351 / 432
351『三年ぶりの如来寄席』
しおりを挟む
せやさかい
351『三年ぶりの如来寄席』さくら
なんで今日が晴れなん!?
朝の青空を見上げて歯ぎしりするあたしです!
昨日は三年ぶりの如来寺寄席やったんです!
朝から雨の中を桂米国さんは、お弟子さんを連れて、うちの本堂に来てくれはりました。
「いやあ、三年ぶりの阿弥陀さんの神々しいこと!」
そない感激すると、鈴(りん)を鳴らして手を合わせはります。
米国さんは、いちおうプロテスタントで浄土真宗やありません。
せやけど、お寺の本堂でやるんやさかい、ちゃんとご挨拶はするわけです。
「ナマンダブナマンダブ……」
ちゃんと念仏も唱えはります。
「異教徒なのに、なぜお念仏を?」
米国さんより早く頼子さんといっしょに来てるソフィーが聞きます。
「お念仏は『南無阿弥陀仏』でしょ、南無は『もしもし』いう呼びかけやし、阿弥陀仏は仏さんの名前。つまり『もしもし仏さん』という意味。これから本堂を使わしてもらいますいうご挨拶。なにごとも挨拶で始まって挨拶で終わるっちゅうわけです」
「でも、それならお念仏でなくとも……」
「うん、ソフィーさんも、そうやと思うねんけど、日本人に挨拶するときは日本語でっしゃろ?」
「はい、礼儀です」
「二人とも英語で会話できるけど、いま、日本語で話してまっしゃろ?」
「あ……はい。そういうことなんですね」
ソフィーの日本文化理解が、また一歩進みました。
組み立て式の高座を作って、メクリを整え、テルテル坊主ぶら下げて、あとは雨が止むのを待ちました。
けど、雨は止みません。
「10月10日は晴れの特異日やねんけどなあ……」
と、テイ兄ちゃんは、本堂の縁側から空を睨みます。
雨を怨むのは、檀家さんのことなんです。
檀家さん、主に婦人部。婦人部いうのは、平均年齢70歳ちょっとくらい。
「いや、70歳もっとや」
テイ兄ちゃんが言いなおします。
そうなんです、年寄りが多いので雨の日はお寺にくるのんが大変なんです。
神経痛やらリウマチには厳しいし、人によっては電動車いすやったりして、健康でも来るのんが大変なんです。
それから、学校の方は動員が効きすぎました(^_^;)。
散策部はもちろんのこと、生徒会からも会長の田中真央と執行部全員。田中会長は人気声優百武真鈴でもあるので、そのファンが学校の内外から聞きつけて30人ほど。
他にも、担任のペコちゃん、体育の長瀬先生(意外な落語ファンやそうです)やら、うちらのクラスメートも3人ほど。
それから、正式に王女さまになったので、頼子さんファンもボチボチと。
総勢100人ほどの入りで、お寺の檀家さんは、そのうちの10人ほど。
「みんな、檀家のお婆ちゃんたちを前にこさせてあげて!」
会長の田中真央さんが仕切って、お婆ちゃんたちを最前列に。
「いやあ、なんか同じ苗字で、孫みたいやなあ」
と田中のお婆ちゃんが喜ぶ。
「よねちゃん、孫やないやろ、ひ孫やで!」
と、加藤のお婆ちゃんがチャチャ入れしはります。
うひゃひゃひゃひゃ(^Д^)
テンション高く笑うけど、あした大丈夫やろかと心配しました。
前回同様、うちと頼子さんは着物着てお茶子です。
会場整理とめくり、お囃子が録音やいうのは、ちょっと残念やけど、これは経費の関係。
出し物は『所帯念仏』『はてなの茶碗』『千両蜜柑』『地獄八景亡者の戯れ(前半)』の三本。
それぞれ面白かったんやけど、紹介してると、めっちゃ長うなるんで、別の機会にね。
落語会そのものは大盛況。せやけど、檀家さんの数が少なかったんで、如来寺の催し物というよりは、完全なイベントになってしもた。
「まあ、ええで、にぎやかなんが一番や」
テイ兄ちゃんは明るく返してくれる。
田中のお婆ちゃんは、張り切り過ぎて、帰ってから寝込んではるそうです。
「檀家さんのこと、いちばんに考えてくれて、ありがとうなあ」
お祖父ちゃんが喜んでくれた。
喜んでくれるのはええけど、頭撫でるのんは、堪忍してほしい(^_^;)
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
351『三年ぶりの如来寄席』さくら
なんで今日が晴れなん!?
朝の青空を見上げて歯ぎしりするあたしです!
昨日は三年ぶりの如来寺寄席やったんです!
