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195『岡山を目指して語り合ってしまう』
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RE・かの世界この世界
195『岡山を目指して語り合ってしまう』テル
将来は宇野と岡山を結ぶ鉄道(宇野みなと線)ができる道を歩いている。
天狗山を左に見ながら歩いていくと、正面に山(高旗山)。将来はトンネルができるらしいけど、今はまだ無いので左に折れて山すそを西に進むと一時間ちょっとで山が尽きて海が見えてきた。
「ええ、また海に出てきてしまったぁ(;'∀')」
ケイトが文句を言う。
「あ、ちがくて。児島湾が回り込んでんだ。将来は埋め立てられて田んぼがいっぱいできて、残ったところは児島湖って人工湖としては世界二位の湖ができるんだ」
「ん……アフリカとかにもっと大きな人工湖があったはず、長江の三峡ダムのせき止湖なんか瀬戸内海よりも大きいはずだ」
「ちがくて、堤防で海を仕切ってできた湖だ! そういう人工湖の中じゃ世界で二番目なんだ、そーいう意味だ(>∀<)」
へえーーー
なんか無理に――すごい!――と言ってるようで、みんな感動が薄い。
「ハハ、これは桃太郎二号くんの郷土愛です。わたしは素敵だと思います」
「そ、そうだろ! イザナギのおっさんは大人のくせに偉いぞ!」
「いや、わたしこそ、ややこしい地形にして申し訳ない」
「え、なんでおっさんが謝るんだ?」
「なんにも知らないんだなあ、日本の島々を生んだのは、このイザナギさんなんだぞ」
ケイトがオネエサンぶってマウントをとりにくる。
「え、そうなのか!?」
「いえいえ、地形が複雑で、みなさんにはご迷惑をかけています」
「え、あ、いや……これはこれで、変化があって楽しいからいいんじゃね(^_^;)」
イザナギさんはよくできた神さまだ。こんな桃太郎二号みたいなやつの気持ちも、ちゃんと労わってやっている。
「それにね、桃太郎二号くん」
「ん?」
「国生みは、妻のイザナミとやったことです。わたし一人の手柄ではありません」
「そうなのか?」
「はい、大変だったのは妻のイザナミの方です。国生みの他に、たくさんの神々も生んでくれました。わたしは、傍にいて見守ることの方が多かったです」
「それは謙遜でしょう、イザナギ殿も大変だったのは、わたしたちも見ていた。なあ、テル」
「はい、ヒルデの言う通りです。なあ、桃太郎二号……我々は、なんでこんな旅をしていると思う?」
「え……あ……他にいい土地がないか探してるとかじゃねえのか? あ、いい意味でよ。フロンティアスピリットとか言うだろ」
「実はな、最後に火の神を生んで、奥さんのイザナミさんは焼け死んでしまったんだ」
「え、そうなのか!?」
「イザナミさんは死んで、黄泉の国に行ってしまったんだ」
「ヨミの国?」
「死んだ者がいく世界だ」
「死んだらおしまいだろ、ちがうのか?」
「そうですよ、桃太郎二号くん。でもね、国生みはとても大切なことなんです。わたしの不注意で死なせてしまいましたが、ここは、なんとしても妻を取り戻さなくてはなりません。それで、ここにいるヒルデさん、テルさん、タングニョーストさん……みなさんがお手伝いしてくださっているんです。ありがたいことです」
「ありがたいのは、こちらの方ですよ、イザナギ殿」
「ヒルデさん?」
「このブリュンヒルデも、人の死に向き合うことを運命づけられています。わたしの場合は、ラグナロクという最終戦争の担い手にするために戦死する兵士を選抜するんです。つらい任務ですが、この地上で行う仕事ですから、黄泉の国に向かうイザナギさんとは比較になりません」
「そうだったのですか……」
「姫、それは違います。主神オーディンは、そのことを隠して姫に命ぜられました。姫は、兵たちに来世での平穏を与えるつもりで戦死者を選んでおられたのです。『長年ご苦労であった』と唇が動いていたのを、自分もタングニョーストも知っておりました」
背嚢の骨もカサリと音を立てる。
「ありがとう、タングニョースト。しかし、結局は死者に平穏に向かわせるのではなく地獄の最終戦争に墜としていたんだ。その張本人なのだよブリュンヒルデは。その罪と、もしあるとしたら、その意味を勉強できたらと思っている」
「姫……」
「父、オーディンに向き合うために、イザナギ殿に与力することの意味は大きいんだ。まあ、そういうことだから、イザナギ殿、負担には思わないでくれ」
「……なんか、神さまってたいへんなんだな」
「だと思ったら、おまえも励め、桃太郎二号」
「お、おう(^_^;)」
「ちょっと気になっていたんですが」
「なんだい、イザナギのおっちゃん?」
「成行きのまま『桃太郎二号』って呼んでますが、いいんでしょうか、なんだか失礼なような気がしないでもないんですが」
「微妙に長い気もする」
「んなことねえよ、ケイト」
「そうか?」
「うん、二号をくっつけて桃太郎二号って……なんかカッケーしな。思わねえかケイト?」
「お、おお」
「人それぞれのアイデンテティーですね。こちらこそ、ヒルデさんのお話もうかがえましたし……おお、いい匂いがしてきました」
橋を渡ると岡山の街というところで、ペギーがきび団子のノボリを上げて出店を開いていた。
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
日本神話の神と人物 イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎
