31 / 72
31『新年会の夢物語』
しおりを挟む
真夏ダイアリー
31『新年会の夢物語』
白いネコが路地から駆けてきた。
続いて黒いネコ。
そのあと白黒のネコが来たら面白いだろうなと思った。
思ったことが、本当になるのは面白く、楽しいものだけど、ちょっと不気味だった。
黒いネコのあとには、本当に白黒のブチが、そして、まさかと思ったら三毛猫までもが、そのあとに続いた。
三毛猫というのは、そんなにはいない。だから、こうやって、パソコンでダイアリーをつけていても、黒いネコはネコと片仮名で出てくるけど、三毛猫は、あっぱれ漢字三文字だ。
正月から、縁起が良いというか、不気味というか……最後に、三毛猫が道を渡りきるところで、こちらをみてニャオーと鳴いた。「どんなもんだ」と言われたような気がした。
今日は、クリスマスと違って、昼からの集合ということになった。
あまり省吾のうちに面倒かけちゃいけないという気持ちもあったけど、みんなお正月の不摂生がたたっている。頭と体が本調子になるのは午後からだろうという予想が先にたったというべきだろう。
「今日は、親父出勤で、なんにも出来ないけど、まあ、スナックとソフトドリンクは揃えといたから」
テーブルの上には、スナックが体裁良く、お皿の上に並べられて、リッツクラッカーの上には、おせちの残りだろうか、チーズや、ハムの細切れなんかが乗っかってカナッペになっている。
「ちょっと。いじらせてもらっちゃった」
玉男がエプロンを外しながら言った。やっぱ玉男は、ただのオネエではない。
みんなが揃うまで、みんゴル・5の体感モードで遊んだ。ちゅら海リゾートのハーフだったけど、この手のモノはわたしの得意。そのうち、由香とうららも集まったけど、みんゴルは続いた。省吾が案外ダメで、10オーバー。優勝は言うまでもなく、わたしの3アンダー。
罰ゲームになんかやろうよ!
由香が提案。しばし思案顔の五人だったけど、わたしが提案した。
「初夢の発表会やろうよ!」
「あの、わたし、グッスリ続きで夢見てない」
うららの発言で却下になりかけたけど、将来の夢でもOKということになって、始まった。
「おれ、なんだか金太郎になって、熊にまたがって鬼退治する夢」
省吾の初夢にみんなが笑った。
「でもさ、鬼退治してるうちに、熊がナイスバディーのオネエチャンになってんの、それも裸のスッポンポン」
「わ、省吾ってリビドー高すぎ。鼻血出さないでよね」
わたしは、タイムリープの暗示が夢になっているのかと思った。
「わたしはね、夢じゃないけど、感動したお話」
由香が続けた。
「テレビで観たんだけど、映画監督の黒澤明が号泣した映画って、なんだか分かる?」
「スターウォーズかな。あれ、ダースベーダーの出演依頼断ったって、話だから、悔し泣き!」
玉男が、かき混ぜる。
「それは、三船敏郎でしょ」
「それがね、『となりのトトロ』なのよ。偉大な作家って、やっぱ感受性が違うのよね」
「なるほど……」
由香の話し方には説得力があり、みんな感心した。
「そういや、今月は『ハウルの動く城』と『コクリコ坂』テレビでやるんだよな」
「あ、『ハウル』今日よ。録画しとかなきゃ」
玉男が、スマホを取りだし、自分ちの録画機の予約をやりだした。玉男は、意外に最先端なので驚いた。
「あたしはね、こういう映画とか、音楽がいっぱいの、お気楽な飲み屋さんやりたいなあ」
「新宿とか赤坂?」
と、茶化してみる。
「そんなスノッブなとこじゃ、やんないわよ。渋谷か、高齢化社会ねらって巣鴨とかいいかもね」
意外と堅実。
「わたしはね……」
うららが始めた。てっきりダレかさんのお嫁さんになりたいとかじゃないかと思った。
「わたしは、うちの野球部を甲子園につれていくこと!」
「お見それしました……」
玉男が、一同を代表して感動した。
「でも、その前に、部員を二人は増やさなきゃ。七人じゃ、野球はできないわよ」
由香が、ヤンワリ釘を刺す。
「あ、なんか勘違いしてない。わたしは、甲子園に連れて行くって言ったのよ」
「それって……」
「まずは、直に観て感動するところからだと思うの。今年はみんなで甲子園の決勝戦を観にいく!」
で、みんなは大笑いになった。
わたしの番になった。
なんで優勝者が罰ゲームなのか分からなかったけど、なんだかのってきて、雰囲気になってしまった。
わたしは、昨日の『桃子の大冒険』の話をした。桃太郎が腐りかけて桃子になったところは大いに受けた。
わたしは、密かに省吾の反応をうかがったが、アハハと口を開けて笑っているだけ、やっぱ、タイムリープしたときの記憶はないのだろうか、それとも、わたしが、まだ夢を見ているのだろうか……。
31『新年会の夢物語』
