馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》

武者走走九郎or大橋むつお

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019:ヒュドラを討つ・4『ケルベロス・1』

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馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》

019:ヒュドラを討つ・4『ケルベロス・1』 




 グガアアアア!

 三人が身構えると同時にケルベロスは飛びかかってきた!

 三つの首は跳躍するまでは、それぞれ三人を睨み据えていたが、跳躍の頂点に差し掛かったときは揃ってメイジのベロナに牙を剥いて襲い掛かった。

 ズサ! ビシ! ハッ!

 プルートの斬撃! アルテミスの弓! ベロナのホーリーブレス!

 三つが同時にヒット! ケルベロスはすんでのところで身を躱し右の薮の中に逃げ込む。

「まだ来るぞ!」

 プルートが叫び、ベロナもアルテミスも得物を構え直す。

「思ったほど強い攻撃じゃなかったわ(;'∀')」

「あたしの矢もちゃんと突き立ったぞ(;'▭')」

「来るぞ!」

 グガアアアア! 

 ズサ! ビシ! ハッ!

 二撃目も危なかったが、自分たちの反撃に手ごたえを感じる三人。

 ザザザザザザザ ザザザザザザザ ザザザザザザザ

 三度薮の中を右に左に駆けまわるケルベロス! その後、三度、合計五回の攻撃をしてくるが、三人の冒険服に爪がかかる程度で、一つもまともにはヒットしていない。
 加えて冒険者三人は、防御にも攻撃にも慣れて、次の攻撃ではケルベロスに致命傷を与えられる気がした。

「くそぉ……」「もう一回……」「ちょっと待て……」

 微妙に異なるテンションの呟きがして、十数メートルの距離を開けて三つ頭の犬が姿を現した。微妙に息が上がって、たぎらせている闘気はハッタリのように感じられる。

「なんだ、もうおしまいかぁ……」」

 そう言いながらも、大剣を中段に構え直すプルート。ベロナもアルテミスもそれに倣って弓と杖を構えた。

「待て待てぇ」「やるか!」「逸るな!」「痛い、勝手に首振るな!」「なにを!」「こっち見んな!」「まあまあ」「なあなあで済ますな!」「なあなあじゃねえ、まあまあって言ったんだ」「なにを!」

 三つの頭はさらに意見が合わなくなってきて、頭同士でもめ始める。

「あはは……ほっといて先に行きますか(^_^;)」

「そうだな、こんなのを相手にしても仕方がない」

「リンゴの匂いが強くなってきたし」


 さらに森の奥を進むと、やがて下草を刈って手入れの行き届いたリンゴ畑が見えてきた。


「おや?」

 リンゴ畑はテニスコート三面分ほどの広さがあって、数十本の普通のリンゴの木に取り囲まれて倍ほどの高さのが青々と葉を茂らせていた。

「あの大きいのが黄金のリンゴの木だ」

「でも、プルート、実がなっていないぞ」

「他のは、ちゃんと赤い実を付けているのに」

「おかしい、夕べ偵察した時にはちゃんと実がなっていたんだぞ。それに……」

 プルートが言うまでもなく、ベロナとアルテミスにも分かった。

 禁断の森の主、百の首を持つ蛇の化物ヒュドラの姿が見えないのだ。

「あいつ、ひょっとして早く目が覚めてしまったか……」

 そう言って、プルートは剣を抜き、ベロナとアルテミスも半身に構えてヒュドラの襲撃に備えるのだった。

 


☆彡 主な登場人物とあれこれ

アルテミス          アーチャー 月の女神(レベル10)
ベロナ            メイジ 火星の女神 生徒会長(レベル8)
プルート           ソードマン 冥王星のスピリット カロンなど五つの衛星がある
カロン            野生児のような少女  冥王星の衛星
魔物たち           スライム ヒュドラ ケルベロス
カグヤ            アルテミスの姉
マルス            ベロナの兄 軍神 農耕神
アマテラス          理事長
宮沢賢治           昴学院校長
ジョバンニ          教頭
  
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