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16『喫茶みかど』
RE・かの世界この世界
016『喫茶みかど』
「先輩! 先輩なんですね!?」
女神さまの声は中臣先輩だった!
ほんの一時間足らずぶりなんだけど、海外のどこかで財布もスマホもパスポートも無くして知り合いに出会った感じ。
『どうやら、とても難しい世界に行ってしまったようね』
「はい、えと、わたしどうしたらいいんでしょう(;'∀')」
『あのね……ちょっと待って……』
電話の向こうでボシャボシャと話声、どうやら志村先輩と話し合っているようだ。
『……わかった、うん……いい、みっちゃん。一つ課題を解決すれば、その世界から離脱できるの。いま、時美に探してもらってるから……うん、こっち? えと……みっちゃん』
「はい」
『駅一つ向こうに『みかど』って喫茶店があるの』
「あ、A駅の方ですね」
リアルでっていうか元の世界のA駅前で見かけたことがある。
『その『みかど』の窓際の四人掛けシート、そこに三時半から四時までの間座っていてもらいたいの』
「座って何をするんですか?」
『意味はまだ分からない。ただ、座っていることで、そっちの世界が三十年後に大きな影響があるらしいの。お願いできるかなあ……』
ひどく申し訳なさそうな口調、先輩にも詳しいことは分からないんだろう。
「分かりました、三時半なら余裕です!」
『じゃ、がんばってね!』
「はい、がんばります!」
場所も分かっているので明るく応えて受話器をもどした。
『がんばってね』「がんばります」……女子の常套句。小説とか書いていたら、まず使わない月並みで上っ面な言葉。でも、とっさに出てくるのはこういう言葉なんだ。今だって先輩の『がんばってね!』を冷たいとは感じなかった。
わたし、小説の表現なんか考えてるよ。ちょっと余裕? ううん、さっきまでは赤地に白丸とかニクソイ小学生とか変な参考書とかでアセアセになりかけて、先輩の電話でめっちゃ救われたんだ。やっぱり、先輩の人柄なんだ。
自販機で切符を買うなんて久しぶり。
行先ボタンとお金、どっちが先か? ちょっと悩んで、ボタンを押すけど反応なし。お金なんだと、百円と十円二枚を投入。
すると、この駅を真ん中に上り下り二駅ずつのランプが点いてA駅を選ぶ。
改札機ではふんだくられるように切符が吸い込まれるので、ちょっとビックリ。
スイカとか定期はスイっと改札機を舐めるだけなので暴力的に感じてしまうんだ。
寒!
電車に乗ると、暴力的な冷房に震える。
設定温度間違えてるんじゃないかと鳥肌といっしょに腹がたつけど、周囲のお客さんたちは平然としている。
「うわ!」
進行方向の逆につんのめる。
電車の加速が、ガックンガックンしていてびっくり。
元の世界では、もっと滑らかに加速していたと思う。これじゃ、立っているお年寄りなんか……周囲を見ると、そのお年寄りも含め、みんな器用にショックをいなしている。
スマホはおろか携帯を触っている人も居ない。お年寄りは三四人くらいで、乗客の平均年齢は、かなり若いように思える。
そうか、昭和63年は、お年寄りの数は少ないんだ。
驚いたり感心しているうちにA駅に着く。
身構えて改札機へ……
バシュ(;'∀')
やっぱりふんだくられるのには慣れない。
A駅の控え目な駅前を歩く。
記憶では、もうちょっと賑やかなんだけど、三十年前はこんなものなのかもしれない。
そして、『みかど』という喫茶店は見つからなかった……。
☆ 主な登場人物
寺井光子 二年生
二宮冴子 二年生、不幸な事故で光子に殺される
中臣美空 三年生、セミロングの『かの世部』部長
志村時美 三年生、ポニテの『かの世部』副部長
016『喫茶みかど』
「先輩! 先輩なんですね!?」
女神さまの声は中臣先輩だった!
ほんの一時間足らずぶりなんだけど、海外のどこかで財布もスマホもパスポートも無くして知り合いに出会った感じ。
『どうやら、とても難しい世界に行ってしまったようね』
「はい、えと、わたしどうしたらいいんでしょう(;'∀')」
『あのね……ちょっと待って……』
電話の向こうでボシャボシャと話声、どうやら志村先輩と話し合っているようだ。
『……わかった、うん……いい、みっちゃん。一つ課題を解決すれば、その世界から離脱できるの。いま、時美に探してもらってるから……うん、こっち? えと……みっちゃん』
「はい」
『駅一つ向こうに『みかど』って喫茶店があるの』
「あ、A駅の方ですね」
リアルでっていうか元の世界のA駅前で見かけたことがある。
『その『みかど』の窓際の四人掛けシート、そこに三時半から四時までの間座っていてもらいたいの』
「座って何をするんですか?」
『意味はまだ分からない。ただ、座っていることで、そっちの世界が三十年後に大きな影響があるらしいの。お願いできるかなあ……』
ひどく申し訳なさそうな口調、先輩にも詳しいことは分からないんだろう。
「分かりました、三時半なら余裕です!」
『じゃ、がんばってね!』
「はい、がんばります!」
場所も分かっているので明るく応えて受話器をもどした。
『がんばってね』「がんばります」……女子の常套句。小説とか書いていたら、まず使わない月並みで上っ面な言葉。でも、とっさに出てくるのはこういう言葉なんだ。今だって先輩の『がんばってね!』を冷たいとは感じなかった。
わたし、小説の表現なんか考えてるよ。ちょっと余裕? ううん、さっきまでは赤地に白丸とかニクソイ小学生とか変な参考書とかでアセアセになりかけて、先輩の電話でめっちゃ救われたんだ。やっぱり、先輩の人柄なんだ。
自販機で切符を買うなんて久しぶり。
行先ボタンとお金、どっちが先か? ちょっと悩んで、ボタンを押すけど反応なし。お金なんだと、百円と十円二枚を投入。
すると、この駅を真ん中に上り下り二駅ずつのランプが点いてA駅を選ぶ。
改札機ではふんだくられるように切符が吸い込まれるので、ちょっとビックリ。
スイカとか定期はスイっと改札機を舐めるだけなので暴力的に感じてしまうんだ。
寒!
電車に乗ると、暴力的な冷房に震える。
設定温度間違えてるんじゃないかと鳥肌といっしょに腹がたつけど、周囲のお客さんたちは平然としている。
「うわ!」
進行方向の逆につんのめる。
電車の加速が、ガックンガックンしていてびっくり。
元の世界では、もっと滑らかに加速していたと思う。これじゃ、立っているお年寄りなんか……周囲を見ると、そのお年寄りも含め、みんな器用にショックをいなしている。
スマホはおろか携帯を触っている人も居ない。お年寄りは三四人くらいで、乗客の平均年齢は、かなり若いように思える。
そうか、昭和63年は、お年寄りの数は少ないんだ。
驚いたり感心しているうちにA駅に着く。
身構えて改札機へ……
バシュ(;'∀')
やっぱりふんだくられるのには慣れない。
A駅の控え目な駅前を歩く。
記憶では、もうちょっと賑やかなんだけど、三十年前はこんなものなのかもしれない。
そして、『みかど』という喫茶店は見つからなかった……。
☆ 主な登場人物
寺井光子 二年生
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