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清野江紀と薬師寺咲那(第12話)
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ーー江紀視点ーー
薬師寺は何かを仕掛けたようだった。攻撃しながら「何か」を待っているようでもあった。お互い、決定打を出せないでいる中、もし薬師寺の方が先に出すことができればこの状況は打開できる。
考えられるとすれば、今の彼女の魔力を「一時的に高める」ことができるような、そういった「何か」の要因だ。
薬師寺は、魔法耐性を高めているせいで、エクセリオンの刀身に送る魔力を低減しなくてはならなくなっている。
片や、亜人種型の方も、魔法球や移動地雷を維持し続けているせいで鏡幕を展開できないでいる。
仮に、亜人種型が魔法球を解き、鏡幕再展開のために魔力を使ったとすると、今度は薬師寺が魔法耐性の代わりにエクセリオンの強化を行うだろう。
こうなれば最初の展開と同じになってしまう。もっとも、わずかとはいえ、薬師寺のエクセリオンは相手の鏡幕を砕き、傷つけたので、打ち合いになれば最終的に薬師寺の方に分があるのかもしれないが、しかし、戦いが長引けばその分だけ薬師寺の消耗は激しくなってしまう。
無尽蔵にも等しい亜人種型の魔力に対して、人間である薬師寺の魔力容量には限界があるからだ。
できることなら、それこそ一撃で相手に致命傷を与えられるだけの魔力の供給を得られれば、薬師寺の勝利は見えてくるのだが・・・。
薬師寺と亜人種型との間で激しい剣での応酬は続いている。あの亜人種型の剣術の腕前もなかなかのものだ。ただし、純粋な剣術の技量を比べてみた場合、やはり天元一刀流の使い手でもある薬師寺の方に分があるようにも見える。天元一刀流は刀術だが、それを剣術に応用することは可能だ。
少しずつ、亜人種型を押し始めているようにも見えた薬師寺だったがー。
ふいに、薬師寺は攻撃の手を緩めた。ある程度相手に細かな傷を与えることに成功したのを見て、深追いはまずいと思ったのだろうか・・・。
「へえ」
魔法球や移動地雷を警戒しながらも、薬師寺が感心したような声を上げる。
「蟲けらが、あたしの剣術にここまで食い下がるなんてな」
実際、彼女と対等に渡り合える剣士や侍などそうはいない。オレの知る限りでは、オレ自身と彼女の流派の姉弟子くらいだろう。もちろん、オレの方が腕は上ではあるが、今まで何度か模擬戦をしてみて、何回か薬師寺に1本取られそうになったこともある。
将来的にはオレを上回る可能性も秘めているのだ。
「君こそ、人間の分際でかなり生意気だよ」
自分が剣で押されているのを自覚しているのか、亜人種型が憮然とした感じで返した。
「だが、次でてめえはおしまいだ」
薬師寺がにっと笑みを浮かべ、亜人種型に対して剣を突きつけた。
「そろそろ引導を渡してやるよ、蟲けら」
「それはこちらのセリフだ、人間ごときが」
どうやら、薬師寺の準備が整ったようだ。おそらく、次で決める気なのだろう。
さて、薬師寺はどのような手でこいつを倒すつもりか・・・。
オレは眼下の二人を興味津々で見守り続けたー。
薬師寺は何かを仕掛けたようだった。攻撃しながら「何か」を待っているようでもあった。お互い、決定打を出せないでいる中、もし薬師寺の方が先に出すことができればこの状況は打開できる。
考えられるとすれば、今の彼女の魔力を「一時的に高める」ことができるような、そういった「何か」の要因だ。
薬師寺は、魔法耐性を高めているせいで、エクセリオンの刀身に送る魔力を低減しなくてはならなくなっている。
片や、亜人種型の方も、魔法球や移動地雷を維持し続けているせいで鏡幕を展開できないでいる。
仮に、亜人種型が魔法球を解き、鏡幕再展開のために魔力を使ったとすると、今度は薬師寺が魔法耐性の代わりにエクセリオンの強化を行うだろう。
こうなれば最初の展開と同じになってしまう。もっとも、わずかとはいえ、薬師寺のエクセリオンは相手の鏡幕を砕き、傷つけたので、打ち合いになれば最終的に薬師寺の方に分があるのかもしれないが、しかし、戦いが長引けばその分だけ薬師寺の消耗は激しくなってしまう。
無尽蔵にも等しい亜人種型の魔力に対して、人間である薬師寺の魔力容量には限界があるからだ。
できることなら、それこそ一撃で相手に致命傷を与えられるだけの魔力の供給を得られれば、薬師寺の勝利は見えてくるのだが・・・。
薬師寺と亜人種型との間で激しい剣での応酬は続いている。あの亜人種型の剣術の腕前もなかなかのものだ。ただし、純粋な剣術の技量を比べてみた場合、やはり天元一刀流の使い手でもある薬師寺の方に分があるようにも見える。天元一刀流は刀術だが、それを剣術に応用することは可能だ。
少しずつ、亜人種型を押し始めているようにも見えた薬師寺だったがー。
ふいに、薬師寺は攻撃の手を緩めた。ある程度相手に細かな傷を与えることに成功したのを見て、深追いはまずいと思ったのだろうか・・・。
「へえ」
魔法球や移動地雷を警戒しながらも、薬師寺が感心したような声を上げる。
「蟲けらが、あたしの剣術にここまで食い下がるなんてな」
実際、彼女と対等に渡り合える剣士や侍などそうはいない。オレの知る限りでは、オレ自身と彼女の流派の姉弟子くらいだろう。もちろん、オレの方が腕は上ではあるが、今まで何度か模擬戦をしてみて、何回か薬師寺に1本取られそうになったこともある。
将来的にはオレを上回る可能性も秘めているのだ。
「君こそ、人間の分際でかなり生意気だよ」
自分が剣で押されているのを自覚しているのか、亜人種型が憮然とした感じで返した。
「だが、次でてめえはおしまいだ」
薬師寺がにっと笑みを浮かべ、亜人種型に対して剣を突きつけた。
「そろそろ引導を渡してやるよ、蟲けら」
「それはこちらのセリフだ、人間ごときが」
どうやら、薬師寺の準備が整ったようだ。おそらく、次で決める気なのだろう。
さて、薬師寺はどのような手でこいつを倒すつもりか・・・。
オレは眼下の二人を興味津々で見守り続けたー。
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