朝から雨の中を桂米国さんは、お弟子さんを連れて、うちの本堂に来てくれはりました。
「いやあ、三年ぶりの阿弥陀さんの神々しいこと!」
そない感激すると、鈴(りん)を鳴らして手を合わせはります。
米国さんは、いちおうプロテスタントで浄土真宗やありません。
せやけど、お寺の本堂でやるんやさかい、ちゃんとご挨拶はするわけです。
「ナマンダブナマンダブ……」
ちゃんと念仏も唱えはります。
「異教徒なのに、なぜお念仏を?」
米国さんより早く頼子さんといっしょに来てるソフィーが聞きます。
「お念仏は『南無阿弥陀仏』でしょ、南無は『もしもし』いう呼びかけやし、阿弥陀仏は仏さんの名前。つまり『もしもし仏さん』という意味。これから本堂を使わしてもらいますいうご挨拶。なにごとも挨拶で始まって挨拶で終わるっちゅうわけです」
「でも、それならお念仏でなくとも……」
「うん、ソフィーさんも、そうやと思うねんけど、日本人に挨拶するときは日本語でっしゃろ?」
「はい、礼儀です」
「二人とも英語で会話できるけど、いま、日本語で話してまっしゃろ?」
「あ……はい。そういうことなんですね」
ソフィーの日本文化理解が、また一歩進みました。
組み立て式の高座を作って、メクリを整え、テルテル坊主ぶら下げて、あとは雨が止むのを待ちました。
けど、雨は止みません。
「10月10日は晴れの特異日やねんけどなあ……」
と、テイ兄ちゃんは、本堂の縁側から空を睨みます。
雨を怨むのは、檀家さんのことなんです。
檀家さん、主に婦人部。婦人部いうのは、平均年齢70歳ちょっとくらい。
「いや、70歳もっとや」
テイ兄ちゃんが言いなおします。
そうなんです、年寄りが多いので雨の日はお寺にくるのんが大変なんです。
神経痛やらリウマチには厳しいし、人によっては電動車いすやったりして、健康でも来るのんが大変なんです。
それから、学校の方は動員が効きすぎました(^_^;)。
散策部はもちろんのこと、生徒会からも会長の田中真央と執行部全員。田中会長は人気声優百武真鈴でもあるので、そのファンが学校の内外から聞きつけて30人ほど。
他にも、担任のペコちゃん、体育の長瀬先生(意外な落語ファンやそうです)やら、うちらのクラスメートも3人ほど。
それから、正式に王女さまになったので、頼子さんファンもボチボチと。
総勢100人ほどの入りで、お寺の檀家さんは、そのうちの10人ほど。
「みんな、檀家のお婆ちゃんたちを前にこさせてあげて!」
会長の田中真央さんが仕切って、お婆ちゃんたちを最前列に。
「いやあ、なんか同じ苗字で、孫みたいやなあ」
と田中のお婆ちゃんが喜ぶ。
「よねちゃん、孫やないやろ、ひ孫やで!」
と、加藤のお婆ちゃんがチャチャ入れしはります。
うひゃひゃひゃひゃ(^Д^)
テンション高く笑うけど、あした大丈夫やろかと心配しました。
前回同様、うちと頼子さんは着物着てお茶子です。
会場整理とめくり、お囃子が録音やいうのは、ちょっと残念やけど、これは経費の関係。
出し物は『所帯念仏』『はてなの茶碗』『千両蜜柑』『地獄八景亡者の戯れ(前半)』の三本。
それぞれ面白かったんやけど、紹介してると、めっちゃ長うなるんで、別の機会にね。
落語会そのものは大盛況。せやけど、檀家さんの数が少なかったんで、如来寺の催し物というよりは、完全なイベントになってしもた。
「まあ、ええで、にぎやかなんが一番や」
テイ兄ちゃんは明るく返してくれる。
田中のお婆ちゃんは、張り切り過ぎて、帰ってから寝込んではるそうです。
「檀家さんのこと、いちばんに考えてくれて、ありがとうなあ」
お祖父ちゃんが喜んでくれた。
喜んでくれるのはええけど、頭撫でるのんは、堪忍してほしい(^_^;)
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
それぞれの道
真田直樹
現代文学
主な登場人物
藤川優斗(ふじかわ ゆうと)
高校野球部ショート。堅実な守備と冷静な判断力が武器。チームの精神的支柱。
丹羽雅人(にわ まさと)
野球部エースピッチャー。豪速球と強気の性格。優斗とは中学からの親友。
尾上紀子(おのえ のりこ)
吹奏楽部トランペット担当。県大会常連校の中心メンバー。優斗に密かな想い。
富田さゆり(とみた さゆり)
演劇部。表現力が高く、舞台では別人のようになる。クラスのムードメーカー。
親愛なる後輩くん
さとう涼
恋愛
「神崎部長は、僕と結城さんがつき合っているのを知りながら彼女に手を出したんですよ」
雨宮一紗(33歳)。離婚して3年。
同じ会社に勤める元夫・神崎敦朗と復縁したくて、ある日食事に誘ったら、神崎から恋人がいると知らされる。相手は20代の部下・結城史奈だという。
さらに神崎のもうひとりの部下である蓮見閑《しずか》から、彼女(結城)を神崎に略奪されたと聞かされてしまい、大きなショックを受ける……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる