テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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吾妻晶と清野早苗(第14話)

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ーー晶視点ーー

 たかが、巾着袋から酒を取り出すのが「召喚魔法」と言ってのける(そりゃあ、どっかから「召喚」はしているのだろうが・・・)この「ブサニャンコもどき」を真面目に相手にするのもだんだん馬鹿らしくなってきた・・・。

 清野はとにかくこいつのことが気に入ったようで、いまだにだっこしながらこいつの喉元をゴロゴロしている。

「しかし、お前そんなのでよく今まで生き延びてこられたな」

 完全に呆れ果てた口調で言った。

「いやあ、それほどでもありませんニャー」

「って、褒めてねえし!!」

 その上、勘違いも甚だしいとくれば、もはや救いようがない・・・。

「ねえねえ、ミケさん。他にどんなことができるの?」

 清野がミケさんの頭をナデナデしながら尋ねた。本当にお気に入りなのか、ミケさんを抱きかかえたまま離そうとはしない。

 そして、そんな清野にべったりな状態なミケさんであった・・・って、慣れ慣れしくするんじゃねえ!!

 なんとも厚かましいやつである。

「そうですニャー、そのほかは「変化ニョ術」が使えますニャー」

「そうなんだ、ミケさん、やって見せてよ」

 齢を重ねた猫は化け猫となり、「変化の術」を使えるという話は聞いたことがある・・・が!

 オレは、もはやこいつには全く期待していない。まあ、どうせ「召喚魔法」の時と似たようなものだと思うが。

「ふふふ、吾輩ニョ変化ニョ術を解くとみるがよろしニャ!」

 ミケさんは清野の腕からシュタっと地面に着地・・・すればかっこよかったのだが、やはりこの体形では無理があったのか、ドスンと落下してしまった。

 痛そうに腰をさすりながら何とか起き上がるミケさんであった。

 ・・・こいつは本当に、オレたちよりも長生きしているのだろうか・・・?

野良ニョら変化!」

 ミケさんは、二足歩行から突然四つん這いになると、トテトテと、歩き出しだ。そして・・・、

「ウニャーン」

 ・・・いったい、何をやっているのか、こいつは。

「こニョ見事な野良ニョらっぷり!!」

 糸目がキラーンと光ったように見えたのは・・・まあ多分気のせいだろう。

 まあ、大体こんなことだろうとは思ったが、要するにこの「ブサニャンコもどき」にとっては二本足ではなく四本足で歩くのを「野良猫変化」だということなのだろう。

 オレは、おもむろにミケさんに近寄ると、

「ほほう、それがおのれの「変化の術」なんかい!」

 再びミケさんのこめかみをぐりぐりした。

「ウニャー!暴力反対ですニャー」

 ・・・いろいろと試してみた結果、分かったことは、こいつは確かに人に害をなす「害蟲」ではない。ただし、人に好影響を与える「益蟲」かといわれると、それも自信がない。オレの結論から言えば、こいつは単なる「穀潰し」であるー。
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