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清野江紀と薬師寺咲那(第11話)
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ーー咲那視点ーー
あたしは、刀身に宿していた魔力を自身の体へと移した。魔法耐性を高めるためだった。相手の魔法球や移動地雷のダメージを少しでも抑えなければ、この弾幕の嵐を乗り越えることはできない。代わりに、エクセリオンの攻撃力は下がるが、それでも致命傷を避けるためにはやむを得ない措置だった。
だが、いくら魔法耐性を高めても、こちらから攻撃しないことにはじり貧となるのは必至だ。結局は攻め込むしかない!
例えて言うなら、火事の現場に水を被って中に飛び込むような感じか・・・?魔法耐性を水に置き換えれば、まさに火事場に突入をかけるようなものだった。
魔法耐性を高めているため、ダメージそのものは先ほどよりは少ない・・・とはいえ、相手は亜人種型だ。その魔力は桁違いである。あくまでも今までに比べれば・・・という話である。1発でも体に当たれば多少なりともこちらの体勢は崩されてしまう。
可能な限り、エクセリオンで弾き返せる魔法球はそうするものの、それ以外のものを完全に回避するのは無理だった。あらゆる方向から野球ボールが飛んできて、それをすべて打ち返すかかわせるかと言ったら、人間の動きではまず無理である。さらに言えば、空中だけでなく、地中にも移動地雷が設置されているのだ。足元にも気を配りつつ対処するには限界があった。
「っつぅ!」
左腕に一発当たった。まさにデッドボール状態だった。さすがに魔法耐性のおかげで腕が折れるとか、そこまではいかないものの、痛みが一瞬、あたしの動きを鈍らせてしまう。
他にも何発かあたしの体のすぐ脇を掠めていく。移動地雷も、あたしの足元に移動し、小爆発を起こした。何とか爆発寸前でかわすが、まともに食らえば本物の地雷と同じで下半身がなくなっていてもおかしくはない。たとえ魔法耐性を高めていたとしても、足にかなりのダメージを負うだろう。
さすがに足をやられると動けなくなってしまう。そうなれば完全にあたしの負けだ。それだけは、なんとしても避けなければならない。
だが・・・。
「はあ!」
ガキィィン!
あたしはすでに、やつの間合いに飛び込んでいた。実は、こいつの近くこそが弾幕から身を守るための安全圏だったりする。剣同士で斬り合い、お互いがほぼ密着状態となっている以上、相手も迂闊に魔法を使えない。距離が近すぎて自分の攻撃の巻き添えを食らう恐れがあるからだ。予想通り、やつはあたしのエクセリオンを剣と化した右腕で受け止めた。
だが、その腕には鏡幕は張り巡らされていない。さすがに、これだけの魔法球やら移動地雷やらを操っているからか、相手も鏡幕を再展開する余裕はなかったようだ。
「さすが亜人種型だけはあるな。魔法球を維持しつつあたしの攻撃を受け止めるとは」
お互いの剣が激しくぶつかり合った状態で、あたしはにぃっと唇を歪めた。ダメージはあるものの、まだまだ余裕はある。もっとも、相手はほぼ無傷に近いのだが、あたしの反撃はここから始まる・・・!
「君こそ、人間風情にしては僕の攻撃をこれだけ食らっていながら、よく攻撃していられると、褒めてあげるよ」
亜人種型にしても、あたしみたいにここまで食い下がるやつは初めてなのだろう。ニヤケ面とは裏腹に、口調にはいささか驚愕や戸惑いの色も混じってた。
こいつも決定打は出せないでいる。まだ、あたしが逆転できる可能性はあるはず・・・。
「これだけ密着されちゃあ、自慢の魔法も簡単には食らわせられねえみたいだな」
さすがに、自身も巻き添えを食らうような形で攻撃を仕掛けるつもりはないのだろう。いくら再生能力があるとはいえ、見た目上は肉体の再生が行われたとしても、内部に蓄積されたダメージまでは回復できないのだ。
ただ、こちらも魔法耐性に魔力の大半を使っているため、エクセリオンの刀身に送る魔力はどうしても減らさざるを得なくなっている。ここで魔法耐性を低めてもいいが、実は逃げ場がないのはあたしも一緒だ。万が一、やつが捨て身の覚悟であたしに魔法球や移動地雷をぶつけてきたとき、まず間違いなくやられてしまう。したがって、防御面を疎かにはできない。
やるとすれば、瞬間的に魔力をエクセリオンに集中させて一気に相手をぶった斬るといったくらいかー。しかし、この小賢しい亜人種型のことだ。おそらくそれを見越した上で攻撃を仕掛けてくるだろう。
やるなら、確実に仕留められる状態でなければだめだ。例えば、魔法耐性を維持しつつ、エクセリオンの魔力を大幅に高められる状況とかだ。残念だが、今はまだその準備が整っていない。
今はー。
亜人種型と斬り合いながら、あたしはその時を待ったー。
あたしは、刀身に宿していた魔力を自身の体へと移した。魔法耐性を高めるためだった。相手の魔法球や移動地雷のダメージを少しでも抑えなければ、この弾幕の嵐を乗り越えることはできない。代わりに、エクセリオンの攻撃力は下がるが、それでも致命傷を避けるためにはやむを得ない措置だった。
だが、いくら魔法耐性を高めても、こちらから攻撃しないことにはじり貧となるのは必至だ。結局は攻め込むしかない!
