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078『お目当ては……』
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せやさかい
078『お目当ては……』
ダミアはメイクーンの血が濃く入った雑種。
メイクーンは成長すると体重は10キロは超えるらしい。しかし、まだ子ネコだからなのか、体格的な遺伝が弱いのか、普通に子ネコ。
お祖父ちゃんに付けてもろた鈴が、五百円玉ほどの大きさで、それをチリンチリンと鳴らして歩くのがめっちゃ可愛い。
自分の首よりも一回り小さいだけの鈴は、ちょっと虐待めいた感じがせんでもないんやけど、ダミア自身も気に入ってるようなんで放っておく。いずれ10キロを超えたら、ちょうどええバランスになるやろ。
チリンチリン……ガシャガシャ……。
ガシャガシャいうのは、誰かがダミアを抱っこした証拠の音。
鈴は、人の肌に触れてしまうと響かんようになってしもて、ガシャガシャとしか音がせえへん。
「ダミア……」
とたんに頼子さんが中腰になる。
ダミアを拾てから、文芸部の部活は本堂裏の和室でやってる。むろん、本堂と言うのはうちの家。
授業が終わったら、文芸部の三人揃って、うちの家へ。玄関までお迎えに来てくれてるダミアを頼子さんが抱っこして、本堂の裏の部室へ向かう。
お茶を淹れながら十分ほどはダミアをモフモフして遊ぶ。
時間になると、伯母さんが「ダミア、時間ですよ~」と声をかける。ダミアはようできた子で「ミャー」と返事すると出入りの為に開けてある襖の隙間から出ていく。伯母さんは、ダミアが部活の邪魔になれへんように気を利かせてくれてるんやし、ダミアも心得てるようで、首の鈴を鳴らしながらお暇する。あたしも留美ちゃんも割り切ってるねんけど、頼子さんはソワソワしはじめて、ちょっと、心ここに在らずという感じになる。
ダミアは、どうやら、そういう頼子さんの気持ちを察してか、伯母さんに呼ばれても、部屋をちょっと出たとこでお座りしてる。子ネコの事なんで、じっとしてへんからチリンチリンと風鈴みたいに音をさせてしまう。
頼子さんも、襖を隔ててダミアのチリンチリンが聞こえることで我慢してた。なんといっても三年生で部長、大人たちは知らんけどヤマセンブルグの王女様でもあったりする。ON・OFFのけじめはつけてる。
しかし、伯母さんにしてみたら、ダミアが邪魔してるみたいに感じられて、気を利かしてダミアを連れて行ったという次第。
気もそぞろな頼子さんを見てると、可笑しいやら可哀そうやらで、つい笑いそうになる。
「ちょっと待っててくださいね」
あたしは、廊下を二回曲がって階段を下りてリビングへ。
伯母さんに話しを付けてダミアを連れ戻す。
「いやあ、ごめんね。ダミアがじゃましたらあかんと思て……」
連れ戻したダミアは、頼子さんの膝の上で大人しく座ってるようになった。
まあ、以前の部活に比べて集中力は半分いうとこやけど、もともと、お茶を飲んだりお喋りしたりが主体の部活やから、三人とも不足はないのです。
しかし、こんどはテイ兄ちゃんが顔を出すようになった。
「ダミアがじゃましてへんかなあ?」
しらこいことを言いながら、檀家周りでもろてきたお饅頭とかを持ってくる。
テイ兄ちゃんは、ダミアを気にしてるわけでも、文芸部の活動に興味があるわけでもない。
お目当ては頼子さん。
ちょっと、意見せんとあかんなあ。
078『お目当ては……』
ダミアはメイクーンの血が濃く入った雑種。
メイクーンは成長すると体重は10キロは超えるらしい。しかし、まだ子ネコだからなのか、体格的な遺伝が弱いのか、普通に子ネコ。
お祖父ちゃんに付けてもろた鈴が、五百円玉ほどの大きさで、それをチリンチリンと鳴らして歩くのがめっちゃ可愛い。
自分の首よりも一回り小さいだけの鈴は、ちょっと虐待めいた感じがせんでもないんやけど、ダミア自身も気に入ってるようなんで放っておく。いずれ10キロを超えたら、ちょうどええバランスになるやろ。
チリンチリン……ガシャガシャ……。
ガシャガシャいうのは、誰かがダミアを抱っこした証拠の音。
鈴は、人の肌に触れてしまうと響かんようになってしもて、ガシャガシャとしか音がせえへん。
「ダミア……」
とたんに頼子さんが中腰になる。
ダミアを拾てから、文芸部の部活は本堂裏の和室でやってる。むろん、本堂と言うのはうちの家。
授業が終わったら、文芸部の三人揃って、うちの家へ。玄関までお迎えに来てくれてるダミアを頼子さんが抱っこして、本堂の裏の部室へ向かう。
お茶を淹れながら十分ほどはダミアをモフモフして遊ぶ。
時間になると、伯母さんが「ダミア、時間ですよ~」と声をかける。ダミアはようできた子で「ミャー」と返事すると出入りの為に開けてある襖の隙間から出ていく。伯母さんは、ダミアが部活の邪魔になれへんように気を利かせてくれてるんやし、ダミアも心得てるようで、首の鈴を鳴らしながらお暇する。あたしも留美ちゃんも割り切ってるねんけど、頼子さんはソワソワしはじめて、ちょっと、心ここに在らずという感じになる。
ダミアは、どうやら、そういう頼子さんの気持ちを察してか、伯母さんに呼ばれても、部屋をちょっと出たとこでお座りしてる。子ネコの事なんで、じっとしてへんからチリンチリンと風鈴みたいに音をさせてしまう。
頼子さんも、襖を隔ててダミアのチリンチリンが聞こえることで我慢してた。なんといっても三年生で部長、大人たちは知らんけどヤマセンブルグの王女様でもあったりする。ON・OFFのけじめはつけてる。
しかし、伯母さんにしてみたら、ダミアが邪魔してるみたいに感じられて、気を利かしてダミアを連れて行ったという次第。
気もそぞろな頼子さんを見てると、可笑しいやら可哀そうやらで、つい笑いそうになる。
「ちょっと待っててくださいね」
あたしは、廊下を二回曲がって階段を下りてリビングへ。
伯母さんに話しを付けてダミアを連れ戻す。
「いやあ、ごめんね。ダミアがじゃましたらあかんと思て……」
連れ戻したダミアは、頼子さんの膝の上で大人しく座ってるようになった。
まあ、以前の部活に比べて集中力は半分いうとこやけど、もともと、お茶を飲んだりお喋りしたりが主体の部活やから、三人とも不足はないのです。
しかし、こんどはテイ兄ちゃんが顔を出すようになった。
「ダミアがじゃましてへんかなあ?」
しらこいことを言いながら、檀家周りでもろてきたお饅頭とかを持ってくる。
テイ兄ちゃんは、ダミアを気にしてるわけでも、文芸部の活動に興味があるわけでもない。
お目当ては頼子さん。
ちょっと、意見せんとあかんなあ。
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