195『岡山を目指して語り合ってしまう』テル
将来は宇野と岡山を結ぶ鉄道(宇野みなと線)ができる道を歩いている。
天狗山を左に見ながら歩いていくと、正面に山(高旗山)。将来はトンネルができるらしいけど、今はまだ無いので左に折れて山すそを西に進むと一時間ちょっとで山が尽きて海が見えてきた。
「ええ、また海に出てきてしまったぁ(;'∀')」
ケイトが文句を言う。
「あ、ちがくて。児島湾が回り込んでんだ。将来は埋め立てられて田んぼがいっぱいできて、残ったところは児島湖って人工湖としては世界二位の湖ができるんだ」
「ん……アフリカとかにもっと大きな人工湖があったはず、長江の三峡ダムのせき止湖なんか瀬戸内海よりも大きいはずだ」
「ちがくて、堤防で海を仕切ってできた湖だ! そういう人工湖の中じゃ世界で二番目なんだ、そーいう意味だ(>∀<)」
へえーーー
なんか無理に――すごい!――と言ってるようで、みんな感動が薄い。
「ハハ、これは桃太郎二号くんの郷土愛です。わたしは素敵だと思います」
「そ、そうだろ! イザナギのおっさんは大人のくせに偉いぞ!」
「いや、わたしこそ、ややこしい地形にして申し訳ない」
「え、なんでおっさんが謝るんだ?」
「なんにも知らないんだなあ、日本の島々を生んだのは、このイザナギさんなんだぞ」
ケイトがオネエサンぶってマウントをとりにくる。
「え、そうなのか!?」
「いえいえ、地形が複雑で、みなさんにはご迷惑をかけています」
「え、あ、いや……これはこれで、変化があって楽しいからいいんじゃね(^_^;)」
イザナギさんはよくできた神さまだ。こんな桃太郎二号みたいなやつの気持ちも、ちゃんと労わってやっている。
「それにね、桃太郎二号くん」
「ん?」
「国生みは、妻のイザナミとやったことです。わたし一人の手柄ではありません」
「そうなのか?」
「はい、大変だったのは妻のイザナミの方です。国生みの他に、たくさんの神々も生んでくれました。わたしは、傍にいて見守ることの方が多かったです」
「それは謙遜でしょう、イザナギ殿も大変だったのは、わたしたちも見ていた。なあ、テル」
「はい、ヒルデの言う通りです。なあ、桃太郎二号……我々は、なんでこんな旅をしていると思う?」
「え……あ……他にいい土地がないか探してるとかじゃねえのか? あ、いい意味でよ。フロンティアスピリットとか言うだろ」
「実はな、最後に火の神を生んで、奥さんのイザナミさんは焼け死んでしまったんだ」
「え、そうなのか!?」
「イザナミさんは死んで、黄泉の国に行ってしまったんだ」
「ヨミの国?」
「死んだ者がいく世界だ」
「死んだらおしまいだろ、ちがうのか?」
「そうですよ、桃太郎二号くん。でもね、国生みはとても大切なことなんです。わたしの不注意で死なせてしまいましたが、ここは、なんとしても妻を取り戻さなくてはなりません。それで、ここにいるヒルデさん、テルさん、タングニョーストさん……みなさんがお手伝いしてくださっているんです。ありがたいことです」
「ありがたいのは、こちらの方ですよ、イザナギ殿」
「ヒルデさん?」
「このブリュンヒルデも、人の死に向き合うことを運命づけられています。わたしの場合は、ラグナロクという最終戦争の担い手にするために戦死する兵士を選抜するんです。つらい任務ですが、この地上で行う仕事ですから、黄泉の国に向かうイザナギさんとは比較になりません」
「そうだったのですか……」
「姫、それは違います。主神オーディンは、そのことを隠して姫に命ぜられました。姫は、兵たちに来世での平穏を与えるつもりで戦死者を選んでおられたのです。『長年ご苦労であった』と唇が動いていたのを、自分もタングニョーストも知っておりました」
背嚢の骨もカサリと音を立てる。
「ありがとう、タングニョースト。しかし、結局は死者に平穏に向かわせるのではなく地獄の最終戦争に墜としていたんだ。その張本人なのだよブリュンヒルデは。その罪と、もしあるとしたら、その意味を勉強できたらと思っている」
「姫……」
「父、オーディンに向き合うために、イザナギ殿に与力することの意味は大きいんだ。まあ、そういうことだから、イザナギ殿、負担には思わないでくれ」
「……なんか、神さまってたいへんなんだな」
「だと思ったら、おまえも励め、桃太郎二号」
「お、おう(^_^;)」
「ちょっと気になっていたんですが」
「なんだい、イザナギのおっちゃん?」
「成行きのまま『桃太郎二号』って呼んでますが、いいんでしょうか、なんだか失礼なような気がしないでもないんですが」
「微妙に長い気もする」
「んなことねえよ、ケイト」
「そうか?」
「うん、二号をくっつけて桃太郎二号って……なんかカッケーしな。思わねえかケイト?」
「お、おお」
「人それぞれのアイデンテティーですね。こちらこそ、ヒルデさんのお話もうかがえましたし……おお、いい匂いがしてきました」
橋を渡ると岡山の街というところで、ペギーがきび団子のノボリを上げて出店を開いていた。
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
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タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
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