せやさかい

武者走走九郎or大橋むつお

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368『歳末特別警戒本部やぞ!』

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せやさかい

368『歳末特別警戒本部やぞ!』さくら    




 おお…………!


 うちの山門を眺めて、四年ぶりに感動した。

 一回目は……感動ちごて、動揺かな。

 ほら、四年前の三月三十一日、お母さんに連れられて、この山門の前に立った。

 あの時は、この門のことを山門て呼ぶことも知らんかった。

 ジッカの門と呼んでた。

 ジッカとは実家で、実家て書くのは四年生まで知らんかった。お母さんがジッカ、ジッカて呼んでた。

 ジッカはお寺で、お寺の門を山門て呼ぶのを、それまでは知らんかった。

 それまで、夏休みとかに来るだけやったから――今日から、ここがさくらの家や――言われて、めっちゃ意識した。

 なんや、いかつうて、テレビで見た『忠臣蔵』の討ち入りいう感じ。

 大石内蔵助が、四十七士を引き連れて吉良上野介の屋敷の門の前に立った、あの感じ。

 いや、うちは扶養家族やさかい、息子の大石力っちゅうとこやなあ。

 忠臣蔵言うと、今日は、播州の赤穂城で三年ぶりの赤穂義士のパレードをやってた。

「ああ、やっぱり中村雅俊の大石内蔵助いいわねえ(^▽^)」

 おばちゃんが感動してた。

「ああ、太陽にほえろやなあ」「われら青春も良かったなあ」

 お祖父ちゃんとおっちゃんも感動。

 うちらは、なんかオジンのコスプレいう感じやねんけど、せっかくの感動に水を差すようなことは言いません(^_^;)

 そこへ、檀家周りから帰ってきたテイ兄ちゃんが、町会長さんから言づかってきよった。

「集会所、雨漏りして使えへんから、歳末特別警戒の詰所にお寺貸してくれへんかて」

「ああ、それは難儀やなあ」

「そら、使てもらい」

「ほな、電話するで」

 テイ兄ちゃんが衣のまま電話して、急きょ、うちは歳末特別警戒の本部(ほんまは詰所やけど、本部の方がかっこええ)になった。

 

 で、すぐに町会長さんが軽トラで本部の道具一式を持ってきはった。



 その道具で、いちばんかっこええのが提灯。

 白地の胴に二本の赤線が引いたって、黒々と『歳末特別警戒』の文字が入ってる。

「納戸に、古い提灯立てがあるで」

 お祖父ちゃんが思い出して、時代劇に出てきそうな木製のスタンドが出される。

「これは対にせんとあかんなあ」

 おっちゃんの発案で、例年やったら一個で済ます提灯を二つにした。

 ほんで、セッティングを終わったら、気の早いお日さんが西の空に傾いてきたんで、提灯に灯りを入れる。

 それで「おお…………!」と女子三人で感動したわけ。

 三人いうのは、うちと留美ちゃんと詩(ことは)ちゃん。

「なんか、堺奉行所って感じね!」

「殿馬場のあたりにあったっていいますね!」

 二人の感動はレベルが高い。

「せや、写真に撮って送ったろ!」

 イチビリのうちは、提灯の灯りで雰囲気の写真を撮って、散策部のみんなに送る。



 一分で頼子さんから返事が返ってきた。



―― 今から観に行く! ――

 

 で、四十分後には、散策部全員で山門の前で記念写真(^_^;)

「おお」

 メグリンは、うちらと同じ反応。

「新選組の屯所って感じ!」

 想像力の翼を広げたんはソニー。

「歳末特別警戒って、夜回りするんだよね!?」

 ソフィーにも火が付いた。

「よし、わたしたちも参加しよう!」

 頼子さんが手を挙げて、急きょ歳末の部活が決まってしもた!

 

☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら     この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌       さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観      さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念      さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一      さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは)  さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保      さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
榊原 留美      さくらと同居 中一からの同級生 
夕陽丘頼子      さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー        ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか      さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下       頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首  

 
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