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430『詩ちゃんの写真と西京焼きと新聞記事』
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せやさかい
430『詩ちゃんの写真と西京焼きと新聞記事』さくら
なんでか、出窓の観葉植物の横に置いたある。
うちが買っておばちゃんに持って行ってもろた学校机セット。
「フフ、さくら、この鉢植えの花わかる?」
留美ちゃんが鼻にしわを寄せる。わたしに分からんクイズを思いついた時の顔や。
詩ちゃんが送ってきた画像を見て、ええなあとふたりで頬杖ついてる。
「うちの境内にあるのやったら分かるねんけどなあ」
さっさと降参しとく。
「ブルーベルって言うんだよ。花をつけるとお辞儀したようになって、ほら鈴なりのベルみたいでしょ」
「ほんまや、花がみんな下向いてて、かいらしいねえ。この学校机1/12やさかいに、フィギュアに座らせたら、妖精の学校みたいやねえ。こんど見繕って送ったげようか」
「ううん、このままがいいんだよ」
「そう……そうか……休み時間に、ちょっと席外してます的な」
「そうだね、妖精学校は二時間目の休み時間です的な?」
「うん、そのキャプションええやんか!」
「写真に付けて送ろ!」
カチャカチャとキーを叩いて写真を送信。
「「さて」」
二人で声を揃えて、キッチンに行く。
おばちゃんもヤマセンブルグに行ってるんで、ご飯の用意はうちらでやってます。『ご飯ぐらい作れるでえ』とお祖父ちゃんは言うけど、出来る時はうちらでやることにしてる。せめて残り少ない夏休みぐらいはね。
お寺のキッチンは広い。
法事やらの時は、大勢のお茶やら食事の用意とかせならあかんさかいね。
下ごしらえしといた鮭の西京焼きを冷蔵庫から出して、あとは、卵焼きとお味噌汁とサラダの用意。
ジュワァ
お味噌の焼ける匂いが食欲をそそります。
背後に人の気配、お祖父ちゃんが手伝いに来たのかと思たら、テイ兄ちゃん。
「自分ら、このニュース見たか?」
テイ兄ちゃんが新聞をひらひらさせてる。
「え、なに?」「なんですか?」
ガスを止めてリビングへ。
「これ、自分らの担任やった先生とちゃうかぁ」
――介護疲れか95歳の母親を殺害――
「え?」
「「ええ!?」」
介護疲れのお年寄りが、親やら配偶者を殺してしまういう話は時々あるけど、自分の知ってる人が殺したり殺されたりいう話は初めてや。
―― 菅井敏行(62)は、要介護5の母親菅井美幸さん(95)を岸和田市内の老人介護施設から散歩に行くと言って連れ出し、岸壁から車いすごと海に突き落とし…… ――
「菅井先生だ!?」
「そんなアホな!?」
「やっぱり、自分らの担任やった先生やねんなあ……」
菅ちゃん、菅井先生を最後に見たのはお祖父ちゃんに頼まれて天王寺のお寺にお使いにいった帰り(094:『海老煎餅買って意外な人を見かける』)マクドのオープンデッキでハンバーガー食べてて、妹さんと揉めてたとこ。
話の内容から、親の介護のことで言い合いになってたんを思い出す。
間もなく菅ちゃんは学校辞めてしもて、それからは知らんかったんやけど……
「先生、なんでまたぁ……」
留美ちゃんは、自分の身内の事のように眉を顰め、涙まで浮かべてる。
中一のころの留美ちゃんは、ちょっとコミュ障的なとこがあって、よう菅ちゃんに怒られてた。
菅ちゃんも不器用な先生で、うちも何べんかカチンときて食って掛かった。
一言でいうと嫌な先生。
せやけど、なんか、むちゃくちゃ悔しい。
菅ちゃんのやったことは同情の余地なんかカケラも有れへん。
ボケてはったんかも分からへんけど、お母さん、岸壁で乗ってた車いすを押されて、海に落ちるまでの恐怖と絶望。
押しながら、菅ちゃんは何を思たんやろか?
