ここは世田谷豪徳寺

武者走走九郎or大橋むつお

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32《バレたプロモ》

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ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)

第32話《バレたプロモ》さくら 




 豪徳寺の改札を出ると、デミーズの前にチュウクンが居る。視界の端っこに映ってるだけだからシカト。


 今月の五日に、チュウクンが元華族の四ノ宮忠八と分かってからは敬遠しているんだ。

 チュウクンとは、そもそもの出会いからして良くなかった。通学途中で、こともあろうに、この元華族の坊っちゃんは、水道工事のガードマン。電柱三本前ぐらいから目が合っちゃって、緊張したチュウクンの指示棒が、わたしのスカートをひっかけて、その姿を後ろを歩いていたニイチャンに撮られてネットで流されて以来の縁。

 盗撮の犯人を捕まえてくれて、少し仲良くなりかけたんだけど、シッカリしてるんだかボンヤリしてるんだか分からない性格。そこへもってきて元華族の坊っちゃんが、ガードマンのバイトやってて、女子高生盗撮犯を捕まえたこと。杓子稲荷……うちのすぐ近所のアパートに越してきて、で、なんだかんだあって、渋谷でいっしょにいるところをマスコミに掴まり「元華族の御曹司、下町で庶民の生活!」と書き立てられた。

 チュウクンも迷惑を掛けたと思って、見かけても声を掛けてこなくなった。

 それが、改札出てすぐのデミーズの前でニンマリ笑って目を合わせてきた。


 いつものようにシカト……と思ったら、声を掛けてきやがんの。

「さくら、ちょっと!」

 ウウ(-_-;)

 シカトはかえって目立つので、渋々誘われるまま、デミーズを避け、駅の反対側のマックの二階に収まる。

「もう気にしなくていいよ。元皇族・華族のボンボンなんて竹田さんを筆頭に全国に学校一つ分くらいはいるからね。ただガードマンのバイトやってるだけじゃ、そんなに人の話題はひきつけないよ。あの特集だって、結局竹田さんと織田信成クンの人気がトップだったからな」

「だったら、もういいじゃないよ」

「実は、これ……」


 チュウクンはスマホから動画を出して見せてくれた。


 あ……と思った。


 おもいろタンポポの新曲『おもいろシャウト』のプロモが、もう出ている。三分半のプロモの中に0・5秒づつ7回、瞬間的にあたしが罰ゲームみたく映っているのが分かる。でも合計3・5秒。

 意識しなきゃ分からない。

「……と、思うだろ」

 チュウクンは画面をスクロールした。で……タマゲタ!

 曲や、おもいろタンポポへのコメントに混ざり「この瞬間映像の子はだれだ!?」というような書き込みがいっぱいある!

「もう、こんなのも出てる」

 なんと、あたしのとこだけ抜き出してスローにして、一分ほどに編集したのがアップされていた!

 この子は誰だ!? オノダプロの隠し球か! キュート! 平凡の極致、それは非凡な萌!

 書き込みが、数十件入っている。

「やだ、どうしよう……」

「アップロードされて半日でこれだもん。まだまだ来るよ」

「脅かさないでよ(#゚Д゚) 」

「じつは、雑誌社からボクのとこに電話があったんだ――こないだ盗撮事件で、四ノ宮さんがかかわった子、プロモの子ですよね――って」

「え、もう、そんなのが!?」

「ネット社会は怖ろしいね……さくらも注意した方がいいよ」

「て、もうこんなになってちゃ、手遅れでしょ!」

「甘いなあ。これからなんだよ」


 そう言って、チュウクンはいくつかの注意をしてくれた……。


☆彡 主な登場人物
佐倉  さくら       帝都女学院高校1年生
佐倉  さつき       さくらの姉
佐倉  惣次郎       さくらの父
佐倉  惣一        さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ       さくらのクラスメート
山口  えりな       さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井  由美        さくらのクラスメート 委員長
白石  優奈        帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
原   鈴奈        帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
氷室  聡子        さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元            さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八        道路工事のガードマン
四ノ宮 篤子        忠八の妹
明菜            惣一の女友達
香取            北町警察の巡査
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