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番外編
世界で一番君が好き11
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有言実行とばかりに激しく揺すぶられてこんな不安定な体位でも隆則は昂ぶりタラタラと流れ落ちる透明な蜜で根元のリボンを濡らし色を変えさせた。
そして遥人は、本当に隆則が「好き、はるとすきぃ」と啼きながら言うまでずっと絶頂だけで達かせ続け、自分も何度もその心地よい内壁に蜜を吐き出していった。
途中で扉が閉まる音がしたのに気付くが、敢えて無視して。
「どうしたんだ、奏人。お兄さんのところに泊まるって言ってなかったか?」
「……追い出された」
ふざけるなと叫びたいのを必死に堪え、奏人は開けて貰った扉の奥に入ると持っていたボストンバッグを置いた。
到着した途端、手紙で命令されたのが隆則に昼食を摂らせるというミッションだった。それにだって辟易したのだが、そのメニューの内容でまた怒られ、こちらは面接で忙しいのに部屋に閉じこもって仕事をしている隆則に昼食を食べさせなかったことで怒られと精神的に参っていた。
口喧しいで有名な兄が恋人にデロ甘で過保護なのは水谷家の誰もが知ることだが、まさかここまで徹底しているとは思いもしなかった。
もう生活の中心が隆則で、彼のためなら久しぶりに会った弟ですらこき使うのかと怒りしか湧いてこない。
「どうしてまた……」
「イチャつきたいんだろ、しらねーよ!」
乱暴に言い放って、家主を抱きしめた。久しぶりの体温に疲弊した心が凪いでいく。
「最初からここに来りゃいいのに」
奏人だってそうしたかったし、両親にもそう言った。
だがいくら幼馴染みだからといって、東京に兄がいるんだから頼るならそっちだろうと言われ、反対できなかった。
(その家だってにーちゃんのじゃなくて、隆則さんのだろ)
何をどうして両親まで隆則のことを気に入ってるから、そちらに行かせたら安心と思ったのだろうが、兄カップルの家という居心地の悪さは堪ったもんじゃなかった。
慰めるように背中を撫でられギュッと抱きしめる手に力を込める。
最終日に大本命の企業の面接が終わったという開放感を抱いて帰ったら、部屋からおっさんがアンアン啼いてる声が聞こえるし、自分の荷物が綺麗に纏められてダイニングテーブルに置かれてあった。
書き置き一つなかったが兄の意図は嫌でもわかった。
『出て行け』
来たくてきた場所じゃないのにここまで邪険にされる意味がわからない。しかも隆則がいない食卓は口喧しい兄が色々と注文をつけてくるもんだから、胃がキリキリして味が全く分からなかった。自分の前に置かれたのは隆則のために作られた昨日の残り物という腹立たしい内容だし。
「もう死んでもにーちゃんところに泊まらない、絶対に」
「はいはい。大変だったな」
大きな手が背中を撫で落ち着かせようとしてくる。
けれどそんなんじゃ落ち着けるはずもなく。睨み付けるように相手を見れば、すぐに笑って唇を合わせてきた。
「……何ヶ月ぶりだろ、奏人だ」
感嘆する声に、本当に何ヶ月ぶりだろうと考えてしまう。最後にしたのは正月に帰省したときだからもう半年以上触れてないんだと、自分から爪先立ちしてその唇を追いかけてキスをした。
「就職したら一緒に住もうな。……ってかもうカミングアウトしようぜ」
「だめ……お前んちのかーちゃんに申し訳ない」
水谷家はいい。兄弟は多いし、兄がもう男の恋人と一生を添い遂げるんだと宣言して両親も納得しているから。だがこいつは違う。一人っ子だし、母親が孫の顔を楽しみにしているのは近所でも有名だ。とてもじゃないが高校時代から男の恋人がいて、その相手は幼馴染みの自分だと言い出せない。
その苦しさを吐き出すように自分から下半身を寛げて、家主をベッドに押し倒した。
押し倒されているというのにニヤリと笑い、用意周到に置かれたローションの瓶を手に取った。もう慣れ親しんだ身体なのに、性急になってしまうのは久しぶりだから。同時に、ほんの少しだけ兄たちの行為に煽られたから。
指が蕾に伸びてくる。それを促すように熱い吐息を零した。
そして遥人は、本当に隆則が「好き、はるとすきぃ」と啼きながら言うまでずっと絶頂だけで達かせ続け、自分も何度もその心地よい内壁に蜜を吐き出していった。
途中で扉が閉まる音がしたのに気付くが、敢えて無視して。
「どうしたんだ、奏人。お兄さんのところに泊まるって言ってなかったか?」
「……追い出された」
ふざけるなと叫びたいのを必死に堪え、奏人は開けて貰った扉の奥に入ると持っていたボストンバッグを置いた。
到着した途端、手紙で命令されたのが隆則に昼食を摂らせるというミッションだった。それにだって辟易したのだが、そのメニューの内容でまた怒られ、こちらは面接で忙しいのに部屋に閉じこもって仕事をしている隆則に昼食を食べさせなかったことで怒られと精神的に参っていた。
口喧しいで有名な兄が恋人にデロ甘で過保護なのは水谷家の誰もが知ることだが、まさかここまで徹底しているとは思いもしなかった。
もう生活の中心が隆則で、彼のためなら久しぶりに会った弟ですらこき使うのかと怒りしか湧いてこない。
「どうしてまた……」
「イチャつきたいんだろ、しらねーよ!」
乱暴に言い放って、家主を抱きしめた。久しぶりの体温に疲弊した心が凪いでいく。
「最初からここに来りゃいいのに」
奏人だってそうしたかったし、両親にもそう言った。
だがいくら幼馴染みだからといって、東京に兄がいるんだから頼るならそっちだろうと言われ、反対できなかった。
(その家だってにーちゃんのじゃなくて、隆則さんのだろ)
何をどうして両親まで隆則のことを気に入ってるから、そちらに行かせたら安心と思ったのだろうが、兄カップルの家という居心地の悪さは堪ったもんじゃなかった。
慰めるように背中を撫でられギュッと抱きしめる手に力を込める。
最終日に大本命の企業の面接が終わったという開放感を抱いて帰ったら、部屋からおっさんがアンアン啼いてる声が聞こえるし、自分の荷物が綺麗に纏められてダイニングテーブルに置かれてあった。
書き置き一つなかったが兄の意図は嫌でもわかった。
『出て行け』
来たくてきた場所じゃないのにここまで邪険にされる意味がわからない。しかも隆則がいない食卓は口喧しい兄が色々と注文をつけてくるもんだから、胃がキリキリして味が全く分からなかった。自分の前に置かれたのは隆則のために作られた昨日の残り物という腹立たしい内容だし。
「もう死んでもにーちゃんところに泊まらない、絶対に」
「はいはい。大変だったな」
大きな手が背中を撫で落ち着かせようとしてくる。
けれどそんなんじゃ落ち着けるはずもなく。睨み付けるように相手を見れば、すぐに笑って唇を合わせてきた。
「……何ヶ月ぶりだろ、奏人だ」
感嘆する声に、本当に何ヶ月ぶりだろうと考えてしまう。最後にしたのは正月に帰省したときだからもう半年以上触れてないんだと、自分から爪先立ちしてその唇を追いかけてキスをした。
「就職したら一緒に住もうな。……ってかもうカミングアウトしようぜ」
「だめ……お前んちのかーちゃんに申し訳ない」
水谷家はいい。兄弟は多いし、兄がもう男の恋人と一生を添い遂げるんだと宣言して両親も納得しているから。だがこいつは違う。一人っ子だし、母親が孫の顔を楽しみにしているのは近所でも有名だ。とてもじゃないが高校時代から男の恋人がいて、その相手は幼馴染みの自分だと言い出せない。
その苦しさを吐き出すように自分から下半身を寛げて、家主をベッドに押し倒した。
押し倒されているというのにニヤリと笑い、用意周到に置かれたローションの瓶を手に取った。もう慣れ親しんだ身体なのに、性急になってしまうのは久しぶりだから。同時に、ほんの少しだけ兄たちの行為に煽られたから。
指が蕾に伸びてくる。それを促すように熱い吐息を零した。
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