白いネコが路地から駆けてきた。
続いて黒いネコ。
そのあと白黒のネコが来たら面白いだろうなと思った。
思ったことが、本当になるのは面白く、楽しいものだけど、ちょっと不気味だった。
黒いネコのあとには、本当に白黒のブチが、そして、まさかと思ったら三毛猫までもが、そのあとに続いた。
三毛猫というのは、そんなにはいない。だから、こうやって、パソコンでダイアリーをつけていても、黒いネコはネコと片仮名で出てくるけど、三毛猫は、あっぱれ漢字三文字だ。
正月から、縁起が良いというか、不気味というか……最後に、三毛猫が道を渡りきるところで、こちらをみてニャオーと鳴いた。「どんなもんだ」と言われたような気がした。
今日は、クリスマスと違って、昼からの集合ということになった。
あまり省吾のうちに面倒かけちゃいけないという気持ちもあったけど、みんなお正月の不摂生がたたっている。頭と体が本調子になるのは午後からだろうという予想が先にたったというべきだろう。
「今日は、親父出勤で、なんにも出来ないけど、まあ、スナックとソフトドリンクは揃えといたから」
テーブルの上には、スナックが体裁良く、お皿の上に並べられて、リッツクラッカーの上には、おせちの残りだろうか、チーズや、ハムの細切れなんかが乗っかってカナッペになっている。
「ちょっと。いじらせてもらっちゃった」
玉男がエプロンを外しながら言った。やっぱ玉男は、ただのオネエではない。
みんなが揃うまで、みんゴル・5の体感モードで遊んだ。ちゅら海リゾートのハーフだったけど、この手のモノはわたしの得意。そのうち、由香とうららも集まったけど、みんゴルは続いた。省吾が案外ダメで、10オーバー。優勝は言うまでもなく、わたしの3アンダー。
罰ゲームになんかやろうよ!
由香が提案。しばし思案顔の五人だったけど、わたしが提案した。
「初夢の発表会やろうよ!」
「あの、わたし、グッスリ続きで夢見てない」
うららの発言で却下になりかけたけど、将来の夢でもOKということになって、始まった。
「おれ、なんだか金太郎になって、熊にまたがって鬼退治する夢」
省吾の初夢にみんなが笑った。
「でもさ、鬼退治してるうちに、熊がナイスバディーのオネエチャンになってんの、それも裸のスッポンポン」
「わ、省吾ってリビドー高すぎ。鼻血出さないでよね」
わたしは、タイムリープの暗示が夢になっているのかと思った。
「わたしはね、夢じゃないけど、感動したお話」
由香が続けた。
「テレビで観たんだけど、映画監督の黒澤明が号泣した映画って、なんだか分かる?」
「スターウォーズかな。あれ、ダースベーダーの出演依頼断ったって、話だから、悔し泣き!」
玉男が、かき混ぜる。
「それは、三船敏郎でしょ」
「それがね、『となりのトトロ』なのよ。偉大な作家って、やっぱ感受性が違うのよね」
「なるほど……」
由香の話し方には説得力があり、みんな感心した。
「そういや、今月は『ハウルの動く城』と『コクリコ坂』テレビでやるんだよな」
「あ、『ハウル』今日よ。録画しとかなきゃ」
玉男が、スマホを取りだし、自分ちの録画機の予約をやりだした。玉男は、意外に最先端なので驚いた。
「あたしはね、こういう映画とか、音楽がいっぱいの、お気楽な飲み屋さんやりたいなあ」
「新宿とか赤坂?」
と、茶化してみる。
「そんなスノッブなとこじゃ、やんないわよ。渋谷か、高齢化社会ねらって巣鴨とかいいかもね」
意外と堅実。
「わたしはね……」
うららが始めた。てっきりダレかさんのお嫁さんになりたいとかじゃないかと思った。
「わたしは、うちの野球部を甲子園につれていくこと!」
「お見それしました……」
玉男が、一同を代表して感動した。
「でも、その前に、部員を二人は増やさなきゃ。七人じゃ、野球はできないわよ」
由香が、ヤンワリ釘を刺す。
「あ、なんか勘違いしてない。わたしは、甲子園に連れて行くって言ったのよ」
「それって……」
「まずは、直に観て感動するところからだと思うの。今年はみんなで甲子園の決勝戦を観にいく!」
で、みんなは大笑いになった。
わたしの番になった。
なんで優勝者が罰ゲームなのか分からなかったけど、なんだかのってきて、雰囲気になってしまった。
わたしは、昨日の『桃子の大冒険』の話をした。桃太郎が腐りかけて桃子になったところは大いに受けた。
わたしは、密かに省吾の反応をうかがったが、アハハと口を開けて笑っているだけ、やっぱ、タイムリープしたときの記憶はないのだろうか、それとも、わたしが、まだ夢を見ているのだろうか……。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる