おじさんの恋

椎名サクラ

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番外編

分裂と過剰と悦びと(遥人が二人になりました!?) 7

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 足をバタつかせ感じる隆則に、後ろから問いかける。返事なんてできない。首筋に髪を打ち付けて愉悦を逃そうとするのに、早いスパンで下から突き上げられる。

「やっ……また! またいっちゃ……やめてぇぇ」

「何回でも達ってください。隆則さんが仕事できないくらい感じさせるために二人になったんですから」

「そう。でも分裂したら隆則さんに向かう気持ちが少しは減るかと思ったけど、全然でした。何ででしょうね……二人でどれだけ隆則さんの中にいっぱい出せるか、やりますねっ」

 一際大きく腰を打ち付けてきた遥人の欲望が最奥を貫く勢いでその扉を叩いてきた。

「やめっ!」

 こじ開けようとする衝撃に、あっという間に上り詰めて再び絶頂が訪れた。

 続けざまに達かされた隆則は、痙攣が治まらないまま、声を出ず身体を揺らすしかなかった。

「すげー隆則さん。あっという間に俺たち二人のを絞り取ったんですか」

「連続メス達きの締め付け、凄すぎですって。あー、中がうねって絡んでくるからまたすぐに大きくなっちゃいますよ」

「感じてる隆則さん見てるだけで、こっちももう臨戦態勢です」

 弛緩した身体で二人の言葉を遠くに聞く。戦慄く身体はもう何一つ隆則の言うことなど聞きはしない。両足を解放されても、軟体動物のようにベッドに仰向けになった遥人の上に倒れ込む。

 愉悦が深すぎる。

 いつも以上に続けざまに感じさせられて、正気が戻る余裕すらない。どこに自分の手があり、どうやって身体を動かすのかすら忘れ、ひたすら痙攣を繰り返していく。ずっと身体を固定されていたせいか、快楽を逃がすことができなくて、いつもよりも愉悦の深淵を揺蕩い、上昇することができない。

 遠くの水面の輝きが目をチカチカとさせる。瞼を閉じても光の残留が居座って安寧の闇を映し出してくれない。

 こんなの、何度も達かされた後でなければやってこないのに……。

 まだ始まったばかりでこんなに感じてしまったら、この後どうなるのだろう。ブルリと恐怖に背中を震わせた。それを感じていると思った遥人たちは、嬉しそうに四本の手で隆則の肌をまさぐる。隆起した肩甲骨、細いウエスト。筋張ってばかりの太腿にふくらはぎ、すべてを撫で回していく。

 気持ちよくて、吐息を零しては遥人の肌を濡らした。

「さすがに隆則さんをずっと抱えてたら腕が疲れました。次は俺に感じて可愛くなってる隆則さんの顔、見せてください」

 首筋にキスを落としていた後ろの遥人が囁いてくる。

 同じ人間だからか、前にいる遥人も分かっているようで隆則を抱いたまま身体を起こすと、力が抜けた身体をベッドの真ん中に横たえた。

 ずるりと欲望が挿ってくる。

「ぁ……」

 無意識に胸を仰け反らせてしまう。そんな隆則を見下ろす二人の姿が天井を隠す。

「本当、隆則さんは感じやすくて気持ちいいことに弱すぎ」

「これじゃ俺たちの精子を全部絞り取って貰うまで止められそうにないです」

 怖ろしいことを、とても楽しそうに言って大きな抽挿を開始した。

「んんっぁ……ああっ」

 弱い嬌声しか上げられないのに、二人は蕩けた眼差しで見つめてくる。

 視線までも愛してると言われているようで、嬉しさにギュッと内壁で欲望を絞り込んでしまう。

「ぐっ……だから締め付けすぎですって。本当、メス達きした後の隆則さんの中、凶暴すぎる」

「まだ感じたいんですね。隆則さんの好きな体位にしましょうね。大丈夫、手伝いますから」

 自分の好きな体位? それが何か分からないけれど、遥人に上体を起こされ後ろに座った逞しい胸に凭れる。自然と身体は斜めになり、両端は膝立ちになった遥人の足の外側に置かれる。

 繋がったままの遥人も座位に体勢を変える。

 ソファでするときのスタイルだ。

「これじゃ……うごけない……」

「隆則さんは動かなくていいんです。今日は俺たちが感じさせますから。あっ恥ずかしくてまた締め付けてきた……本当に俺を煽るのは天才的ですね」

 前から両手が腰に伸び、揺らされる。

「だ……めっ」

「大丈夫、こっちも寂しくないように可愛がりますから」

 後ろから回った両手が胸の尖りを抓み、動きに合わせて引っ張り始める。

 痛いのに、気持ちいい。

「気持ちよさそうな隆則さんの顔、本当に最高……もっと俺ので気持ちよくなってください。一回達ったから、今度はゆっくり隆則さんの中の良いところ叩いてあげますね」

 擦るのではなく叩くのは、最奥の扉だ。ノックするようにトントン突かれて、何度も背筋を愉悦の痺れが駆け上って脳まで麻痺させようとする。

 だめだ、そこは弱いんだ、すぐに達ってしまう。

 心でどれほど思っても、口からは弱くも甘い音楽ばかりが流れてしまう。

 隆則の身体を知り尽くした手管に、抗えるはずもな。大きく開いて欲望を飲み込んでいる蕾も、気持ちよさにヒクヒクと痙攣を繰り返す下腹も、感じてだらしなくなっている顔も、すべて見られている。四十を過ぎたおじさんを相手だというのに、どうしてだ、二人は何度も「可愛い」と言い「もっと感じて」と促してくる。そして透明な蜜を垂らしたまま絶頂を迎えれば「好きだ」と囁いて身体中に口づけてくる。
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