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第27話《話は遡るけど白石優奈って覚えてる?》
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ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第27話《話は遡るけど白石優奈って覚えてる?》さくら
話しは遡るけど、白石優奈って覚えてる?
ほら、去年、終業式の日の大掃除で屋上から飛び降りようとして、わたしが救けた子。
自分のことを熊野の八百比丘尼だと言っている、ちょっと電波な子。
八百比丘尼って、人魚の肉を食べて永遠の若さと命を授かってるんだ。だけど、近ごろは永遠の命はともかく、若さの方は衰えるようになってきて、来たるべき日に備え、時どき肉体を更新しなければならない。
わたしと話したことで、なんだか活性化したみたいで、肉体の更新は思いとどまってくれたのが、ついこないだのこと。
その白石優奈からメールが来た。
――学校のカフェテリアで待ってる――
「どう、元気してる?」
「うん、おかげでね。ちょっと待ってて……」
南側のテーブルに着くと、優奈はホットミルクコーヒーを取りにいった。ちなみに、この食堂がカフェテリアなどという小粋な名前でいられる言い訳が、このホットミルクコーヒー。
ここのオーナーは帝都の大学の学食も引き受けていて、大学では、キチンとしたカフェテリアがある。そこで出た大量のコーヒーの出がらしを煮詰め、シロップとミルクをしこたま入れてミルクコーヒーにしている。
アカラサマに言えばチープな再生飲料なんだけど、脳みその活動に必要な糖分の摂取にはもってこい。夏はアイスで、冬はホット。300CCで80円というのも嬉しい。
優奈は、それを二つ持ってきて、テーブルに置いた。
「どうぞ」「ゴチです」
取りあえずミルクコーヒーで暖まる。
ホワワ~~
タイミングよく、雲間からお日様が顔を出して、年の瀬とは思えない暖かさになった。
「……実は、年明けから中国に行くの」
「中国?」
「うん、お父さんの仕事の都合でね」
「え……ちょっとたいへんなんじゃない?」
ネットとかで、いまの中国はいろいろ大変だと聞いている。
「うん、まあね。それで、さくらにはどうしても会っておきたくて……」
「あ、うん……ありがとう」
そのあと言葉が続かなくて、陽だまりの席で熱々のミルクコーヒーをいただく。
「なんだか、いつもより美味しい……出がらしとは思えないわね」
出がらしのところは、そよっと顔を寄せる。カウンターのおばさんに聞こえたら悪いもんね。
「うん、ここの名物だし……今日は、ちょっと特別なの」
「とくべつ?」
そう言うと、優奈はポケットから小さなボトルを取り出した。
お寿司の醤油淹れより少し大きいボトルには『熊』の一字が刻まれている。
白地のボトルに熊なので、熊のプーさんが浮かんだんだけど違った。
「熊野明神に行ってきたの」
「あ、あの熊野明神?」
口には出さず、コクリと頷く優奈。
「うん、日本を離れるんで、こないだの報告を兼ねてご挨拶に行ってきたの」
「じゃ、それは……」
テーブルのボトルに目がいく。
「熊野明神の御神水」
「ごしんすい?」
「わたしが日本を離れているあいだ、わたしの代わりをしてもらいたくて」
「え!?」
「八百比丘尼になるわけじゃないわ」
「え……ああ……」
残念なようなありがたいような。
「力の現れ方は人によってちがう。それに、わたしが日本に帰ってくるまでの間だけだし」
「それで、これを飲めとか?」
「うん」
あっさり言うしぃ(^_^;)
「ええと……」
「だいじょうぶ、もう飲んでくれたし」
「え?」
優奈は、ソロっとミルクコーヒーのカップに目を落とした。
は、謀られたぁ……(;゚Д゚)
「じゃ、ごめん、飛行機の時間迫ってるから(^▽^)」
晴れ晴れとした笑顔で小首をかしげると、すっごい軽やかさでカフェテリアを出ていく優菜。
我に返って周囲を見回すと、どの席も椅子がテーブルに上げられ、配膳のカウンターにもシャッターが下りている。
そうだよ、冬休みの真っ最中、カフェテリアどころか学校だってやってるはずがない!
ダスゲマイネ(-_-;)
手遅れかもしれないけど、大晦日から元日にかけて、まくさと絵里奈と三人で初詣しまくった。
もちろん厄除けよ!
