せやさかい

武者走走九郎or大橋むつお

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418『ミカサンパサランとネコメイド』

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せやさかい

418『ミカサンパサランとネコメイド』さくら   




 ここのとこ週に一回は学校休んでる。


 なんで休んでるかというと『宇宙戦艦三笠』ですわ。

 秋アニメなんで、放映までにはだいぶあるねんけど、放映が始まるまでに全編撮っておきたいというのが製作委員会の意向なんです。

 監督の宗武真さんは仕事が遅いのんで有名。

 監督の仕事は絵コンテ描くとこから始まるねんけど、これがなかなか書かれへん。

 ええ作品をつくるため、ええ加減なことはでけへんいうプロ根性やねんけど、ワンクール13回の放映で2回も総集編で誤魔化されては、テレビ局もスポンサーも、その代表組織の製作委員会もかなわんので、早めにスケジュールを組んでるとか。

 それで、現在のところ制作も順調で週に一回は東京に行って収録の仕事というわけです。



「出港用意! 碇揚げぇ!」

「各索放せ!」

「両舷前進微速! 150度ヨーソロ! 三笠出港!」

「三笠出港!」

「両舷前進元速! 赤黒無し! 航海長操艦!」

「航海長操艦! いただきました、両舷前進元速! 赤黒無し!」

「両舷前進元速! 赤黒無し!」

「「「ジャンジャン ジャンジャカジャンジャン ジャジャジャジャーン(軍艦マーチ)♪」」」



 ええと……別に収録風景やないんです(^_^;)

 リアル戦艦三笠のブリッジで出港ごっこをやってます。天音(酒井さくら)・樟葉(百武真鈴)・トシ(花園あやめ)ミカさん(吉永百合子)の四人で。

「ああ、やっぱり艦長の役ってカッコいいわよね!」

 吉永さんがいちばん無邪気。

「今のん、めっちゃハマってましたね!」

「そりゃそうよ、いつも男前の役やってるからね」

「いまの草薙熱子の声じゃなかったですか?」

「あやめも、いつかそういう役やりたいです」

「あはは、でも、やっぱり艦長は本人がやらなくちゃねえ」

 吉永さんが、ラッタルの下の凜太郎さんを冷やかす。

「勘弁してくださいよ、そんな露天艦橋でやるから、みんな見てますってば(;'∀')」

 ああ、たしかに、前の甲板どころか、三笠の外の公園にいてる人らも見てるしぃ。

 最初は「秋アニメ『宇宙戦艦三笠』よろしくお願いしまーす!」とアピールするつもりやったらしいけど、それは、さすがに凜太郎さん帰ってしまいそうやし、やめた。



 カンカンカンカン



 小気味よくラッタルを降りて艦内に。

「おお、ここだよここ!」

 真っ先に下りた吉永さんが指差したのは艦内神社。

「あ、もっと大きいのかと思ってた」

「そうだね、お地蔵さんくらいはあるかと思ってた」

 真鈴先輩とあやめさんが不足を言う。

「大きさって関係ないよ、浅草の御本尊は10センチあるかなしかの観音様だよ、ねえ、さくら?」

「ああ、うちは浄土真宗やさかい、よう分かりません」

「ええ、浄土真宗に観音様はいないの?」

「あ、もっぱら阿弥陀さんですよって(^_^;)」

「うん、でも、なかなか立派な神棚だ、みんなでお参りしよう!」

 神棚の下には、小振りやけど立派な賽銭箱があって、スタッフさんらもいっしょにお賽銭を上げてお参り。

「そこで問題です」

 凜太郎さんがふってくる。

「船のデッキは、上中下の甲板に分かれてるんだけど、ここは、その上中下のいずれの甲板でしょうか? 当たった人にはささやかだけど、すごい賞品が当たります!」

「「「中甲板!」」」

 女子三人の声が揃う。

「うう……残念、上甲板!」

「「「ええ!?」」」

 みんなで上を向く。

 上を向くと天井が見えるわけで、当然、その上にはさっきまで居った甲板がある。

「なんでだよ、凜太郎?」

 凜太郎さんを呼び捨てに出来るのは、やっぱりベテラン吉永百合子の貫録!

「あ、草薙熱子の声やめてもらえます、ちょっとオッカナイっす(;'∀')」

「ええ、おせーてくれないと、マコ泣いちゃうぞ」

 おお、これは『魔女っ子マコ』の声や!

「一番上のは最上甲板て言うんですよ」

「なんだと、上の上に最上とは、卑怯ではないか! 貴様、それでも男か!」

 おお、またもや草薙熱子!

「い、いや、そういうものなんっすよ。あ、景品はあげますから(^_^;)」

 ポケットから、なんやカイラシイもんを出した。

「「「あ、ミカさんのマスコット!?」」」

「あ、なんかホワホワしてて、手触りいいですねえ」

「気持ちいいわねぇ」

 真鈴さんあやめさんがスリスリする。

「ふつうのPVCのもあるんだけど、特別バージョン」

「いいなあ、これ……よし、ミカサンパサランと名付けよう!」

「あ、なんか怪しげでいいっすね!」

「わたしらのんは、ありませんのん?」

「鋭意制作中だって、だよね?」

 スタッフに振ると、ディレクターさんが指を七本立てた。



 次は、司令長官室。

 上甲板の一番後ろにあって、いちばん豪華な部屋。



「おお、アニメといっしょ!」

「今日は、特別に座ってもいいそうだ」

 凜太郎さんが、通せんぼのゲートを開けてくれる。

「ああ、ここだ、この席だ!」

 真鈴先輩が真ん中の席をスリスリする。

「え、なになに?」

「天音がマッパで召喚されて、生尻のまま落ちてきた席!」

「ああ、ここかあ」

「なになに、ここにさくらの生尻がぁ?」

「ちゃいます、天音ですよ、百合子さん!」

 なんか、自分のお尻触られてるみたいにゾクゾク。

「ええ、ここで、みんなに紹介する乗組員が登場しま~す」

「「「ええ?」」」

 スリスリもゾクゾクも止めて、ドアに注目。

 

「「「「しつれいしま~~す(^▽^)」」」」



 声が揃ったかと思うと、猫耳を付けた四人のメイドさんたちが入ってきた。

「ピレウスまでの航海の間、皆さんの世話をさせていただきます。ネコメイドのシロメで~す」

「クロメで~す」

「チャメで~す」

「ミケメで~す」

「「「「よろしくおねがいしま~す、ニャン!」」」」

 

 そろいのネコポーズで決めた四人は、6話から登場するネコメイドの声をやる声優さんたちだ。

 なんか、若いと言うか幼い感じがする……と思ったら。



 全員、中学三年生だって!



☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら      この物語の主人公  聖真理愛女学院高校二年生
酒井 歌        さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観       さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念       さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一       さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは)   さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバンシー、リャナンシーが友だち 愛称コットン
酒井 美保       さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
榊原 留美       さくらと同居 中一からの同級生 
夕陽丘頼子       さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 愛称リッチ
ソフィー        ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー         ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか       中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり)  さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央)  高校生声優の生徒会長
女王陛下        頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者  宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 
声優の人たち      花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎  
さくらの周辺の人たち  ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
  

  
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