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203『鬼ノ城・5』

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RE・かの世界この世界

203『鬼ノ城・5』テル 




 雪舟ねずみなので、本格的なお茶かと思ったら、ヤカンに湯を沸かして急須で淹れるという簡便なお茶だ。


 一方、タングニョーストの炉はブタの丸焼きができそうなくらい堅牢でごっついものになった。

雪舟ねずみ:「ハハ、わたしの茶には舞台が大きすぎるようです(^_^;)」

タングニョースト:「すまん、戦場では、いつもこれくらいの炉を構えていたのでなあ」

ヒルデ:「いや、わたしも違和感が無かったぞ」

 ヒルデもいっしょに頭を掻いている。

イザナギ:「それなら、いっそ食事にしましょう」

テル:「しかし、イザナギさん食事の準備はなにも……」

イザナギ:「これでも神です、イザナミほど器用にはできませんが、食べたことがあるものなら再現できます」

桃太郎二号:「あ、きび団子なら、ちょっと飽きたかもなぁ(^〇^;)」

ケイト:「桃太郎が言うな」

 ポコ

桃太郎二号:「どつくこたぁねえだろ、ケイト!」

イザナギ:「きび団子ではありません、うどんとたこ焼きです。どちらも作るところを見ていましたからね」

ケイト・桃太郎二号:「「食いたい食いたい!」」

 二人の食欲につられて思いついた。

テル:「材料は、いっしょだからお好み焼きも作ろう!」



 お好み焼きぃ??



 説明してやると、みんな目を輝かせたり涎を垂らしたり。期待値マックスの中でお好み焼きに挑戦。



タングニョースト:「これは、こちらの世界に来た時に匂いだけが残っていた……」

ヒルデ:「ああ、タングニョーストは柄杓の水を飲んだだけで蘇ってしまったんだった」

イザナギ:「ああ、あの水にはミネラルもカロリーも十分入っていましたから、満ち足りてしまったんですねえ。よかったら、そっちの方でも……」

みんな:「「「「「食べたい!」」」」」

 声が揃って、鬼ノ城はこなもん大会になった。途中、雪舟ねずみが「与一さんにも」とお好み焼きとたこ焼きを持って行ってやる。

雪舟ねずみ:「一心不乱に書いておられましたよ、思いが溢れてこられるようです」

イザナギ:「そうでしょうねえ、与一さんはとびきり優しい人ですからね……」

 わたしは「そうですねえ」と辛うじて返事をしたが、みんな食べることに一生懸命だ。



 パクパク、ガツガツ、パクパク、ガツガツ…………



 パクパク、ガツガツと食べているうちに、いつしか鬼ノ城は泣き出してしまいそうなくらいの懐かし色に染まる。

 カラスやトンビもねぐらに帰り、遠くお寺の鐘もゴーーンと鳴って、宵の明星さえ月と並んで輝きだした……。



☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎
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