やくもあやかし物語・2

武者走走九郎or大橋むつお

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022『戦い済んで・2』

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やくもあやかし物語 2

022『戦い済んで・2』 




 森の女王ティターニアは、ゆっくりと羽をはためかせ、地上50センチくらいのところでホバリングしている。50センチなら、地面に下りて来ればいいと思うんだけど、この50センチは、女王としての威厳を示すものかもしれない。

 それに、森林浴をしてるみたいにリラックスのオーラが、その羽ばたきで出てるような気もする。

「デラシネの件ではお世話になった。お礼を言うわ」

「い、いえ、お役に立ったのなら幸いです(^_^;)」

 50センチの威力に、神社にお参りした時の感覚でお辞儀してしまう。

「フフフ……さすが極東の島国の子ねぇ、奥ゆかしいわ」

「ハイジはちがうぞ」

「そうね、アーデルハイドとコーネリアは、わたしたちに似た感じね」

「あ、申し遅れました。プロイセンの森の住人コーネリア・ナサニエルです(-_-)」

 ネルは、王女に対した時と同じように慇懃にあいさつ。腰をかがめる時に、ハイジの頭を押さえつけ「ムギュ」って言いながら、ハイジもあいさつした。

「ハイジはハイジでいいよ、ちゃんと呼ばれると、教会に行った時みたいに緊張すっから、あ、しますから(;'∀')」

「はい、それでは……」

 25センチくらいに下りてきた。

「デラシネは、元々は森の住人なのだけれど、いろいろあって、森の仲間たちから離れてしまったの。いろいろはデラシネの親の代からあったのだけれどね。デラシネ自身は、ほんとうは人恋しい子なの。それで、魔法学校ができてからは気になって仕方がないの」

「ああ……」

「うん……なにか思い当たったのかしら?」

「日本にいた時も、デラシネみたいなのは居ました」

「そうなのね……それで、学校やあなたたちにチョッカイを出すのね」

「ええと……」

「そうね、ヤクモから言い出したら言霊になってしまうわね」

「コトダマってなんだ?」

「黙ってろ!」

 ポコン

「ムギュ」

 言霊……口にした言葉にエネルギーが籠って力を現したり、災いをもたらすことを言うんだよ。

「もうあれほどの悪さをすることは無いと思うのだけど、また、あなたたちの前に現れると思うの」

「え、また来んのか!?」

「うん、少しずつでいいから……」

「相手にしろってか!? ムギュ!」

 ネルが口を押えたけど「相手にしろ」って言葉が漏れた。

「年が明けたら、お風呂屋さんの方も使えるみたいね……」

 シャラララ~~ン……☆ シャラララ~~ン……☆

 ロッドを振るティターニア。

「森の祝福……きっといいお風呂になるわ」

「お礼とかくれるんじゃ……ムグ!」

「しておいたわよ、ちゃんと振ったでしょ、ロッドを二回(^▽^)。それじゃあねぇ~~」

 ピュゥ~~~

 風が吹いたかと思うと、来た時とはぜんぜん違うスピードで森の方へ飛んで行ってしまった。あとには、しばらく木の葉が舞い散ったままになった。

「オーベロンのやつが隠れていたな」

「よく分からない夫婦ねぇ(^_^;)」

「で、御褒美は!?」


 そして、宿舎に帰ると雪が降り出して、夜中には、もう積もっていた。

 今年は暖冬で雪は降らないと言われていたけど、予想はずれの大雪で、クリスマスイブも、今日のクリスマスもとてもいい雰囲気だった。

「ええ、御褒美って、この雪のことだったのかあ!?」

 ハイジ一人だけ不機嫌で今年も押し詰まってきたよ。

 
☆彡主な登場人物 
やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン  教頭先生
カーナボン卿     校長先生
酒井 詩       コトハ 聴講生
同級生たち      アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち       マッコイ(言語学)
あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン

 
 
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