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66『全部バレてしまった……』
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はるか ワケあり転校生の7カ月
66『全部バレてしまった……』
手術が終わるころ、お母さんがやってきた。
なんだか分からない医療機器のピコピコとか。となりのナースステーションの声や、物音が異様に響く。
何分たったろう……。
「ウ……!」
お父さんが痛みと共に目覚めた。
「あなた」
朝起こすときのようにレギュラーな調子でお母さん。
「お父さん……」
意に反して、蚊の鳴くような声しかかけられないわたし。
すぐに看護師のオネエサンが来て、いろいろチェックしたり、質問をしたり。
「あとで先生が来ますけど、たぶん明日には一般病棟に移れると思いますよ」
看護師さんの質問にも、お父さんはしっかりと答えていた。
もともとお父さんは痛みには強いというか鈍感。
会社を潰して、離婚して、実家の仕事も変えて……そして生活も。
そこにはわたしの想像を超えた痛みがあったんだろう。
麻酔が切れたときだけ、顔をしかめたけど、あとは涼しげといっていいほどの穏やかさだった。
「二人とも、すまんなあ……」
わたしたちへの最初の言葉だった。
「早く良くなって、東京へ帰りましょうね」
と、お母さん。
「見送りぐらいには来てくれるんだろう」
「土日ならね。わたしパートだから、平日はそんなに休めない」
「わたし、平日でも行く。授業抜けてでも……」
「はるか……」
まぶしげにわたしを見てお父さんが言った。
「はるか、もっと顔を……」
「お父さん……」
泣きそうになって、グイっと顔を寄せる。
「ああ、それでいい……後ろのライトがまぶしくってな」
ライトかよ……。
その直後、あの人が入ってきた。
「奥様、ご無沙汰いたしております」
完ぺきな秘書の物腰で、秀美さんはあいさつした。
「もう奥様じゃないわよ。大変だったでしょ、東京からじゃ」
「ええ、でも事が事ですから」
「……高峯くん、すまなかったね」
「いいえ、社長がお怪我なさったんですから、当然のことです。はるかちゃん昨日と、一昨日はどうも」
「え?」と……お母さん。
「お、お父さん、さっき手術が終わって、今麻酔が切れたとこなんです。えと右大腿顆上骨折(合ってたよね?)です。バイクとぶつかったんです。術後の経過はいいようです。事故の様子は、実況見分とかで、まだ詳しくは分かりませんけど。あ、手続きとかはこれから……」
「はるか、なにあせってんのよ?」
「あ、あの……その……(;'∀')」
全部バレてしまった……。
66『全部バレてしまった……』
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「あなた」
朝起こすときのようにレギュラーな調子でお母さん。
「お父さん……」
意に反して、蚊の鳴くような声しかかけられないわたし。
すぐに看護師のオネエサンが来て、いろいろチェックしたり、質問をしたり。
「あとで先生が来ますけど、たぶん明日には一般病棟に移れると思いますよ」
看護師さんの質問にも、お父さんはしっかりと答えていた。
もともとお父さんは痛みには強いというか鈍感。
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「早く良くなって、東京へ帰りましょうね」
と、お母さん。
「見送りぐらいには来てくれるんだろう」
「土日ならね。わたしパートだから、平日はそんなに休めない」
「わたし、平日でも行く。授業抜けてでも……」
「はるか……」
まぶしげにわたしを見てお父さんが言った。
「はるか、もっと顔を……」
「お父さん……」
泣きそうになって、グイっと顔を寄せる。
「ああ、それでいい……後ろのライトがまぶしくってな」
ライトかよ……。
その直後、あの人が入ってきた。
「奥様、ご無沙汰いたしております」
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「もう奥様じゃないわよ。大変だったでしょ、東京からじゃ」
「ええ、でも事が事ですから」
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「いいえ、社長がお怪我なさったんですから、当然のことです。はるかちゃん昨日と、一昨日はどうも」
「え?」と……お母さん。
「お、お父さん、さっき手術が終わって、今麻酔が切れたとこなんです。えと右大腿顆上骨折(合ってたよね?)です。バイクとぶつかったんです。術後の経過はいいようです。事故の様子は、実況見分とかで、まだ詳しくは分かりませんけど。あ、手続きとかはこれから……」
「はるか、なにあせってんのよ?」
「あ、あの……その……(;'∀')」
全部バレてしまった……。
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