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80『さくら、その日その日・2』
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ここは世田谷豪徳寺80(さくら編)
『さくら、その日その日・2』
三週ぶりに仕事が入った。
仕事と言っても声だけなんだけど。
「久米久相手に一時間ほど話してきてよ」
吾妻さんから、それだけ聞いて家に帰って私服に着替える。永谷園のお茶漬けかっこんだだけで、豪徳寺の駅に向かった。
駅前で、偶然に四ノ宮忠八に出会った。
「あら、おひさ、チュウクン!」
「お、なんだ普通のさくらじゃないか?」
「あたしは、いつも普通です」
「スターになったら少しは変わってるかと思ったけど」
「あたしは、あたし。変わりようなんかないわ(ホントは、この三週間苦労したんだけど。それは人には見せないと決めていた)それより、チュウクン、なんだか疲れてるわね?」
「だろうな。いろいろ野暮用でね」
それから二言三言話して別れたんだけど、チュウクンがとんでもない仕事をしてきたんだとは、その時は気づかなかった。
「上から読んでも下から読んでも久米久の『上から下から!』(拍手のエフェクト)今日のゲストは、映画やテレビで注目の佐倉さくらさんでーす!」
見かけもベシャリも軽いけど、若者からお年寄りまで幅広いファンを持っている、ちょっとしたオピニオンリーダーで、ただのDJではないことは、マネージャーの吾妻さんからも聞いていた。でも、言われたことは「ただ思ったまま喋ればいい」だけだった。
「デビューのきっかけって、渋谷でオッサンとオネエチャンのケンカなんだって?」
「ああ、そっかな……そうですね。オネーサンが自転車のナガラスマホだったんで、そっちが悪いだろうって、オジサン応援しちゃって。でも、いま思うと、オジサンも歩きスマホで、どっちもどっちなんですけどね」
「で、その応援ぶりがイケてるってことで、スカウト。世の中、どこでどんなきっかけがあるか分からないよね。あの時オッサンとオネエチャンが普通にすれ違ってたら、今の佐倉さくらは無いわけだもんね」
「アハハ、そうですね。オジサンとオネーサンに感謝ですね」
そういう軽いノリで入って行って、あたしの仕事のあれこれを良く調べていて、楽しく四十分ほどが過ぎた。
「話は戻るんだけどさ、こないだ佐世保の沖で、オッサンとネーチャンの遭遇みたいな事件があって、なんだか戦争みたくなっちゃったよね」
「ああ、ですね。なんだか宣戦布告されちゃったけど、あれから何かありました?」
「大有りでしょ。あれでC国はバラバラになっちゃったからね。日本も外国も、どんどん資本引き上げて、何十年ぶりかのマイナス成長。あの国は絶えず発展してなきゃ持たない国だったからね」
「でも、殺し合いの戦争にならなくって良かったんじゃないですか?」
「そうかなあ。渋谷のオッサンとネーチャンじゃないんだからさ、お互い自制ってものが必要だったんじゃないかな?」
「だって、佐世保っていったらもう日本の玄関先ですよ。その玄関目がけて、金属バット振り上げられたようなもんでしょ」
「でも、相手は本気で玄関壊すつもりは無かったんだからさ、ちょっと過剰防衛じゃないと思わない?」
「久米さん、あの時、射撃管制レーダー照射されて、大砲がこっち向いてたんですよ。あれで発射ボタン押されたら、3000トンちょっとの護衛艦なんか一瞬で吹き飛んじゃいますよ。そうしたら、三隻で700人近い人が命失うんですよ」
「でもさ、C国って、そうやって脅かすだけで、実際に日本に発砲なんかしたことないじゃん。その可能性から考えたら、自重すべきだったんじゃないかな。とにかく、あのおかげでC国は、分裂の危機に瀕してるわけなんだから」
「それって、逆でしょ。そんなに国内が脆いなら、あんな無茶な威嚇なんかするべきじゃないわ。国際的な交戦規程からいっても日本は正当ですよ」
「さくらちゃん詳しいね。さすが海上自衛隊の妹だ」
「お兄ちゃんはお兄ちゃん。今のはあたし個人の感想です」
「お兄さんて、あの海戦の当事者なんだよね。『たかやす』の砲雷科なんだよね」
ハメられたと思った。
