125 / 139
125≪尾てい骨骨折・5≫
しおりを挟む
新・ここは世田谷豪徳寺・28(さくら編)
125≪尾てい骨骨折・5≫
校長先生の家で晩御飯を勧められた。
地下のスタジオから戻ると息子さんご夫婦も帰っておられて準備も整っていたので、断るのも失礼かとお誘いに乗った。
家にはスマホでお母さんに連絡。
「かえって気を遣わせてしまったみたいね」
「いいえ、友達のマクサや恵里奈とはしょっちゅうですから」
お料理は気取らない多国籍料理だ。
「いいえ、冷蔵庫のありあわせの無国籍料理。共働きの三世帯でしょ、時間もまちまちだし、長年やってるうちに、こうなっちゃった」
感じとしては煮物と炒め物にサラダ。それが微妙にエスニック。これも各自の好みを聞いているうちに四捨五入して「手抜き」という絶対数で割ると、こういうものになると奥さんの弁。ちなみに息子さんと娘さんは大学生で、あたし同様、朝家を出たら糸の切れた凧らしい。
「わたしたちの時代じゃ許されなかったけどね」
そう言いながら、お祖母さんが遅れて地下から上がってこられた。
「あ、そうだ。サクラさんに名刺渡しとこう」
相変わらず、この「サクラ」は、あたしのことか、ひい祖母ちゃんのことか分からない。
―― よろずクリエーター 白波園子 ――と書かれていた。
「この『よろずクリエーター』って、なんですか?」
無邪気に聞くと、みんながホタホタと笑った。
「ようは、なんでもやりたがり屋。好きなことをやってはブログ書いたりYouTubeに投稿したり……お母さん、さっきの佐倉さんの投稿なんかしてないでしょうね!?」
校長先生が顔色を変えた。
「もちろんアップしたわよ。だって、あたしと桜の仲なんだもん。ねえ、桜!」
これは完全にひい祖母ちゃんと間違われている。
「ちょっと、確認」
校長先生はテレビを点けると、入力をパソコンにした。
「『ゴンドラの唄 桜』で出てくるわよ」
校長先生が、そう打ち込むと、まるで本物のスタジオで歌手が歌っているように、カメラ3台の画像が切り替わりながら、あたしの歌を流していた!
「いい出来ね。ネット仲間でテレビのメカニックさんがいてね。昨日来てもらって、こういう仕様にしてもらったの。ホホホ」
「佐倉さん、ごめんね、すぐ削除してもらうから」
「なによ、こんなにいい出来になったのにい」
「お母さん、肖像権の問題とか著作権の問題だとか……」
「著作権は切れてるからOK。写っているのは桜だし、ねえ」
「え、ああ、いいですよ。あたしYouTubeなんて載ったことないし、良く撮れてるし、記念になっていいです」
そう答えたのが運命の分かれ道だった。
「ちょっと、さくらのアクセスすごいわよ!」
帰るなりさつきネエに言われた。
パソコンには、校長先生の家で観たのと同じ画面が写り、その下のアクセス回数は1000を超えていた。コメントも10個ほど来ていた。
懐かしー! 若いのに上手! 大正ロマン!などなど、ご年配と思われる人たちのコメントばっか。
「これ、いつものさくらの鼻歌のレベルじゃないわよさ。なんか特訓した?」
「ううん、お姉ちゃんがのど飴ぶちこんだぐらいよ……」
そこまで言って気づいた。
こうなっちゃったのは、秋分の日の夜。尾てい骨骨折やって、なんだか無性に眠くなるようになった。で、そのあくる日にひい祖母ちゃんが夢に出てきて、それからだ……お彼岸ミステリー!
「ハハ、まさかね」
まあ、一晩だけのジババのアイドルになるのもいっか……。
125≪尾てい骨骨折・5≫
校長先生の家で晩御飯を勧められた。
地下のスタジオから戻ると息子さんご夫婦も帰っておられて準備も整っていたので、断るのも失礼かとお誘いに乗った。
家にはスマホでお母さんに連絡。
「かえって気を遣わせてしまったみたいね」
「いいえ、友達のマクサや恵里奈とはしょっちゅうですから」
お料理は気取らない多国籍料理だ。
「いいえ、冷蔵庫のありあわせの無国籍料理。共働きの三世帯でしょ、時間もまちまちだし、長年やってるうちに、こうなっちゃった」
感じとしては煮物と炒め物にサラダ。それが微妙にエスニック。これも各自の好みを聞いているうちに四捨五入して「手抜き」という絶対数で割ると、こういうものになると奥さんの弁。ちなみに息子さんと娘さんは大学生で、あたし同様、朝家を出たら糸の切れた凧らしい。
「わたしたちの時代じゃ許されなかったけどね」
そう言いながら、お祖母さんが遅れて地下から上がってこられた。
「あ、そうだ。サクラさんに名刺渡しとこう」
相変わらず、この「サクラ」は、あたしのことか、ひい祖母ちゃんのことか分からない。
―― よろずクリエーター 白波園子 ――と書かれていた。
「この『よろずクリエーター』って、なんですか?」
無邪気に聞くと、みんながホタホタと笑った。
「ようは、なんでもやりたがり屋。好きなことをやってはブログ書いたりYouTubeに投稿したり……お母さん、さっきの佐倉さんの投稿なんかしてないでしょうね!?」
校長先生が顔色を変えた。
「もちろんアップしたわよ。だって、あたしと桜の仲なんだもん。ねえ、桜!」
これは完全にひい祖母ちゃんと間違われている。
「ちょっと、確認」
校長先生はテレビを点けると、入力をパソコンにした。
「『ゴンドラの唄 桜』で出てくるわよ」
校長先生が、そう打ち込むと、まるで本物のスタジオで歌手が歌っているように、カメラ3台の画像が切り替わりながら、あたしの歌を流していた!
「いい出来ね。ネット仲間でテレビのメカニックさんがいてね。昨日来てもらって、こういう仕様にしてもらったの。ホホホ」
「佐倉さん、ごめんね、すぐ削除してもらうから」
「なによ、こんなにいい出来になったのにい」
「お母さん、肖像権の問題とか著作権の問題だとか……」
「著作権は切れてるからOK。写っているのは桜だし、ねえ」
「え、ああ、いいですよ。あたしYouTubeなんて載ったことないし、良く撮れてるし、記念になっていいです」
そう答えたのが運命の分かれ道だった。
「ちょっと、さくらのアクセスすごいわよ!」
帰るなりさつきネエに言われた。
パソコンには、校長先生の家で観たのと同じ画面が写り、その下のアクセス回数は1000を超えていた。コメントも10個ほど来ていた。
懐かしー! 若いのに上手! 大正ロマン!などなど、ご年配と思われる人たちのコメントばっか。
「これ、いつものさくらの鼻歌のレベルじゃないわよさ。なんか特訓した?」
「ううん、お姉ちゃんがのど飴ぶちこんだぐらいよ……」
そこまで言って気づいた。
こうなっちゃったのは、秋分の日の夜。尾てい骨骨折やって、なんだか無性に眠くなるようになった。で、そのあくる日にひい祖母ちゃんが夢に出てきて、それからだ……お彼岸ミステリー!
「ハハ、まさかね」
まあ、一晩だけのジババのアイドルになるのもいっか……。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする
エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》
16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。
告白されて付き合うのは2か月後。
それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。
3人のサブヒロインもまた曲者揃い。
猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。
この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?
もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!
5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生!
※カクヨム、小説家になろうでも連載中!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる