テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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スライ蟲退治(第8話)

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 こうして、栗みたいな大型の蟲との戦いが始まったーとはいえ、相手のランクが低いため、3人にとっては楽勝の相手だった。

 栗らしく、棘を突き出して攻撃してきたものの、それらはすべて魔女モリガンが張り巡らせた障壁により、晶たちに届く前に弾かれた。もっとも、仮に棘を食らったとしても、この程度では魔力の防御力を高めておけば全くダメージを受けることもない。

 晶の一刀のもとに、栗型の大型蟲は真っ二つにされた。図体に似合わず、意外とあっけないやつである・・・。

「これでこいつは駆除したな。あとは、穴を掘り進めているやつだが・・・魔力の波動を感じないことから、本当に蟲かどうかすら疑わしいな」

「使い魔にもかなり探らせておるんじゃがのう。まだ先が見えん・・・」

 どうやら、まだモリガンの使い魔は穴の最奥までたどり着けないようだ。

「まあ、蟲ばかりというわけでもないからのう、こんな芸当ができそうなやつは。今のところは待つしか・・・って、おい!」

 モリガンが急に焦り出した。何事か、と晶は眉をひそめる。

「どうしたんだ、何か見つけたのか」

「いや、あれを・・・さっき倒した栗を見るのじゃ」

「?」

 晶は、自らの背後で真っ二つになった・・・はずの蟲の方を改めて確認する。すると・・・、

「こいつは・・・!!」

 なんと、さっき倒したはずの栗の中から、今度は違う蟲が出てきた。さらには、相手の魔力の波動のレベルが格段に上がっている。明らかに、さっきまでとは段違いの相手だ。

 その見た目はでかいアメーバだった・・・これは、スライ蟲の巨大化バージョンか。さらには・・・頭・・・というか、体の上部になぜか冠が・・・。

「おお、これぞキ〇グスライ蟲ニャ!」

 なぜかミケさんが興奮しながら叫んだ。

「ワーワー!」

 またもや早苗が普段の時とはかけ離れた敏捷さでミケさんのもとに向かうと、

「駄目だよ、ミケさん!それは絶対に喋っちゃ!」

「ウニャー」

 ・・・ミケさんは、またもや何かの禁忌タブーに触れてしまったのだろうか・・・晶には、なぜ早苗がここまで必死なのかよくわからなかった・・・が、あの普段おっとりした早苗が、これほどまでに変貌するくらいのものだ。きっと、には、計り知れない何かがあるのだろう。

 よくわからないが、とにかく気を付けた方がよさそうだ・・・いろいろな意味で。

「ええい、わけのわからんことで揉めとる場合ではないぞ、おぬしら」

 モリガンが、珍しく緊張した面持ちで叫んだ。いつも余裕綽綽のモリガンからは考えられない表情である。

「こやつ、ふざけた外見じゃが、さっきまでとは別格じゃ。気を抜いていたらすぐにやられるぞ」

 確かに、モリガンの言うとおりだ。さっきまでとは比較にすらならない魔力の波動を放っている。

「そりゃあ、8匹も合体すればそうニャるニョは当たり前ニャ」

「だからダメだって、ミケさん」

 早苗は、多分別な意味で必死なのだろう。よほど根深い問題があるに違いないが、今はとりあえず、突如出現した
この・・・なんだかアメーバにでかい冠を乗っけたようなスライ蟲に集中すべきだ。

「まあ、でてきたものはしょうがない、みんな、とにかく何とか切り抜けるぞ!」

 こうして、第2ラウンドが開始されたー。
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