明神男坂のぼりたい

武者走走九郎or大橋むつお

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53〔ラッキーAMY!〕

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明神男坂のぼりたい

53〔ラッキーAMY!〕 

      

 今日はガンダム(岩田武先生)の気まぐれで席替えをやった。

 四月もこの時期になると、年度初めのルーチンは、たいがい終わってしまってる。だけど、木曜は定例のロングホ-ムルーム。ただボサーっとしてるワケにはいかないんだ。


「本当は中間テストまでは出席番号順だけど、もう二年生だし、適当に慣れてきただろうから、席替えするか?」

 ウワアアアア(((^O^)))!

 みんなから歓声があがった。


 クラスというのは、それ自体あんまりおもしろいことはない。

 授業やら学校行事の便宜のために分けられてるのは、小中高と八年目になったら、よく分かる。

 お仲間の基本は、自然にできた仲良しグループだよ。

 だいたいクラスの中でできるけど、たまにクラスを超えてグループになることもある。そして、90%以上は男女別。いくら男女平等、機会均等だといっても、別々が自然だと思う。何年か前に小学校で男女混合名簿だったけど、なんにも変わらない。やっぱり男女に別れてしまう。先生の仕事も複雑になるだけで、二年ほどで廃止になった。

「目がわるいとか、勉強したいから前の方に来たいやつは、手をあげろ」

 これは先生の担任としての「配慮はした」いうアリバイ。

 ガンダムは、この三月までは生指部長だったから、そのへんにぬかりはない。

 好きこのんで前に行きたいヤツは……いた。近藤と芹沢という女子が手をあげた。単に目が悪いのか、なんか人間関係かは分からないけど、ガンダムは、この二人チェックしただろうなあ。

 席替えは、最初の十人まではクイズで決める。

「校長先生の名前は?」

 数人の手が上がって、まだ名前を憶えていない男子が答える。

「○○○○先生!」

 一瞬の間があって、みんなが笑う


 それは、不当人事やら恣意的な学校運営やって、三月でクビになった前校長の名前。

 ちょっと気まずい間が開く。


「ご近所問題、江戸の総鎮守と言われる神社は?」

「ハイ、神田明神です!」

 もちろん答えたのはあたし! 他にも二三人は分かってたようで、残念そう。

「じゃ、神田明神の御祭神は?」

 続いて答える。

「ハイ、大己貴(オオナムチ) 少彦名(スクナヒコナ) 平将門です!」

「え、あ、そうだな」

 ガンダムは大己貴命と少彦名命は知らなかったみたい。

―― うちの親父目立ちすぎ ――

 五月の声がしたような気がした。           

「今のAKBのセンターは?」


 くだけた質問もある。


「うちの担任はイケメンランク十段階評価で、何番目か?」


 これは、オッサンふざけすぎ。ガンダムはイケメンいうカテゴリーにもともと入らない。でも無理矢理一番と言わせて、クイズを締めくくった。あとは黒板にあみだくじ書いて決めた。


「じゃあ、自分の机と椅子持って移動、始め!」

 三十三人の生徒が、一斉に机と椅子を持って八メートル四方の教室を移動。これだけで五分は潰れる。そして机動かすときの積極性なんかをガンダムは見てる。単に時間消化だけじゃなくって、見るべきは見てる。やっぱり、元生指部長、やることに無駄はない。

 この席替えで、前が伊藤ゆかり、後ろが中尾美枝になった。

「よろしくね、明日香」

 美枝が気楽に声かけてきた。

 あんまり話したことはないけど、気楽なオネーチャン風。元気な子で、声も大きい。いつもニコニコしてるけど、言いたいことはハッキリ言う。前のクラスでイジメやってた男子を凹ました武勇伝のウワサ。

 前の伊藤さんは、落ち着いた優等生。で、この二人は一年の時同じクラスで、性格ぜんぜんちゃうのに仲がいい。
 積極的な美枝が、気遣って間に入ったあたしに声かけてくれたのが嬉しい。

「あたしたち、チームAMYいうことにしよっか?」

「AMY?」

「ほら、明日香、美枝、ゆかり」

「あ、頭文字?」

 美枝の提案で即決。

「あ、でも、あたしがトップ?」

「あ、他の並べ方だと発音できないし」

「YMA AYM MAY」

「MAYはメイって読めるかな?」

「でも、エイミイって元気っぽいじゃない?」

 ゆかりがフォローしてなるほどという気がする。

「神田明神も、将門さんがイチオシで有名だったりするし」

「あ、だったらわたし(ゆかり)がトップなの?」

「ハハ、ちゃっかりあたし(美枝)がセンターでもあるぞ(^_^;)」

 なんだか、調子よく決まってしまった。 


 放課後、食堂のジュースでエイミーの発足式。

 自販機のボタンを押すと、めったに出ない『当たり!』が出て、幸先がいい。

「「「ラッキー!」」」

 二個のジュースを食堂の湯呑に三等分。

「「「かんぱーーい!」」」

 湯呑をかたして、食堂を出る。

 初夏をを思わせる日差しが、ちょっぴり眩しかった!

 ここにきて二年生は、おもしろくなりそう。

 
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