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74〔三者懇談〕
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明神男坂のぼりたい
74〔三者懇談〕
「思慮深そうですが、ちょっとオッチョコチョイですなあ」
ガンダムの第一声がこれだった。
お母さんはニコニコ聞いてる。
で、その横で、お父さんが友好的なポーカーフェイス。
あたしは、ただただ恥ずかしくてドキドキ。
三者懇談に両親が揃ってくるとこなんてありえない。これが恥ずかしい理由。
ガンダムは元生指部長だった。他の先生よりも生徒を見る目が確かで厳しい。これがドキドキの理由。
うちの親は二人とも元教師だから、懇談の手のうちをよく知ってる。
お父さんは、いま学園ものを書いてるんで、その勉強のためと言って付いてきた。ようは暇なだけなんだけど、娘のあたしは迷惑なだけ。あたしの前が安室君(学級委員長)、後が秀才の新島君。当たり前だけど付いてきてるのはお母さん。控えめだけど、両親が揃って来てるのに興味津々いう顔をしていた。
「どんなところで、そうお感じになるんですか?」
優しく、でも鋭く切り込んでくる。普通の親だったら、黙ってニコニコ聞き流すとこだよ。こういう抽象的な評価に、どれだけ具体的な裏付けを持ってるかで、教師の力が分かるらしい。
「卒業式の時、式場に入りたがらん教師が何人か居たんですが、そういう教師に世間話を装っていじめとったようです」
アハハハハ ギロ
お父さんが、大きな声で笑うし、お母さんは睨んでくるし(;'∀')。
「それから、一年の三学期にクラスの子が交通事故で亡くなったんですが、ご家庭の事情で家族葬にされました。それを明日香は調べ上げて、火葬場の前でずっと待っていて、寒さのためにひっくりかえって、火葬場の事務所でお世話になりました」
「な、なんで、先生、知ってんの!?」
「オレも、火葬場まで行ってたんだ。敷地の反対側だったんで明日香の事は気が付かなかったんだけどな。それに、明日香には言わないほうがいいと思って、今まで知らんふりしてた」
「さすが先生ですね。あのことは、この子の頼みで内緒にしてたんですけど」
「明日香の優れたところです。多少無茶なとこがありますが、大事にしてやりたいと思っています。そういうところを見込んで転校生の世話なんか頼んだんですが、転校生の子もしっかりしていて、まあ、結果的には、いい当て馬になったと思ってます」
あたしのオッチョコチョイは他にもあるけど、先生は黙ってくれていた。観察力の鋭さと、その鋭さに、ちょっと温もりを感じた。
「しかし、成績は別もんですなあ……国・数・英が、かなり低いです。この期末と二学期にがんばらないと、三年で特別推薦で進学しようと思ったら厳しいですね」
「明日香、がんばらなきゃあ」
「分かってるって(*≧0≦*)」
「ただ、国語の答案なんか見てますと、なんちゅうか、分かってるくせに、わざと違う答え書いて成績落としているようなところがあります」
「それについては心配していません。明日香は、自分の感性で喋ったり、文章書いたりする子です。要は自己主張する場所を間違うてるだけですので、今度の期末は失敗しないと、親バカですが思っています」
「そうですなあ。おたまじゃくしは、いつかカエルになるもんですからね」
え、あたしは成ってもカエルかよ?
「あとは、本人の進路希望ですなあ。明日香、おまえぐらいだぞ、進学希望に漠然と文系進学としか書いてないのは。なんか具体的に行きたい学部とかないのか?」
「どうなの、明日香?」
大人三人の視線がいっぺんに集まった。もうあたしも二年、オチャラケた執行猶予言うわけにはいかない……。
「演劇科のある大学にいきたいです!」
「「「え?」」」
大人三人がびっくりした。
そりゃそうだろ……。
口走った本人が、一番びっくりしてんだから(^_^;)。
74〔三者懇談〕
「思慮深そうですが、ちょっとオッチョコチョイですなあ」
ガンダムの第一声がこれだった。
お母さんはニコニコ聞いてる。
で、その横で、お父さんが友好的なポーカーフェイス。
あたしは、ただただ恥ずかしくてドキドキ。
三者懇談に両親が揃ってくるとこなんてありえない。これが恥ずかしい理由。
ガンダムは元生指部長だった。他の先生よりも生徒を見る目が確かで厳しい。これがドキドキの理由。
うちの親は二人とも元教師だから、懇談の手のうちをよく知ってる。
お父さんは、いま学園ものを書いてるんで、その勉強のためと言って付いてきた。ようは暇なだけなんだけど、娘のあたしは迷惑なだけ。あたしの前が安室君(学級委員長)、後が秀才の新島君。当たり前だけど付いてきてるのはお母さん。控えめだけど、両親が揃って来てるのに興味津々いう顔をしていた。
「どんなところで、そうお感じになるんですか?」
優しく、でも鋭く切り込んでくる。普通の親だったら、黙ってニコニコ聞き流すとこだよ。こういう抽象的な評価に、どれだけ具体的な裏付けを持ってるかで、教師の力が分かるらしい。
「卒業式の時、式場に入りたがらん教師が何人か居たんですが、そういう教師に世間話を装っていじめとったようです」
アハハハハ ギロ
お父さんが、大きな声で笑うし、お母さんは睨んでくるし(;'∀')。
「それから、一年の三学期にクラスの子が交通事故で亡くなったんですが、ご家庭の事情で家族葬にされました。それを明日香は調べ上げて、火葬場の前でずっと待っていて、寒さのためにひっくりかえって、火葬場の事務所でお世話になりました」
「な、なんで、先生、知ってんの!?」
「オレも、火葬場まで行ってたんだ。敷地の反対側だったんで明日香の事は気が付かなかったんだけどな。それに、明日香には言わないほうがいいと思って、今まで知らんふりしてた」
「さすが先生ですね。あのことは、この子の頼みで内緒にしてたんですけど」
「明日香の優れたところです。多少無茶なとこがありますが、大事にしてやりたいと思っています。そういうところを見込んで転校生の世話なんか頼んだんですが、転校生の子もしっかりしていて、まあ、結果的には、いい当て馬になったと思ってます」
あたしのオッチョコチョイは他にもあるけど、先生は黙ってくれていた。観察力の鋭さと、その鋭さに、ちょっと温もりを感じた。
「しかし、成績は別もんですなあ……国・数・英が、かなり低いです。この期末と二学期にがんばらないと、三年で特別推薦で進学しようと思ったら厳しいですね」
「明日香、がんばらなきゃあ」
「分かってるって(*≧0≦*)」
「ただ、国語の答案なんか見てますと、なんちゅうか、分かってるくせに、わざと違う答え書いて成績落としているようなところがあります」
「それについては心配していません。明日香は、自分の感性で喋ったり、文章書いたりする子です。要は自己主張する場所を間違うてるだけですので、今度の期末は失敗しないと、親バカですが思っています」
「そうですなあ。おたまじゃくしは、いつかカエルになるもんですからね」
え、あたしは成ってもカエルかよ?
「あとは、本人の進路希望ですなあ。明日香、おまえぐらいだぞ、進学希望に漠然と文系進学としか書いてないのは。なんか具体的に行きたい学部とかないのか?」
「どうなの、明日香?」
大人三人の視線がいっぺんに集まった。もうあたしも二年、オチャラケた執行猶予言うわけにはいかない……。
「演劇科のある大学にいきたいです!」
「「「え?」」」
大人三人がびっくりした。
そりゃそうだろ……。
口走った本人が、一番びっくりしてんだから(^_^;)。
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