68 / 139
68『次の役は佐倉さくら!?』
しおりを挟む
ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第68話《次の役は佐倉さくら!?》さくら
次は東京だよ
京都駅を出て――次の停車駅は名古屋です――の車内放送が終わるとマネージャーの吾妻さんが言う。通路を席に向かっていたオジサンがギョッとしてドアの上の電光掲示板を見る。手にした切符には『京都→名古屋』の文字が見えた。乗り慣れてないとビックリするかも。新幹線は最速ののぞみでも名古屋には停まる。
地理や交通機関には疎いわたしだけど、京都の次は名古屋で、東京の直前には新横浜と品川に停まることぐらい知っている。
でも名古屋ってビミョーだから、一瞬――停まらない――と勘違いするよね。
吾妻さんが言った東京は行先や停車駅のことなんかじゃない『次の仕事は東京だぞ』っていう意味で、電池が切れかかったわたしに念押ししたんだ。
二カ月ちょっとに及んだ『ワケテン』の仕事もやっと一段落。最後まで遅れていたマサカドさんの役も、あたしがモーションキャプチャーをやって、あっけなく終了。
由香の役の撮影が終わった時に花束をもらったけど、マサカドさんの仕事で、撮影そのものが終わり、もういっぺん花束をもらうとは思ってもいなかった。
久々に東京に帰って学校にいきたかった。思えば、一月に学校の先輩であり、シンガーソングライターでもある原鈴奈にそそのかされ、新曲のプロモにちょっと出たのがきっかけだった。
気が付けば、半年足らずで女優のはしくれになってしまった。
四月の初めに、この『ワケあり転校生の7ヵ月』の仕事をもらったのが本格的な女優の仕事だった。
役が大阪の女子高生だったので、ほとんど大阪に居続けだった。まともに学校に行けた日はほとんどない。さすがに中間テストは日帰りだったけど、まともに受けられた。
この仕事が終わったら、しばらく普通の帝都女学院の生徒に戻りたい。毎日授業のノートを解説付きでファックスしてくれたマクサや恵里奈と机を並べたかった。
でもね……たとえ、東京での仕事とはいえ、ドラマや映画の仕事ならば、まともに学校に行けるのは望み薄だ。
正直、フルマラソンを終えたあと、もう一回走ってこいと言われたようなもの。
「今度の役は、むつかしい。それに女優としては、一度は通っておかなきゃならない道でもある」
わたしの落ち込みを屁とも思わずに、吾妻マネージャーは、今時めずらしいシステム手帳とにらめっこしている。むろんパソコンやタブレットなんかも使っているけど、システム手帳だと、まず自分で書き、その上日に何度も見なおすことで、常に頭の中に自分のスケジュールや担当しているタレントのことなどが入ってくるので、このアナログでかさばるばかりの手帳の化け物がいいらしい。
「今度の役はむつかしい。主役だしな……」
「……ありがとうございます」
「なんだ、気持ちが入ってないわね」
「いいえ、そんなことありません。主役に時めいています!」
本当は、時めいてなんかいなかった。こんどのワケテンで、女優の大変さ。特に主役の重圧ははるかさんを見て、よく分かっている。だから嬉しさよりも気の重さが先にやってくる。
「今度の役は、佐倉さくらという役だよ」
「え?」
一瞬どこかで聞いた名前と思った……で、自分の名前であることに想い至って戸惑った。どういう意味だろう?
「しばらくお休み。自分の生活に戻るんだよ」
「は……」
「今まで学校に行っていたのとは大きく違う。佐倉さくらを演ずるつもりで学校にいけ」
「は、はい(^_^;)!」
あたしは、吾妻さんにドッキリをしかけられたように、ドギマギしながらも嬉しかった。
しかしね、吾妻さんが言ったのは、単なるドッキリではないことが、学校に行って分かることに……なるんだよね(-_-;)!