あたしを論破することで、持論の平和主義を宣伝したいだけなんだ。でも、あたしは逃げなかった。正当防衛とかから始め、交戦規定の細かいところまで、説きに説いた。久米久は小娘のあたしをボコボコにして、留飲を下げて数字を上げたいだけなんだ……。
『さくら、その日その日・2』
三週ぶりに仕事が入った。
仕事と言っても声だけなんだけど。
「久米久相手に一時間ほど話してきてよ」
吾妻さんから、それだけ聞いて家に帰って私服に着替える。永谷園のお茶漬けかっこんだだけで、豪徳寺の駅に向かった。
駅前で、偶然に四ノ宮忠八に出会った。
「あら、おひさ、チュウクン!」
「お、なんだ普通のさくらじゃないか?」
「あたしは、いつも普通です」
「スターになったら少しは変わってるかと思ったけど」
「あたしは、あたし。変わりようなんかないわ(ホントは、この三週間苦労したんだけど。それは人には見せないと決めていた)それより、チュウクン、なんだか疲れてるわね?」
「だろうな。いろいろ野暮用でね」
それから二言三言話して別れたんだけど、チュウクンがとんでもない仕事をしてきたんだとは、その時は気づかなかった。
「上から読んでも下から読んでも久米久の『上から下から!』(拍手のエフェクト)今日のゲストは、映画やテレビで注目の佐倉さくらさんでーす!」
見かけもベシャリも軽いけど、若者からお年寄りまで幅広いファンを持っている、ちょっとしたオピニオンリーダーで、ただのDJではないことは、マネージャーの吾妻さんからも聞いていた。でも、言われたことは「ただ思ったまま喋ればいい」だけだった。
「デビューのきっかけって、渋谷でオッサンとオネエチャンのケンカなんだって?」
「ああ、そっかな……そうですね。オネーサンが自転車のナガラスマホだったんで、そっちが悪いだろうって、オジサン応援しちゃって。でも、いま思うと、オジサンも歩きスマホで、どっちもどっちなんですけどね」
「で、その応援ぶりがイケてるってことで、スカウト。世の中、どこでどんなきっかけがあるか分からないよね。あの時オッサンとオネエチャンが普通にすれ違ってたら、今の佐倉さくらは無いわけだもんね」
「アハハ、そうですね。オジサンとオネーサンに感謝ですね」
そういう軽いノリで入って行って、あたしの仕事のあれこれを良く調べていて、楽しく四十分ほどが過ぎた。
「話は戻るんだけどさ、こないだ佐世保の沖で、オッサンとネーチャンの遭遇みたいな事件があって、なんだか戦争みたくなっちゃったよね」
「ああ、ですね。なんだか宣戦布告されちゃったけど、あれから何かありました?」
「大有りでしょ。あれでC国はバラバラになっちゃったからね。日本も外国も、どんどん資本引き上げて、何十年ぶりかのマイナス成長。あの国は絶えず発展してなきゃ持たない国だったからね」
「でも、殺し合いの戦争にならなくって良かったんじゃないですか?」
「そうかなあ。渋谷のオッサンとネーチャンじゃないんだからさ、お互い自制ってものが必要だったんじゃないかな?」
「だって、佐世保っていったらもう日本の玄関先ですよ。その玄関目がけて、金属バット振り上げられたようなもんでしょ」
「でも、相手は本気で玄関壊すつもりは無かったんだからさ、ちょっと過剰防衛じゃないと思わない?」
「久米さん、あの時、射撃管制レーダー照射されて、大砲がこっち向いてたんですよ。あれで発射ボタン押されたら、3000トンちょっとの護衛艦なんか一瞬で吹き飛んじゃいますよ。そうしたら、三隻で700人近い人が命失うんですよ」
「でもさ、C国って、そうやって脅かすだけで、実際に日本に発砲なんかしたことないじゃん。その可能性から考えたら、自重すべきだったんじゃないかな。とにかく、あのおかげでC国は、分裂の危機に瀕してるわけなんだから」
「それって、逆でしょ。そんなに国内が脆いなら、あんな無茶な威嚇なんかするべきじゃないわ。国際的な交戦規程からいっても日本は正当ですよ」
「さくらちゃん詳しいね。さすが海上自衛隊の妹だ」
「お兄ちゃんはお兄ちゃん。今のはあたし個人の感想です」
「お兄さんて、あの海戦の当事者なんだよね。『たかやす』の砲雷科なんだよね」
ハメられたと思った。
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