイミングで素早く立ち上がり、満面の笑みで来店したお客様を迎えていた。
普段のディーネを見ているアレンにとっては完全に作り笑いと分かるような笑顔だが、その美人さもあいまって一見の客には女神の微笑とも言えるほどの輝きを放っている。
入口から現れた客は男二人組だった。
一人は全身を鎧に包み、背中には大剣を携えている。
もう一人は身の丈程のマントをひるがえし、三角帽子をかぶっている。
いかにも戦士と魔法使いのパーティーだ。
アレンとディーネが王都を飛び出し、以前旅で立ち寄ったことのあるレクレールに辿り着き、建てた雑貨屋。
丸太を積み重ねてできたその店は決して大きくはないが、温かみのある雑貨屋だ。
雑貨屋というが、店に並んでいる商品は回復薬や能力を一時的に向上させる薬、魔物の素材など、旅をする冒険者が必要なものを専門とする店であり、長年旅を続けていたアレンの知識を活かすことができた。
のだが……
「今日も暇ですねぇ」
すでにアレンが店を開店して六時間が経過していた。
ディーネは店のカウンターに両肘をつけて顎に手を当ててボーっとしている。
「おい、ディーネ。 客が来ないなら来ないでやることはあるだろ」
アレンは棚に並んでいる小瓶を一つずつ丁寧に拭きながらサボって溜息ばかりついている看板娘に注意する。
「確かに掃除は大事よね。でもアレンが今拭いている棚は二時間前に私が奇麗にしたばかりですよ」
「えっ……」
アレンは拭いていた小瓶をじっと見つめ、ゆっくりと棚に戻す。
よく見ると小瓶だけでなく棚自体も塵一つなく拭きあげられており、手を付けるところなどまるで無いようだった。
この雑貨屋エレールは繁盛していないどころか一日営業してお客が一人も来ないことも珍しくない。
そんな店が何故二年も営業し続けることができたのかというと魔王を討伐した際に得られた莫大な報酬があったからだ。
しかしその金も徐々に少なくなってきた。
このままでは店が潰れるだけでなく生活すらできなくなる。なんとかしなければとアレンは思い始めていた。
今日もすでに夕方……今日開店してから一人の客も店を訪ねる事は無かった。
「なんでこんなに客が来ないんだろうな」
諦めたようにディーネの横に座って、同じようにカウンターに左肘をカウンターに付け、手の平を顎に当てる。
「なんでって……」
ディーネが何をいまさらと言ったように呆れて、アレンの方に顔を向けたとき、とうとう店の入口の鐘が静かな店内に鳴り響いた。
「いらっしゃいませ~」
ディーネは鐘の音が一音聞こえたタイミングで素早く立ち上がり、満面の笑みで来店したお客様を迎えていた。
普段のディーネを見ているアレンにとっては完全に作り笑いと分かるような笑顔だが、その美人さもあいまって一見の客には女神の微笑とも言えるほどの輝きを放っている。
入口から現れた客は男二人組だった。
一人は全身を鎧に包み、背中には大剣を携えている。
もう一人は身の丈程のマントをひるがえし、三角帽子をかぶっている。
いかにも戦士と魔法使いのパーティーだ。
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