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毒舌ニャンドラゴラをなんとかしろ(第1話)

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 その時、「こと」は起こったー。
 
「おうおう、人のことで何を騒いでんだ、おめえら」

 突然、煙だらけのアトリエから現れた毒舌ニャンドラゴラが、こちらに語りかけてきたのだ。

「まったく、こんなちんけなぼろ小屋からようやく出られたかと思えば、その先でガキとニャンコと出くわすとはな」

 ・・・なんだか、こいつ・・・。

「ち、ちんけなぼろ小屋じゃと!」

 当然ながら、モリガンが怒りをあらわにする。まあ、自分の家を馬鹿にされたわけだから、それは仕方がないが・・・。

「ミケさんよ、こいつ口悪いのな」

「そりゃあ、当然ですニャー。ニャにせ、「毒舌家」ですからニャー」

「うーん、見た目は可愛いのになぁ」

 早苗が言う通り、見た目だけなら、むしろ本物のマンドラゴラよりも可愛い。まず間違いなく、年頃の女子に大うけするタイプではある・・・が!

「何だ、このボブ扇は?人のこと勝手に言ってんじゃねえ」

「ぼ、ボブ扇?」

 いきなりショッキングな言い方をされて、早苗の動きが固まった。ちなみに、早苗の髪型はボブカットで、しかも、一応の時に備えて鉄扇を用意していた。したがって・・・。

「ボブ扇・・・」

 間違いではないが、可愛い外見のやつに言われて、地味にショックを受けたという感じだった。

「そして、そこの女顔!」

「何だと!」

 いきなり、気にしていることを言われて、さすがの晶もカチンと来たようだ。よく言えば美少年ということなのだろうが、本人からすれば男らしくないように思えて、結構気にしていることなのである。

「何だ、笛なんか持ち出して、大道芸でもやるつもりか」

「てめえ、いい加減にしやがれ!」

 なんでこんなわけのわからんやつに侮辱されなければならんのか。

「やれやれ、若人達はすぐにカッとニャりやすいですニャー」

 そんな中、ミケさんだけがどこ吹く風で、呑気にビールをあおっている。すると・・・。

「そこの不細工な糸目ニャンコ!」

「ニャ!?」

 突然、自分に話を振られて、戸惑いを見せるミケさん。

「てめえもオレを呼び出した関係者だろうが!何を無関係を装ってやがる」

「まあ、それはオレも同意だな」

「晶に同じく、わしも同意じゃ」

 晶とモリガンに追い打ちをかけられ、さすがのミケさんも汗だらだら状態である。

「我輩も関係者ニャニョか・・・?」

「第一、そのメタボな体形は何だよ、この糸目ニャンコ!その状態で、よく今まで生きてこられたな!」

「ああ、それはオレも同意だ・・・」

「まったくもって同意じゃな」

 今度もまた、晶とモリガンに追い打ちをかけられてしまった・・・。

 ちなみに、早苗はボブ扇呼ばわりされたのがまだ効いているらしく、いまだに「ボブ扇、ボブ扇・・・」とただ一人で呪文のように繰り返している・・・。

「ニャんと、こニョ毒舌ニャンドラゴラは晶とモリガンをせんニョーしてしまったニョか!?」

 ミケさんが、多少オーバーアクション気味に叫んだ。

「いや、お前の日頃の行いの結果だと思うぞ」

 晶が即座に突っ込むが、もはやそこにいるのは、うなだれたミケさんの姿しかなかったー。
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