ツイノベ置き場

椎名サクラ

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【お題】「あんたは覚えてないだろうけど」

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「何をなさるんですかっ」

はだけた着物の前を合わせたくとも、両手を吊り上げられては叶わない。解こうと身悶えればさらに合わせは広がり、肌が曝け出される。

だというのに、目の前の座布団に座り手酌をしている身体の逞しい男は楽しそうにこちらを見る。

幼い頃の、自分の後ろをついて回っていた愛らしさはもう微塵も残っていない。

「あんたは覚えてないだろうけど」

クッと猪口を飲み干すと、食膳に置いて膝を立てた。

ニヤリと嗤い視線で肌を撫でる。

「俺の嫁になるって約束だからな、ちゃんと躾けてやらねーとさ」

「私は男だ。嫁になどなるものですか」

だというのに、彼の視線は熱い。幼い自分より仕えている主人がこれほどに熱い眼差しで自分を見るのを目の当たりにして、落ち着きをなくしていく。

ずっと両手を梁から垂らした綱に縛られ膝を浮かせたままの姿勢は辛い。なんとか外せないかと身体を動かしていけばまた嗤われる。

「辛いなら腰を落とせば良い」

「なにを……」

腰が下りる場所には黒光りした張形が据えられ、今か今かと待ち受けている。怖ろしくて、だからこそ逃げ出したいのに、固く結ばれた綱はびくともしない。

「それが飲み込めるようになれば、俺のを挿れてやる。それで晴れて夫婦だ」

「何を愚かなことをっ」

「はっ。ガキの純情を弄んだ罰だ。じっくりと責任取って貰おうか」

ガキの戯言を真に受ける方が大人げないとはなぜに言ってくれないのか。

ゆるぅりと夜が更けていき、二人しかいない部屋での攻防は数日後に甘い啼き声で結果が流れていくのであった。
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