気を取り戻してキッチンに戻ると、火は切ってたけど、フライパンの上で西京焼きが味噌漬けの干物みたいになってしもてた。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校二年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバンシー、リャナンシーが友だち 愛称コットン
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 愛称リッチ
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍中尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか 中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行)
声優の人たち 花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎
さくらの周辺の人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん) 瀬川(女性警官)
430『詩ちゃんの写真と西京焼きと新聞記事』さくら
なんでか、出窓の観葉植物の横に置いたある。
うちが買っておばちゃんに持って行ってもろた学校机セット。
「フフ、さくら、この鉢植えの花わかる?」
留美ちゃんが鼻にしわを寄せる。わたしに分からんクイズを思いついた時の顔や。
詩ちゃんが送ってきた画像を見て、ええなあとふたりで頬杖ついてる。
「うちの境内にあるのやったら分かるねんけどなあ」
さっさと降参しとく。
「ブルーベルって言うんだよ。花をつけるとお辞儀したようになって、ほら鈴なりのベルみたいでしょ」
「ほんまや、花がみんな下向いてて、かいらしいねえ。この学校机1/12やさかいに、フィギュアに座らせたら、妖精の学校みたいやねえ。こんど見繕って送ったげようか」
「ううん、このままがいいんだよ」
「そう……そうか……休み時間に、ちょっと席外してます的な」
「そうだね、妖精学校は二時間目の休み時間です的な?」
「うん、そのキャプションええやんか!」
「写真に付けて送ろ!」
カチャカチャとキーを叩いて写真を送信。
「「さて」」
二人で声を揃えて、キッチンに行く。
おばちゃんもヤマセンブルグに行ってるんで、ご飯の用意はうちらでやってます。『ご飯ぐらい作れるでえ』とお祖父ちゃんは言うけど、出来る時はうちらでやることにしてる。せめて残り少ない夏休みぐらいはね。
お寺のキッチンは広い。
法事やらの時は、大勢のお茶やら食事の用意とかせならあかんさかいね。
下ごしらえしといた鮭の西京焼きを冷蔵庫から出して、あとは、卵焼きとお味噌汁とサラダの用意。
ジュワァ
お味噌の焼ける匂いが食欲をそそります。
背後に人の気配、お祖父ちゃんが手伝いに来たのかと思たら、テイ兄ちゃん。
「自分ら、このニュース見たか?」
テイ兄ちゃんが新聞をひらひらさせてる。
「え、なに?」「なんですか?」
ガスを止めてリビングへ。
「これ、自分らの担任やった先生とちゃうかぁ」
――介護疲れか95歳の母親を殺害――
「え?」
「「ええ!?」」
介護疲れのお年寄りが、親やら配偶者を殺してしまういう話は時々あるけど、自分の知ってる人が殺したり殺されたりいう話は初めてや。
―― 菅井敏行(62)は、要介護5の母親菅井美幸さん(95)を岸和田市内の老人介護施設から散歩に行くと言って連れ出し、岸壁から車いすごと海に突き落とし…… ――
「菅井先生だ!?」
「そんなアホな!?」
「やっぱり、自分らの担任やった先生やねんなあ……」
菅ちゃん、菅井先生を最後に見たのはお祖父ちゃんに頼まれて天王寺のお寺にお使いにいった帰り(094:『海老煎餅買って意外な人を見かける』)マクドのオープンデッキでハンバーガー食べてて、妹さんと揉めてたとこ。
話の内容から、親の介護のことで言い合いになってたんを思い出す。
間もなく菅ちゃんは学校辞めてしもて、それからは知らんかったんやけど……
「先生、なんでまたぁ……」
留美ちゃんは、自分の身内の事のように眉を顰め、涙まで浮かべてる。
中一のころの留美ちゃんは、ちょっとコミュ障的なとこがあって、よう菅ちゃんに怒られてた。
菅ちゃんも不器用な先生で、うちも何べんかカチンときて食って掛かった。
一言でいうと嫌な先生。
せやけど、なんか、むちゃくちゃ悔しい。
菅ちゃんのやったことは同情の余地なんかカケラも有れへん。
ボケてはったんかも分からへんけど、お母さん、岸壁で乗ってた車いすを押されて、海に落ちるまでの恐怖と絶望。
押しながら、菅ちゃんは何を思たんやろか?
気を取り戻してキッチンに戻ると、火は切ってたけど、フライパンの上で西京焼きが味噌漬けの干物みたいになってしもてた。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校二年生
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酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
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酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 愛称リッチ
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍中尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか 中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行)
声優の人たち 花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎
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