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164『瀕死のトール元帥』
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RE・かの世界この世界
164『瀕死のトール元帥』テル
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!
少年巨人族のアドバイスで野営のテントを張り終えたとき、森の中央あたりでとんでもない音がした。
「え、なに?」
ペグを打つ手が止まって、目を向けた時にはヒルデもタングリスも駆け出している。
「ケイト、行くぞ!」
「うん!」
「わたし」
「ユーリアは少年と残れ! ロキもだ!」
ペグもハンマーも放り出し、ケイトと並んでカテンの森を奥に向かって走る。
ヒルデたちの姿は見えなくなっているけど、森の真ん中と思われるあたりから煙が立ち上っているので、それを目当てに奥を目指す。
奥に近づくにしたがって、鉄と油と肉の焼ける臭いが濃くなって息苦しく、目もシカシカしてくる。
うわあ……………………(;'∀')
言葉にならなかった。
学校の校庭ほどの範囲に木々がなぎ倒され、その木々を押しつぶしたり下敷きになったりして数十両の戦車が擱座している。煙や炎を噴き出しているものや、これでも戦車かと目を疑うようなひしゃげ方をしたものばかりで、まともなものは一両もないありさまだ。
そして、その戦車のことごとくがトール元帥の部隊の所属を示すミョルニルハンマーのマークがついている。火や煙を噴いている車両からは肉の焼ける臭いがして、戦車の周囲には半ば焦げた戦車兵たちの骸が転がっている。
「あ、あそこに!」
タングリスの声がして、わたしたちも、そこを目指した。
砲塔が吹き飛んだ五号戦車の横にトール元帥が横たわっている。
「元帥、しっかりしてください!」
タングリスが駆け寄ってトール元帥を抱き起す。ヒルデは比較的無事な車両からAEDを取り出して、元帥の軍服の胸をはだけようとする。
「姫、そのようなものでは、もう間に合いません……」
「元帥!!」
ヒルデの呼びかけに、元帥はようやく目を開けた。
「わたしの手にも負えないところまで来ております、なんとかカテンの森まで撤退してきましたが……ここまでです……姫たちはお逃げなされ……別の次元に……異世界に……」
「じい、死ぬな!」
「間もなく、敵の追手が……」
「元帥!」
ちょっと違和感……トール元帥が普通の人間の大きさになっているのだ。
そうか、デミゴッドの呪いめいたものが元帥にまで影響しているんだ。
若返って消えてしまわないのは、トール元帥の神性によるものなのかもしれない。
「元帥、タングニョーストは?」
「激戦の中で行方がしれません……おそらくは、退路を確保するために……」
「元帥、アルティメイトリカバリーを」
「タングリス(‘꒪д꒪’)!」
ヒルデが目をむき、元帥が息をのんだ。
「このために、自分は存在しているのです」
そう言うと、タングリスは軍服を脱ぎ始めた。
「タン……グリ……」
数秒で美しい裸身を晒したタングリスはトール元帥の上に覆いかぶさっていく。
「お、おまえらは見るな!」
わたしたちの存在に気付いたヒルデが体を張って隠そうとする。
「あ、あわわわ……((;゚Д゚))」
「すまない!」
ショックを受けているケイトを引きずって焦げた木の陰に隠れる。
ア! アッ! アア……アアアア……!
苦痛とも喜悦ともとれるタングリスの声が森の中に木霊する。
この声を聞いてはいけない! 聞かせてはいけない!
テルの頭を抱えるようにして木の陰に蹲った。
☆ ステータス
HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・900 マップ:14 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
スプラッシュテール(ブリュンヒルデ) 空蝉(ポチ)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) テルの幼なじみ ペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目に1/12サイズの人形に擬態
ペギー 荒れ地の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
ナフタリン ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
フェンリル二世 狼族の王子
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
164『瀕死のトール元帥』テル
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!
少年巨人族のアドバイスで野営のテントを張り終えたとき、森の中央あたりでとんでもない音がした。
「え、なに?」
ペグを打つ手が止まって、目を向けた時にはヒルデもタングリスも駆け出している。
「ケイト、行くぞ!」
「うん!」
「わたし」
「ユーリアは少年と残れ! ロキもだ!」
ペグもハンマーも放り出し、ケイトと並んでカテンの森を奥に向かって走る。
ヒルデたちの姿は見えなくなっているけど、森の真ん中と思われるあたりから煙が立ち上っているので、それを目当てに奥を目指す。
奥に近づくにしたがって、鉄と油と肉の焼ける臭いが濃くなって息苦しく、目もシカシカしてくる。
うわあ……………………(;'∀')
言葉にならなかった。
学校の校庭ほどの範囲に木々がなぎ倒され、その木々を押しつぶしたり下敷きになったりして数十両の戦車が擱座している。煙や炎を噴き出しているものや、これでも戦車かと目を疑うようなひしゃげ方をしたものばかりで、まともなものは一両もないありさまだ。
そして、その戦車のことごとくがトール元帥の部隊の所属を示すミョルニルハンマーのマークがついている。火や煙を噴いている車両からは肉の焼ける臭いがして、戦車の周囲には半ば焦げた戦車兵たちの骸が転がっている。
「あ、あそこに!」
タングリスの声がして、わたしたちも、そこを目指した。
砲塔が吹き飛んだ五号戦車の横にトール元帥が横たわっている。
「元帥、しっかりしてください!」
タングリスが駆け寄ってトール元帥を抱き起す。ヒルデは比較的無事な車両からAEDを取り出して、元帥の軍服の胸をはだけようとする。
「姫、そのようなものでは、もう間に合いません……」
「元帥!!」
ヒルデの呼びかけに、元帥はようやく目を開けた。
「わたしの手にも負えないところまで来ております、なんとかカテンの森まで撤退してきましたが……ここまでです……姫たちはお逃げなされ……別の次元に……異世界に……」
「じい、死ぬな!」
「間もなく、敵の追手が……」
「元帥!」
ちょっと違和感……トール元帥が普通の人間の大きさになっているのだ。
そうか、デミゴッドの呪いめいたものが元帥にまで影響しているんだ。
若返って消えてしまわないのは、トール元帥の神性によるものなのかもしれない。
「元帥、タングニョーストは?」
「激戦の中で行方がしれません……おそらくは、退路を確保するために……」
「元帥、アルティメイトリカバリーを」
「タングリス(‘꒪д꒪’)!」
ヒルデが目をむき、元帥が息をのんだ。
「このために、自分は存在しているのです」
そう言うと、タングリスは軍服を脱ぎ始めた。
「タン……グリ……」
数秒で美しい裸身を晒したタングリスはトール元帥の上に覆いかぶさっていく。
「お、おまえらは見るな!」
わたしたちの存在に気付いたヒルデが体を張って隠そうとする。
「あ、あわわわ……((;゚Д゚))」
「すまない!」
ショックを受けているケイトを引きずって焦げた木の陰に隠れる。
ア! アッ! アア……アアアア……!
苦痛とも喜悦ともとれるタングリスの声が森の中に木霊する。
この声を聞いてはいけない! 聞かせてはいけない!
テルの頭を抱えるようにして木の陰に蹲った。
☆ ステータス
HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・900 マップ:14 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
スプラッシュテール(ブリュンヒルデ) 空蝉(ポチ)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) テルの幼なじみ ペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目に1/12サイズの人形に擬態
ペギー 荒れ地の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
ナフタリン ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
フェンリル二世 狼族の王子
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
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