宇宙戦艦三笠

武者走走九郎or大橋むつお

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47[小惑星ピレウス・4]

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宇宙戦艦三笠

47[小惑星ピレウス・4] 修一  

 


 ジャングルのいくらも離れていないところにテキサスは着陸していた。


「こんな近くで、どうして探知できなかったんだろう?」

 クレアが、半ば不服そうに腕を組む。

「三笠の倍の航路をとって、惑星直列になるのを待ってピレウスに来たんだ。三笠程じゃないけど、レイマ姫が時間をかけてステルスにしてくれたから」

「他のアメリカ艦隊は?」

 俺が艦長として聞くと、ジェーンは微妙に視線を外した。

「大規模な戦闘になることが避けられないので戦略的に撤退。で、テキサスだけが大回りしてピレウスに着陸したんだ、三笠と連携して作戦行動をとるためにね。日本とは集団的自衛権を互いに認め合っているから、合理的な判断だよ」

「……アメリカ人が自信満々で言う時は、どこかに嘘か無理があるんだよな。要はアメリカが全面撤退した中で、ジェーンはオレたちとの義理のために単独行動しているってことじゃないのか?」

「違う! 義理じゃなくて友情。友情的作戦、作戦計画も正式なものだし(`Δ´)!」

 アメリカにとっては正式かもしれないが、日本代表たる三笠には何も知らされていない。しかし、ジェーンの友情には変わりのないことだろうと、それ以上触れるのはよした。なによりも、寒冷化防止装置を独り占めにしないで三笠を待っていてくれたのだからな。

「一つ分かんないことがあるんだけど(^_^;)」

 樟葉が儀礼的な微笑みのまま指をたてた。

「ピレウスは、グリンヘルドとシュトルハーヘンと同じ恒星系にあるのに、どうしてグリンヘルドもシュトルハーヘンも、この星への移住を考えないのかなあ。地球に行く何百倍もお手軽なのに」

 ジェーンは沈黙し、レイマ姫は静かに息を吸ってから、こう言った。

「話するよりも、実物見でもらったほうがいびょん。こっちさぎでけ」

 テキサスを出ると、すぐ近くになんの変哲もない岩が苔むしていた。

「この岩が?」

「こごが入口だよ」


 一瞬目の前が白くなったかと思うと、目の前に長い廊下が現れた。


 歩くにしたがって、様々な大きさのクリスタルが廊下の両側に並んでいるのが分かった。

 クリスタルの中身は、すぐそばまで行かなければ見えない仕掛けになっていて、好奇心の強い天音が先頭を歩いていたが、見た順に美奈穂は悲鳴を上げ、他の面々も怖気をふるった。

「……これは人工生命の失敗作ですね」

 クレア一人が冷静に見抜いた。

「そう……ピレウス人の遺体がら採取すたDNA操作すて、いろいろ作ったんだげども、みんな魔物みだぐなってまって……納得すたっきゃ、あんます見ね方がいいよ」

「人間らしいものもあるけど……?」

 気丈な天音は、その先のクリスタルを指さした。

「それは、ピレウスの調査さ来だグリンヘルドどシュトルハーヘンのふとたぢだよ。ピレウスさ来るど、三日ど命がもだねじゃ」

「それで、あいつらはピレウスには手を出さないのか(-゛-;)!」

「ピレウス人の最終戦争で使わぃだのが、この結果よ。みんなDNAに異常きたすて死ぬが魔物になっですまうんだ」

 グリンヘルド、シュトルハーヘン、ピレウスの秘密に愕然とする三笠のクルーたちだった。

「あ……ということは!?」

 トシが声をあげた。

 同じ思いはみんなの心の中で湧きあがった……。




☆ 主な登場人物

 修一(東郷修一)    横須賀国際高校二年 艦長
 樟葉(秋野樟葉)    横須賀国際高校二年 航海長
 天音(山本天音)    横須賀国際高校二年 砲術長
 トシ(秋山昭利)    横須賀国際高校一年 機関長
 レイマ姫        暗黒星団の王女 主計長
 ミカさん(神さま)   戦艦三笠の船霊
 メイドさんたち     シロメ クロメ チャメ ミケメ
 テキサスジェーン    戦艦テキサスの船霊
 クレア         ボイジャーが擬人化したもの
 ウレシコワ       遼寧=ワリヤーグの船霊
 こうちゃん       ろんりねすの星霊
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