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007:ループ道
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馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》
007:ループ道
「……聞いておけばよかったかもしれないわ」
「聞かなくても分かるさ、道はほとんど一本道。道しるべも立ってるし、町への道は脇道よりも太いから、よっぽどボンヤリしていなければ無事に着くさ」
「ええ、道に迷うことは無いと思うんだけど……」
「じゃあ、なんだ?」
「馬鹿に付ける薬のことよ」
「え、ああ……」
思いがけず校長に出会っておはぎをご馳走になって、月と火星の宿命と使命について話し、桃栗三年ではケラケラ笑って、ずいぶん気楽になって旅の道に戻った二人だった。だが、肝心の『馬鹿に付ける薬』の話しは一つも無かった。
「楽しく話ができたから、校長も忘れてしまったんじゃないか? あの畑の道で出会ったのはたまたまだったんだし」
「ええ、それはそうなんだけれど。あそこで出会ったのは、校長先生のタク……」
「校長の?」
「タクマシイ計画だったんじゃないかしら。式場では言えなかったことを伝えるための」
「え、そうなのか?」
「おはぎの用意と言い湯呑の数と言いピッタリだったでしょ」
「あ、ああ……でも、畑はわざわざ用意したようには思えないだろ。桃や栗も昨日今日に植えたものには見えなかったぞ。申し渡し式で言えなかったからといって、簡単に準備できるものじゃないだろ」
「でも、一か月も有れば準備できる」
「あの、ヨタ話みたいなお茶会を一か月も前から準備していたって言うのかあ?」
「ええ、校長先生と話せたことで、ずいぶん気が楽になった。そうは思わないこと?」
「え、ああ……でも、そうやって準備したのなら、肝心の馬鹿に付ける薬のことに触れなかったのは、不自然すぎないか?」
「わたしたちが留年するって決めて、校長先生は気が付いたと思うのよ。使命の事を考えていることを。ふつうの留年じゃなくて旅に出したのも……」
「難しいことは分からねえけどな。オレたちの狙いと学校の方針が一致してラッキーだったってことでいいんじゃねえかぁ」
「あ、まあ、それはそうなんだけれどね。そうよね、馬鹿に付ける薬は想定外だったけど。薬を見つけてうまくいくんなら、とても幸運なことだものね」
「水や食料も足りなかったし、それを補充できただけでもラッキーだったってことでいいんじゃねえか」
「そうよね、ごめんなさいアルテミス。とりあえず、始まりの町に着くことだけを考えて進みましょ!」
「そうだな……あれ、またやっちまったかぁ?」
「あ、ああ……」
気が付くとさっき通った時に見た道しるべが立っている。
「景色もいっしょみたいだぞ」
「ああ、アルテミスが癇癪起こして蹴とばした石がそのままだわ」
「え、同じだってなんでわかる?」
「三回目だったから、マジックインクでチェックしといたのです。ほら」
示した石には三回目を現す『3』書かれていた。
「ああ、さっきはオレの方がグチってたんだっけ」
「そう、今度はわたしの方から振ってしまったようですね」
「歩いてるうちに忘れてしまって、交代でグチっては、ここに戻って来ていたんだな」
「今度こそは『始まりの町』に着くことだけを考えて行くことにしましょう!」
「よし!」
そうやってループすること四回目にして始まりの町を見晴るかす峠に立つことができた月と火星の女神たちであった。
☆彡 主な登場人物とあれこれ
アルテミス 月の女神
ベロナ 火星の女神 生徒会長
カグヤ アルテミスの姉
マルス ベロナの兄 軍神 農耕神
アマテラス 理事長
宮沢賢治 昴学院校長
ジョバンニ 教頭
007:ループ道
「……聞いておけばよかったかもしれないわ」
「聞かなくても分かるさ、道はほとんど一本道。道しるべも立ってるし、町への道は脇道よりも太いから、よっぽどボンヤリしていなければ無事に着くさ」
「ええ、道に迷うことは無いと思うんだけど……」
「じゃあ、なんだ?」
「馬鹿に付ける薬のことよ」
「え、ああ……」
思いがけず校長に出会っておはぎをご馳走になって、月と火星の宿命と使命について話し、桃栗三年ではケラケラ笑って、ずいぶん気楽になって旅の道に戻った二人だった。だが、肝心の『馬鹿に付ける薬』の話しは一つも無かった。
「楽しく話ができたから、校長も忘れてしまったんじゃないか? あの畑の道で出会ったのはたまたまだったんだし」
「ええ、それはそうなんだけれど。あそこで出会ったのは、校長先生のタク……」
「校長の?」
「タクマシイ計画だったんじゃないかしら。式場では言えなかったことを伝えるための」
「え、そうなのか?」
「おはぎの用意と言い湯呑の数と言いピッタリだったでしょ」
「あ、ああ……でも、畑はわざわざ用意したようには思えないだろ。桃や栗も昨日今日に植えたものには見えなかったぞ。申し渡し式で言えなかったからといって、簡単に準備できるものじゃないだろ」
「でも、一か月も有れば準備できる」
「あの、ヨタ話みたいなお茶会を一か月も前から準備していたって言うのかあ?」
「ええ、校長先生と話せたことで、ずいぶん気が楽になった。そうは思わないこと?」
「え、ああ……でも、そうやって準備したのなら、肝心の馬鹿に付ける薬のことに触れなかったのは、不自然すぎないか?」
「わたしたちが留年するって決めて、校長先生は気が付いたと思うのよ。使命の事を考えていることを。ふつうの留年じゃなくて旅に出したのも……」
「難しいことは分からねえけどな。オレたちの狙いと学校の方針が一致してラッキーだったってことでいいんじゃねえかぁ」
「あ、まあ、それはそうなんだけれどね。そうよね、馬鹿に付ける薬は想定外だったけど。薬を見つけてうまくいくんなら、とても幸運なことだものね」
「水や食料も足りなかったし、それを補充できただけでもラッキーだったってことでいいんじゃねえか」
「そうよね、ごめんなさいアルテミス。とりあえず、始まりの町に着くことだけを考えて進みましょ!」
「そうだな……あれ、またやっちまったかぁ?」
「あ、ああ……」
気が付くとさっき通った時に見た道しるべが立っている。
「景色もいっしょみたいだぞ」
「ああ、アルテミスが癇癪起こして蹴とばした石がそのままだわ」
「え、同じだってなんでわかる?」
「三回目だったから、マジックインクでチェックしといたのです。ほら」
示した石には三回目を現す『3』書かれていた。
「ああ、さっきはオレの方がグチってたんだっけ」
「そう、今度はわたしの方から振ってしまったようですね」
「歩いてるうちに忘れてしまって、交代でグチっては、ここに戻って来ていたんだな」
「今度こそは『始まりの町』に着くことだけを考えて行くことにしましょう!」
「よし!」
そうやってループすること四回目にして始まりの町を見晴るかす峠に立つことができた月と火星の女神たちであった。
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