少しは優奈の無事も祈ったけどね。
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元 さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
四ノ宮 篤子 忠八の妹
明菜 惣一の女友達
香取 北町警察の巡査
第27話《話は遡るけど白石優奈って覚えてる?》さくら
話しは遡るけど、白石優奈って覚えてる?
ほら、去年、終業式の日の大掃除で屋上から飛び降りようとして、わたしが救けた子。
自分のことを熊野の八百比丘尼だと言っている、ちょっと電波な子。
八百比丘尼って、人魚の肉を食べて永遠の若さと命を授かってるんだ。だけど、近ごろは永遠の命はともかく、若さの方は衰えるようになってきて、来たるべき日に備え、時どき肉体を更新しなければならない。
わたしと話したことで、なんだか活性化したみたいで、肉体の更新は思いとどまってくれたのが、ついこないだのこと。
その白石優奈からメールが来た。
――学校のカフェテリアで待ってる――
「どう、元気してる?」
「うん、おかげでね。ちょっと待ってて……」
南側のテーブルに着くと、優奈はホットミルクコーヒーを取りにいった。ちなみに、この食堂がカフェテリアなどという小粋な名前でいられる言い訳が、このホットミルクコーヒー。
ここのオーナーは帝都の大学の学食も引き受けていて、大学では、キチンとしたカフェテリアがある。そこで出た大量のコーヒーの出がらしを煮詰め、シロップとミルクをしこたま入れてミルクコーヒーにしている。
アカラサマに言えばチープな再生飲料なんだけど、脳みその活動に必要な糖分の摂取にはもってこい。夏はアイスで、冬はホット。300CCで80円というのも嬉しい。
優奈は、それを二つ持ってきて、テーブルに置いた。
「どうぞ」「ゴチです」
取りあえずミルクコーヒーで暖まる。
ホワワ~~
タイミングよく、雲間からお日様が顔を出して、年の瀬とは思えない暖かさになった。
「……実は、年明けから中国に行くの」
「中国?」
「うん、お父さんの仕事の都合でね」
「え……ちょっとたいへんなんじゃない?」
ネットとかで、いまの中国はいろいろ大変だと聞いている。
「うん、まあね。それで、さくらにはどうしても会っておきたくて……」
「あ、うん……ありがとう」
そのあと言葉が続かなくて、陽だまりの席で熱々のミルクコーヒーをいただく。
「なんだか、いつもより美味しい……出がらしとは思えないわね」
出がらしのところは、そよっと顔を寄せる。カウンターのおばさんに聞こえたら悪いもんね。
「うん、ここの名物だし……今日は、ちょっと特別なの」
「とくべつ?」
そう言うと、優奈はポケットから小さなボトルを取り出した。
お寿司の醤油淹れより少し大きいボトルには『熊』の一字が刻まれている。
白地のボトルに熊なので、熊のプーさんが浮かんだんだけど違った。
「熊野明神に行ってきたの」
「あ、あの熊野明神?」
口には出さず、コクリと頷く優奈。
「うん、日本を離れるんで、こないだの報告を兼ねてご挨拶に行ってきたの」
「じゃ、それは……」
テーブルのボトルに目がいく。
「熊野明神の御神水」
「ごしんすい?」
「わたしが日本を離れているあいだ、わたしの代わりをしてもらいたくて」
「え!?」
「八百比丘尼になるわけじゃないわ」
「え……ああ……」
残念なようなありがたいような。
「力の現れ方は人によってちがう。それに、わたしが日本に帰ってくるまでの間だけだし」
「それで、これを飲めとか?」
「うん」
あっさり言うしぃ(^_^;)
「ええと……」
「だいじょうぶ、もう飲んでくれたし」
「え?」
優奈は、ソロっとミルクコーヒーのカップに目を落とした。
は、謀られたぁ……(;゚Д゚)
「じゃ、ごめん、飛行機の時間迫ってるから(^▽^)」
晴れ晴れとした笑顔で小首をかしげると、すっごい軽やかさでカフェテリアを出ていく優菜。
我に返って周囲を見回すと、どの席も椅子がテーブルに上げられ、配膳のカウンターにもシャッターが下りている。
そうだよ、冬休みの真っ最中、カフェテリアどころか学校だってやってるはずがない!
ダスゲマイネ(-_-;)
手遅れかもしれないけど、大晦日から元日にかけて、まくさと絵里奈と三人で初詣しまくった。
もちろん厄除けよ!
少しは優奈の無事も祈ったけどね。
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
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