銀河太平記

武者走走九郎or大橋むつお

文字の大きさ
204 / 390

192『ココちゃんに決めてもらうっす!』

しおりを挟む
銀河太平記

192『ココちゃんに決めてもらうっす!』こころ 




 大きいのはダメっすからね!


 ツナカンさんにくぎを刺されて唇を突き出すアルルカンさんは、とても宇宙海賊のボスには見えない。

 わたしよりも首一つ、胡蝶さんと比べても10センチは高く、主席さんと並んでも遜色がない八頭身の高身長。

 お顔もボディーも申し分のない凹凸で、切れ長の目には、それ自体が生き物ではないかと思うようなまつ毛が戦ぎ、伝説の宇宙戦艦アニメの主要女性キャラみたい。

 艦長席に収まって、進路の先を見つめている時など伯母様に匹敵する神性を感じる時がある……んだけど、今は別人。



「だって、ナガトは持っていきたいぞぉ(`へ´)」



 腕を組んだままホッペを膨らます。

 そうっと後ろから近寄って、両手でホッペを押したくなる。

 むかし、お母さんにやれれて『プ』って陽気な音がして、みんなで笑ったのを思い出した。

 西之島のメグミさんにならできる(身長もあまり変わらないし)けど、アルルカンさんにはできません。

 背が高いし、タイミングがむつかしいし。

「ナガトは225mもあるんすよ」

「224.95mだ。レプリカだから5000トンしかないしぃ」

「200mを超えるのはダメっす」

「曳航すればいいじゃないかぁ」

「プロキシマまで行くんすよ、レプリカの船は曳航に耐えられないっす。小さいので我慢してほしいっす」

「けち」

「ああ、もう、こういうことになると子どもなんすから、船長はぁ」

 ガチャ

 レトロなエフェクト音をさせて展望室のドアから船務長のアルミカンさんが入って来る。

「……この雰囲気は、まだ悩んでいるんですか、船長(^_^;)?」

「だって、ツナカンが、ナガトはダメだって意地悪を言うんだぞ」

「ああ……」

 ゲンナリという感じで手にしたバインダーを下ろしてしまうアルミカンさん。

「船長のオモチャ……」

「オモチャ!?」

「お持ちになる携帯品が決まれば出航なんです、そろそろお願いしますよぉ」

「だってぇ(๑> ₃ <)」

「よし、それじゃ、ココちゃんに決めてもらうっす!」

「え、わたしですか!?」

「ムググ……そうだな、ここはココちゃんに決めてもらうか」

「え、え、そんな、わたしなんかぁ(;'∀')」

「お願いするっす!」

「自分もです!」

「ええ……」

 振り返ると、胡蝶さんもサンパチさんも聞こえないふりをしている。

 主席さんは、傷が痛むと言ってキャビンに戻ってしまうし。



「えと……じゃあ……これでどうでしょう?」



 せっかくのプロキシマβへの出発なのだし、できるだけ穏やかに収めたかったので『松』という可愛い船を指さした。



「「え、松?」」

 ツナカン、アルミカンのお二人が気の抜けたようなリアクション。

「あ、あれは無いぞ、ココちゃん。松はナガトを買った時にオマケで付いてきた戦時急造艦だ、もともと撮影で悪役のやっつけられ役で払い下げられたスクラップ同然の艦で、日本でも雑木林シリーズって茶化されてたショーモナイ駆潜艇だぞ!」

「船長、あれなら、いっしょに引き取った『竹』と『梅』も残ってるから三つワンセットでOKですよ!」

「そうだ、松竹梅で縁起もいいっす! 船務長、これで決定!」

「おい、おまえら!」

 アルルカンさんの抗議は無視して、テキパキと出航準備が進められる。

「全乗員に告ぐ、松竹梅を収容の後、ただちに抜錨! 冥王星軌道を離脱、プロキシマβに向け最初のワープに入る!」

「かかれ!」

 グィーーン ブルンブルン ズゴゴォォォ

 ヒンメルのあちこちで起動音がして、たちまちのうちに松竹梅の三隻も収容して、ヒンメルは太陽系を後にした。



 ナガトぉーーーーーー!



 ワープ準備にかかる艦内にアルルカン船長の悲痛な叫び声が響き渡りました(^_^;)



☆彡この章の主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン             太陽系一の賞金首
氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書

 ※ 事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

ボディチェンジウォッチ

廣瀬純七
SF
体を交換できる腕時計で体を交換する男女の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...