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032『記念樹のヒメシャラと風呂掃除』
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やくもあやかし物語 2
032『記念樹のヒメシャラと風呂掃除』
その木の別名を思い出して、ハイジが転ぶのを連想してしまった。
「え、なんだぁ?」
ハイジが睨みつけてきて、ネルがクスクス笑う。
「なんだよ、ネルにまで笑われちゃあ立つ瀬がねえぞ」
「これはね、ヒメシャラっていうんだよ」
「ヒメシャラぁ?」
その記念樹は、聖真理愛学院の人たちが植えてった記念樹。
物事は正確にというカーナボン卿の意見でStewartia monadelpha という学名が最初に書いてあり、その下に姫沙羅・赤栴檀と漢字で書いてある。
横文字はラテン語だし、漢字は日本人のわたしでも『姫』の一字以外は苦しい。
水やりをご一緒した王女さまが「サルスベリと呼ばれることもあるのよ」と教えて下さった。
で、今朝は三人で水やりしていて、王女さまが言った「 サルスベリ」を思い出してしまったんだよ。
桜を植えようという意見もあったらしいんだけど、これから開花期を迎える桜は、花を咲かせるのに力を使ってしまう。そして、土に馴染めなくて、大して花も咲かせられず、ストレスばかり溜まって枯らす恐れがあるというので、ヒメシャラに決められたそうだよ。夏には、小さな花をいっぱい咲かせるそうで、ちょっと楽しみ。
さて、当番の風呂掃除。
福の湯の方は、別の班なんで、あたしらは露天風呂。
露天風呂の方は入浴で入るのは人気だけども、掃除の方は不人気。
「これってよぉ、最後に使った奴が掃除するのがいいんじゃね?」
ハイジがプータレる。
「それやると、みんな自分は最後じゃないとか言って、掃除しなくなると思うぞ」
ブラシをかけながら、ネルが答える。
「そうだよね、入浴のついでだと、掃除してる間に湯冷めしちゃうなあ」
「ええ、掃除してから、もっかい浸かればいいじゃん」
「う~ん……そういう発想はなかったなあ……けど、それじゃあ、掃除したことにならないような気がする」
「そうなのかぁ、ネルはどう思うよ?」
端っこまでモップかけて、振り返りながらハイジ。それとすれ違いながらネルが答える。
「う~ん……正直、よく分からないけどさ。今はやくもの言う通りやってればいいと思うよ」
「そうなのかぁ」
「たとえば……ハイジ、そっち持てよ」
「おう」
すのこ大を二人で持ち上げ、わたしがモップでガシガシ。
「たとえば、風呂入るついでに、みんなの下着とか洗濯機にかけたとする」
「おお」
「早風呂のハイジは、さっさと上がって服を着る」
「おお、ハイジは何をやっても早えからな」
「で、パンツ穿こうと思ったら、忘れてきた」
「アハハ、たまにやるなあ(^_^;)」
「そしたら、他のやつが新品の着替えのパンツを脱衣籠に用意してるんで、ちょっと拝借」
「ええぇ!?」
「ちゃんと、きれいに前も後ろも拭いてからな。それで、急いで部屋に戻って、自分のパンツに履き替えて、風呂に戻って借りた新品パンツを返しておく」
アハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))
思わず三人いっしょに笑ってしまう。
でも、掃除の手は止まらないで、もう一枚のすのこにとりかかる。
「そういう時はよぉ、パンツ穿かないで部屋に帰るぞ。返しに戻るのめんどくせえ」
アハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))ワハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))キャハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))
バカなことを言いながらも、ちゃんと掃除は進んでいく。
ちょっと前は、飽き性で、遊んでばかりいたハイジ。考え事をすると他のことは御留守になりがちだったネル。
意識してないだろうけど、みんな変わりつつある。
そして、三人のバカな掃除を脱衣場の屋根から見ているデラシネも噴き出しそうになって( ´艸`)手で口を押えてる。
デラシネは、みんなからは姿が見えないようにして、それでも、悪さはしなくなって、こんな風に観察するようになった。
つまり、わたしにだけは見えてるんだけどね。