例えて言うなら、火事の現場に水を被って中に飛び込むような感じか・・・?魔法耐性を水に置き換えれば、まさに火事場に突入をかけるようなものだった。
魔法耐性を高めているため、ダメージそのものは先ほどよりは少ない・・・とはいえ、相手は亜人種型だ。その魔力は桁違いである。あくまでも今までに比べれば・・・という話である。1発でも体に当たれば多少なりともこちらの体勢は崩されてしまう。
可能な限り、エクセリオンで弾き返せる魔法球はそうするものの、それ以外のものを完全に回避するのは無理だった。あらゆる方向から野球ボールが飛んできて、それをすべて打ち返すかかわせるかと言ったら、人間の動きではまず無理である。さらに言えば、空中だけでなく、地中にも移動地雷が設置されているのだ。足元にも気を配りつつ対処するには限界があった。
「っつぅ!」
左腕に一発当たった。まさにデッドボール状態だった。さすがに魔法耐性のおかげで腕が折れるとか、そこまではいかないものの、痛みが一瞬、あたしの動きを鈍らせてしまう。
他にも何発かあたしの体のすぐ脇を掠めていく。移動地雷も、あたしの足元に移動し、小爆発を起こした。何とか爆発寸前でかわすが、まともに食らえば本物の地雷と同じで下半身がなくなっていてもおかしくはない。たとえ魔法耐性を高めていたとしても、足にかなりのダメージを負うだろう。
さすがに足をやられると動けなくなってしまう。そうなれば完全にあたしの負けだ。それだけは、なんとしても避けなければならない。
だが・・・。
「はあ!」
ガキィィン!
あたしはすでに、やつの間合いに飛び込んでいた。実は、こいつの近くこそが弾幕から身を守るための安全圏だったりする。剣同士で斬り合い、お互いがほぼ密着状態となっている以上、相手も迂闊に魔法を使えない。距離が近すぎて自分の攻撃の巻き添えを食らう恐れがあるからだ。予想通り、やつはあたしのエクセリオンを剣と化した右腕で受け止めた。
だが、その腕には鏡幕は張り巡らされていない。さすがに、これだけの魔法球やら移動地雷やらを操っているからか、相手も鏡幕を再展開する余裕はなかったようだ。
「さすが亜人種型だけはあるな。魔法球を維持しつつあたしの攻撃を受け止めるとは」
お互いの剣が激しくぶつかり合った状態で、あたしはにぃっと唇を歪めた。ダメージはあるものの、まだまだ余裕はある。もっとも、相手はほぼ無傷に近いのだが、あたしの反撃はここから始まる・・・!
「君こそ、人間風情にしては僕の攻撃をこれだけ食らっていながら、よく攻撃していられると、褒めてあげるよ」
亜人種型にしても、あたしみたいにここまで食い下がるやつは初めてなのだろう。ニヤケ面とは裏腹に、口調にはいささか驚愕や戸惑いの色も混じってた。
こいつも決定打は出せないでいる。まだ、あたしが逆転できる可能性はあるはず・・・。
「これだけ密着されちゃあ、自慢の魔法も簡単には食らわせられねえみたいだな」
さすがに、自身も巻き添えを食らうような形で攻撃を仕掛けるつもりはないのだろう。いくら再生能力があるとはいえ、見た目上は肉体の再生が行われたとしても、内部に蓄積されたダメージまでは回復できないのだ。
ただ、こちらも魔法耐性に魔力の大半を使っているため、エクセリオンの刀身に送る魔力はどうしても減らさざるを得なくなっている。ここで魔法耐性を低めてもいいが、実は逃げ場がないのはあたしも一緒だ。万が一、やつが捨て身の覚悟であたしに魔法球や移動地雷をぶつけてきたとき、まず間違いなくやられてしまう。したがって、防御面を疎かにはできない。
やるとすれば、瞬間的に魔力をエクセリオンに集中させて一気に相手をぶった斬るといったくらいかー。しかし、この小賢しい亜人種型のことだ。おそらくそれを見越した上で攻撃を仕掛けてくるだろう。
やるなら、確実に仕留められる状態でなければだめだ。例えば、魔法耐性を維持しつつ、エクセリオンの魔力を大幅に高められる状況とかだ。残念だが、今はまだその準備が整っていない。
今はー。
亜人種型と斬り合いながら、あたしはその時を待ったー。
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