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐倉 由紀子 さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
坂東 はるか さくらの先輩女優
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元 さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
四ノ宮 篤子 忠八の妹
明菜 惣一の女友達
香取 北町警察の巡査
クロウド Claude Leotard 陸自隊員
第68話《次の役は佐倉さくら!?》さくら
次は東京だよ
京都駅を出て――次の停車駅は名古屋です――の車内放送が終わるとマネージャーの吾妻さんが言う。通路を席に向かっていたオジサンがギョッとしてドアの上の電光掲示板を見る。手にした切符には『京都→名古屋』の文字が見えた。乗り慣れてないとビックリするかも。新幹線は最速ののぞみでも名古屋には停まる。
地理や交通機関には疎いわたしだけど、京都の次は名古屋で、東京の直前には新横浜と品川に停まることぐらい知っている。
でも名古屋ってビミョーだから、一瞬――停まらない――と勘違いするよね。
吾妻さんが言った東京は行先や停車駅のことなんかじゃない『次の仕事は東京だぞ』っていう意味で、電池が切れかかったわたしに念押ししたんだ。
二カ月ちょっとに及んだ『ワケテン』の仕事もやっと一段落。最後まで遅れていたマサカドさんの役も、あたしがモーションキャプチャーをやって、あっけなく終了。
由香の役の撮影が終わった時に花束をもらったけど、マサカドさんの仕事で、撮影そのものが終わり、もういっぺん花束をもらうとは思ってもいなかった。
久々に東京に帰って学校にいきたかった。思えば、一月に学校の先輩であり、シンガーソングライターでもある原鈴奈にそそのかされ、新曲のプロモにちょっと出たのがきっかけだった。
気が付けば、半年足らずで女優のはしくれになってしまった。
四月の初めに、この『ワケあり転校生の7ヵ月』の仕事をもらったのが本格的な女優の仕事だった。
役が大阪の女子高生だったので、ほとんど大阪に居続けだった。まともに学校に行けた日はほとんどない。さすがに中間テストは日帰りだったけど、まともに受けられた。
この仕事が終わったら、しばらく普通の帝都女学院の生徒に戻りたい。毎日授業のノートを解説付きでファックスしてくれたマクサや恵里奈と机を並べたかった。
でもね……たとえ、東京での仕事とはいえ、ドラマや映画の仕事ならば、まともに学校に行けるのは望み薄だ。
正直、フルマラソンを終えたあと、もう一回走ってこいと言われたようなもの。
「今度の役は、むつかしい。それに女優としては、一度は通っておかなきゃならない道でもある」
わたしの落ち込みを屁とも思わずに、吾妻マネージャーは、今時めずらしいシステム手帳とにらめっこしている。むろんパソコンやタブレットなんかも使っているけど、システム手帳だと、まず自分で書き、その上日に何度も見なおすことで、常に頭の中に自分のスケジュールや担当しているタレントのことなどが入ってくるので、このアナログでかさばるばかりの手帳の化け物がいいらしい。
「今度の役はむつかしい。主役だしな……」
「……ありがとうございます」
「なんだ、気持ちが入ってないわね」
「いいえ、そんなことありません。主役に時めいています!」
本当は、時めいてなんかいなかった。こんどのワケテンで、女優の大変さ。特に主役の重圧ははるかさんを見て、よく分かっている。だから嬉しさよりも気の重さが先にやってくる。
「今度の役は、佐倉さくらという役だよ」
「え?」
一瞬どこかで聞いた名前と思った……で、自分の名前であることに想い至って戸惑った。どういう意味だろう?
「しばらくお休み。自分の生活に戻るんだよ」
「は……」
「今まで学校に行っていたのとは大きく違う。佐倉さくらを演ずるつもりで学校にいけ」
「は、はい(^_^;)!」
あたしは、吾妻さんにドッキリをしかけられたように、ドギマギしながらも嬉しかった。
しかしね、吾妻さんが言ったのは、単なるドッキリではないことが、学校に行って分かることに……なるんだよね(-_-;)!
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐倉 由紀子 さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
坂東 はるか さくらの先輩女優
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元 さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
四ノ宮 篤子 忠八の妹
明菜 惣一の女友達
香取 北町警察の巡査
クロウド Claude Leotard 陸自隊員
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする
エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》
16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。
告白されて付き合うのは2か月後。
それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。
3人のサブヒロインもまた曲者揃い。
猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。
この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?
もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!
5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生!
※カクヨム、小説家になろうでも連載中!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる