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184『テイ兄ちゃんの部屋にいく』
しおりを挟むせやさかい
184『テイ兄ちゃんの部屋にいく』さくら
専念寺のゴエンサン(住職)さんのお見舞いに行った話はしたよね。
お孫さんが二人居てて、女の子のお孫さんがお祖父ちゃんのゴエンサンから得度(坊さんの資格を取ること)を受けるように言われて、困って、お祖父ちゃんやら、お見舞いに行ったうちにまで当たり散らしてた。
せやけど、交通事故で母ネコに死なれた子ネコを引き取って飼うことにした話。
病院でゴエンサンに当たり散らしてた時は――なんちゅう愛情のない子ぉや(*_*)!――と思たんやけど、ま、じっさい病院の待合で睨んできよった目ぇは終わってたしね。でも、子ネコに掛けた愛情は本物やと思う。
たしか鸞ちゃんやった。
うちもお寺の孫やから分かったんやと思う。お寺の跡を継ぐというのは、ちょっと大変。
せやさかい、鸞ちゃんのいらだちも、よう分かる。
やっぱり、この一年半でうちも成長したでしょ(^▽^)/
「また寝落ちしとおる」
用事があってテイ兄ちゃんの部屋に行くと、ごっついアイマスクしたままひっくり返ってる従兄を発見。
テイ兄ちゃんは、うちの副住職やりながら、専念寺さんの手伝いもやってる。二つの寺を掛け持ちして頑張ってるのは、まあ、尊敬したんねんけども、この姿はねえ。
ごっついアイマスクいうのはスタンドアロン式のVRで、ガラスのない水中眼鏡みたいなもん。このごろは、暇さえあると、このVRで異世界にトリップしとおる。
「……え……ああ、さくらか」
「そんなもん掛けたまま寝たらアホになるで」
「アホにならなら坊主は務まらん」
「また、屁理屈を……」
言いながらも深追いはせえへん。
さっきも言うた通り、大学を出てすぐにお寺の跡継ぎを決心するのは大変やいうのん分かってるしね。
そやけど、男のVRはイヤラシイ。
「また、スケベエなもん見てたんやろ」
「ちゃうちゃう、ゾンビをやっつけて世界平和に貢献してた」
これは嘘や。VR技術が進歩したんは、ひとえに男のスケベエ根性。
うちの好きなプレステでもVRがあって、コナミなんかは水着の女の子を間近に見られるコンテンツがある。うちは格ゲーの『デッドオアアライブ』が好きで、ネットでも検索したりするねんけど、ごひいきのかすみちゃんが悩殺水着でR指定のポーズとってるのにショックを受けた(-_-;)。で、テイ兄ちゃんがやってるのは、そんなR指定のポーズがお遊戯に見えてしまうくらいのH系コンテンツ。
「あのなあ、スタンドアロンはパソコンに繋げへんから、そっち系のゲームはでけへんねん。で、用事はなんやねん?」
このエロ坊主、頼子先輩にはメッチャやらしい、いや、やさしいねんけど、三親等のうちには遠慮がない。お寺の跡継ぎが大変いう認識が無かったら、きっと張り倒してると思う。
「大掃除してたら、いろいろ出てきてね」
「ああ、さくらの部屋は、元々は物置やったさかいなあ」
「お祖父ちゃんが若いころに書いてた原稿が、いっぱい出てきて」
ズイっと、段ボール箱を押し出す。
「他にも、資料とかあって、どないしょうか思て……」
「ああ、けっこうあるなあ……お祖父ちゃん、若いころは作家志望やったらしいからな……お祖父ちゃんに渡したらええのんとちゃう?」
「渡したら見られへん」
「え、見たいんか?」
「うん、どの原稿も封印したあるやんか、読も思たら開けなあかんし」
「お祖父ちゃんに言うたら」
「ぜったい『あかん』て言うし」
「ああ……そうかも知れへんなあ。お祖父ちゃんは、俺と違て、坊主になるまでは紆余曲折のあった人やもんなあ。封印したあるもんを『読んでええ』とは言わへんやろなあ」
「これなんか、タイトルが『滅鬼の刃』やんか」
「あ、ほんまや。パクリか?」
「んなわけないやん、昭和52年の日付やしい」
「ううん……よし、まかしとき」
「どないすんのん?」
「それは……」
そこまで言うたときに、テイ兄ちゃんのスマホが鳴った。
廊下に出て、なにやら話してると『分かりました、ありがとうございました、いえいえ、こちらこそお。では、よいお年を……』
そない締めくくって、テイ兄ちゃんは、首だけのぞかせて、こう言うた。
「今年の除夜の鐘ツアーは中止やて」
「あ、やっぱりコ□ナで?」
「うん、GO TOも中止やしなあ」
予測はしてたから、そんなにショックはない。
「ほんなら、頼子先輩に電話するわ」
「あ、それは、俺がやる(^▽^)/」
ああ、やっぱりスケベエ坊主や……。
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