待ての勇者と急ぎの姫騎士

武者走走九郎or大橋むつお

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024:謎かけ魔物 リーツセル(Rätsel)

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待ての勇者と急ぎの姫騎士

024:謎かけ魔物 リーツセル(Rätsel)





「今度は、このブリュンヒルデが前に立とう」


 キッパリ言うと、ヒルデが先頭に立った。

 あれからから二回進んで、二回とも銅像のところに戻ってしまう。三度目はカメラを飛ばして方向を探りながらだったんだけど、それでも、銅像のあるところから先には進めない。

「申しわけございません、ヒルデ様」

「気に病むな。おそらくは、道を迷わせる魔物のせい……いや、ひょっとしたら、この土地に呪いがかかっているのかもしれん。幾多の戦いで敵の罠を見破ってきたわたしだ、すぐに出口を見つけ出してやるさ」

 ズサ! バサ! ドサ!……

 力強く草をなぎ倒し前に進むヒルデ、やっぱり戦乙女は頼もしい。エマも——ヒルデ様なら——と頼もし気な目でヒルデの後に付いている。

 オレが前に出ようという気持ちもあったんだけどな。十年に近い営業で方向感覚というか地理的な勘は人の倍くらい働く。しかし、ここでオレがしゃしゃり出ては女子二人のプライドを傷つける。どんな時でも人を立てる、取りあえず待てというのがオレのセオリーだ。


「いったいどうなってる!?」


 キレれかかるヒルデ。

 やっぱり、元の銅像のところに戻って来てしまう。

「少し落ち着こう。エマ、お茶の用意をしてくれるかい」

 そう言うと少しホッとしてストレージからテーブルセットとお茶の道具を出すエマ。

「ヒルデ、ここいらの草を刈ってお茶の設えにしようか」

「う、うむ」

 行き詰ったときは、とりあえずお茶。というか、各々に行動の目標を与える。そうすれば、苛立ちのいくらかは収まる。

「さすがはスグル様です(^○^)」

 エマは喜んでくれる。

「……それで、この後はどうするんだ (ಠ_ಠ)?」

 二杯目のお茶を飲み干してヒルデの目は険しい。職場のお局(おつぼね)さまを思い出してしまう。

「あ、じゃあ続いてトイレ休憩にしようかぁ(^_^;)?」

「まだ溜まってはおらん!」「プ( ´艸`)」

 再びヒルデがキレかかり、エマがかわいく噴き出す。

 しょうじき打つ手がない。フリーター営業の知恵は底が浅い。


——おい、聞こえ……か? 聞……えるか?——


 とつぜん、頭の中に声が聞こえた。エマもヒルデも——え?——という顔をしている。

 二人に——とりあえず聞こう——という目配せをして声に耳を傾ける。

——聞こえてる、おまえは?——

——最終戦のドラゴンだ——

 女子二人も驚いているんだろうけど、顔には出さない。オレも営業的ポーカーフェイス。

——ドラゴンがなんの用だ?——

——お前たちを困らせているのはリーツセル(Rätsel)という謎かけの魔物だ——

——リーツセル?——

——謎を解かなければ、永遠に堂々巡りをさせられる。目の前に謎めいたものがあるはずだ、それを解いてみろ——

——謎……この銅像か!?——

——おそらくな。真剣に考えれば答えが出る。リーツセルは答えられんナゾナゾは出さん。諦めてギブアップする道もあるがな、諦めると二度とこのルートでは先に勧めなくなる。正解がでなければ永遠の堂々巡り、がんばれ——

「おい、ドラゴン!」

「……途切れてしまいましたね」

「ク、おちょくってやがるのかぁ?」

「最終戦で助けてもらって恩に感じてるんだろう。日暮里の銅像……これはスグルに課せられたナゾナゾだ。がんばれ」

「ググ……(-_-;)」

 オレは腕を組んで二つの銅像に向かい合った…………。

 


 ☆彡 主な登場人物

・鈴木 秀(すずきすぐる)    三十路目前のフリーター
・ブリュンヒルデ         ブァルキリーの戦乙女
・エマ              バンシーのメイド
・女神              異世界転生の境に立つ正体不明の女神
・ハンス・バウマン        ズィッヒャーブルグのギルドマスター
・フンメル            西の墓地に葬られている一万年前の勇者
・カルマ             フンメルとパーティーを組んでいたエルフの魔法使い
・秀の友人たち          アキ 田中

 
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