それは、もうしばらく、やくもとデラシネの秘密だよ。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方
032『記念樹のヒメシャラと風呂掃除』
その木の別名を思い出して、ハイジが転ぶのを連想してしまった。
「え、なんだぁ?」
ハイジが睨みつけてきて、ネルがクスクス笑う。
「なんだよ、ネルにまで笑われちゃあ立つ瀬がねえぞ」
「これはね、ヒメシャラっていうんだよ」
「ヒメシャラぁ?」
その記念樹は、聖真理愛学院の人たちが植えてった記念樹。
物事は正確にというカーナボン卿の意見でStewartia monadelpha という学名が最初に書いてあり、その下に姫沙羅・赤栴檀と漢字で書いてある。
横文字はラテン語だし、漢字は日本人のわたしでも『姫』の一字以外は苦しい。
水やりをご一緒した王女さまが「サルスベリと呼ばれることもあるのよ」と教えて下さった。
で、今朝は三人で水やりしていて、王女さまが言った「 サルスベリ」を思い出してしまったんだよ。
桜を植えようという意見もあったらしいんだけど、これから開花期を迎える桜は、花を咲かせるのに力を使ってしまう。そして、土に馴染めなくて、大して花も咲かせられず、ストレスばかり溜まって枯らす恐れがあるというので、ヒメシャラに決められたそうだよ。夏には、小さな花をいっぱい咲かせるそうで、ちょっと楽しみ。
さて、当番の風呂掃除。
福の湯の方は、別の班なんで、あたしらは露天風呂。
露天風呂の方は入浴で入るのは人気だけども、掃除の方は不人気。
「これってよぉ、最後に使った奴が掃除するのがいいんじゃね?」
ハイジがプータレる。
「それやると、みんな自分は最後じゃないとか言って、掃除しなくなると思うぞ」
ブラシをかけながら、ネルが答える。
「そうだよね、入浴のついでだと、掃除してる間に湯冷めしちゃうなあ」
「ええ、掃除してから、もっかい浸かればいいじゃん」
「う~ん……そういう発想はなかったなあ……けど、それじゃあ、掃除したことにならないような気がする」
「そうなのかぁ、ネルはどう思うよ?」
端っこまでモップかけて、振り返りながらハイジ。それとすれ違いながらネルが答える。
「う~ん……正直、よく分からないけどさ。今はやくもの言う通りやってればいいと思うよ」
「そうなのかぁ」
「たとえば……ハイジ、そっち持てよ」
「おう」
すのこ大を二人で持ち上げ、わたしがモップでガシガシ。
「たとえば、風呂入るついでに、みんなの下着とか洗濯機にかけたとする」
「おお」
「早風呂のハイジは、さっさと上がって服を着る」
「おお、ハイジは何をやっても早えからな」
「で、パンツ穿こうと思ったら、忘れてきた」
「アハハ、たまにやるなあ(^_^;)」
「そしたら、他のやつが新品の着替えのパンツを脱衣籠に用意してるんで、ちょっと拝借」
「ええぇ!?」
「ちゃんと、きれいに前も後ろも拭いてからな。それで、急いで部屋に戻って、自分のパンツに履き替えて、風呂に戻って借りた新品パンツを返しておく」
アハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))
思わず三人いっしょに笑ってしまう。
でも、掃除の手は止まらないで、もう一枚のすのこにとりかかる。
「そういう時はよぉ、パンツ穿かないで部屋に帰るぞ。返しに戻るのめんどくせえ」
アハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))ワハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))キャハハハハ(((ᵔᗜᵔ*)))
バカなことを言いながらも、ちゃんと掃除は進んでいく。
ちょっと前は、飽き性で、遊んでばかりいたハイジ。考え事をすると他のことは御留守になりがちだったネル。
意識してないだろうけど、みんな変わりつつある。
そして、三人のバカな掃除を脱衣場の屋根から見ているデラシネも噴き出しそうになって( ´艸`)手で口を押えてる。
デラシネは、みんなからは姿が見えないようにして、それでも、悪さはしなくなって、こんな風に観察するようになった。
つまり、わたしにだけは見えてるんだけどね。
それは、もうしばらく、やくもとデラシネの秘密だよ。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
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