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087『M資金・24 逃げろ!』
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魔法少女マヂカ
087『M資金・24 逃げろ!』語り手:ブリンダ
マヂカ……その姿!?
え……あ……わたしは……え?……ええ!?
マヂカは自分の腰から下に目をやるが、いきなりの事であるからなのか、現実が呑み込めない様子で牛の尻(自分の尻だとは理解できていない)を確かめるようにグルグル回っている。
「しっかりしろ、マヂカ!」
「痛い! 何をする!?」
「叩いたのは、牛の尻だぞ」
「え? しかし……な、なんだこれはああああああ!?」
やっと事態を呑み込んだマヂカは、牛と融合した下半身を振り捨てるように跳ねまわるが、地面が地震のように鳴動するだけだ。
「落ち着け、ホコリが立つ!」
「す、すまない……しかし、馬人間のケンタウロスというのはあるが、牛人間というのは聞いたことが無いぞ」
―― ミノタウロスがいるニャー! ――
「ミノタウロスは、頭が牛で、首から下が人間だろうが!」
―― え、そうニャのか? だったら…… ――
「考えなくっていい、それよりも、なんとかしてやれ。こんなのはフェアな戦いではないぞ!」
―― おもしろければ、フェアなんて関係ないのニャー! ――
「笑いネコめえ!」
マヂカは怒りに任せて飛び上がろうとするが、軽く見積もっても五百キロはあるだろう牛体は三十センチほどしかジャンプできていない。
「くそ!」
―― そうニャ、件(くだん)があるのニャ! おまえは件なのニャ! ――
「件だってえ!?」
「なんだ、クダンとは?」
―― 件は人偏に牛と書くニャア ――
「人……牛……」
―― そうなのニャ、頭が人で、体が牛なのニャ、そのとおりなのニャア! ――
「そうなのか?」
「ああ、日本の妖怪だ。しかし、件は生まれて間もなく死ぬものなんだ、こんないい女にまで成長することはありえない」
―― カオスだから、いいのニャア! おまえのことは件の女王と呼んでやるニャア! ニャハハハハハ ――
「笑うなあ!!」
怒りに任せてジャンプ、こんどは二メートルほどに跳んで着地。太もものあたりがプルプル揺れる……。
「ブリンダ、わたしの太ももを見て、美味しそうと思っただろ?」
「い、いや、そんなことは……」
―― モモ肉は赤身が多くて、肉本来の美味しさが凝縮しているのニャ、ジュルリ ――
ザック ザック ザック ザック………
「なんだ?」
斜め前方から歩調を揃えてやってくる一団がある……そろいの赤い服の襟元は白のフランシスコザビエルみたいなプリーツ襟で、黒いカンカン帽のようなのを被り、揃いの槍を担いでいる。
どこかで見たことがある。
「あれって、ロンドン塔の警備兵の制服だよな」
―― あいつらの役職名とか知ってるかニャア? ――
「ドライジンのラベルにあった……」
―― ティユーダー朝のころから変わってない制服もゆかしい、その名は…… ――
「まて、ここまで出ている……」
―― ニャア? ――
「ビーフイーターだ!」
「それって?」
「ビーフイーター……牛喰い男!?」
―― そうなのニャア! ――
「逃げろオオオオオオオオオ!!」
全速力で逃げ出した!
087『M資金・24 逃げろ!』語り手:ブリンダ
マヂカ……その姿!?
え……あ……わたしは……え?……ええ!?
マヂカは自分の腰から下に目をやるが、いきなりの事であるからなのか、現実が呑み込めない様子で牛の尻(自分の尻だとは理解できていない)を確かめるようにグルグル回っている。
「しっかりしろ、マヂカ!」
「痛い! 何をする!?」
「叩いたのは、牛の尻だぞ」
「え? しかし……な、なんだこれはああああああ!?」
やっと事態を呑み込んだマヂカは、牛と融合した下半身を振り捨てるように跳ねまわるが、地面が地震のように鳴動するだけだ。
「落ち着け、ホコリが立つ!」
「す、すまない……しかし、馬人間のケンタウロスというのはあるが、牛人間というのは聞いたことが無いぞ」
―― ミノタウロスがいるニャー! ――
「ミノタウロスは、頭が牛で、首から下が人間だろうが!」
―― え、そうニャのか? だったら…… ――
「考えなくっていい、それよりも、なんとかしてやれ。こんなのはフェアな戦いではないぞ!」
―― おもしろければ、フェアなんて関係ないのニャー! ――
「笑いネコめえ!」
マヂカは怒りに任せて飛び上がろうとするが、軽く見積もっても五百キロはあるだろう牛体は三十センチほどしかジャンプできていない。
「くそ!」
―― そうニャ、件(くだん)があるのニャ! おまえは件なのニャ! ――
「件だってえ!?」
「なんだ、クダンとは?」
―― 件は人偏に牛と書くニャア ――
「人……牛……」
―― そうなのニャ、頭が人で、体が牛なのニャ、そのとおりなのニャア! ――
「そうなのか?」
「ああ、日本の妖怪だ。しかし、件は生まれて間もなく死ぬものなんだ、こんないい女にまで成長することはありえない」
―― カオスだから、いいのニャア! おまえのことは件の女王と呼んでやるニャア! ニャハハハハハ ――
「笑うなあ!!」
怒りに任せてジャンプ、こんどは二メートルほどに跳んで着地。太もものあたりがプルプル揺れる……。
「ブリンダ、わたしの太ももを見て、美味しそうと思っただろ?」
「い、いや、そんなことは……」
―― モモ肉は赤身が多くて、肉本来の美味しさが凝縮しているのニャ、ジュルリ ――
ザック ザック ザック ザック………
「なんだ?」
斜め前方から歩調を揃えてやってくる一団がある……そろいの赤い服の襟元は白のフランシスコザビエルみたいなプリーツ襟で、黒いカンカン帽のようなのを被り、揃いの槍を担いでいる。
どこかで見たことがある。
「あれって、ロンドン塔の警備兵の制服だよな」
―― あいつらの役職名とか知ってるかニャア? ――
「ドライジンのラベルにあった……」
―― ティユーダー朝のころから変わってない制服もゆかしい、その名は…… ――
「まて、ここまで出ている……」
―― ニャア? ――
「ビーフイーターだ!」
「それって?」
「ビーフイーター……牛喰い男!?」
―― そうなのニャア! ――
「逃げろオオオオオオオオオ!!」
全速力で逃げ出した!
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