テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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毒舌ニャンドラゴラをなんとかしろ(第2話)

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 その後も、毒舌ニャンドラゴラは「毒を吐き」続けたー。

「・・・こいつは・・・」

「晶、わしはもう限界じゃ」

 毒舌ニャンドラゴラ・・・毒舌というのは、歯に衣着せぬ発言を言うが、こいつの場合は、「単にデリカシーがない」というだけの話だった。

 さらには、素材に使われた毒キノコパワーによって、より質の悪いものとなっていたりする・・・まあ、「毒」の性質や意味合いは全く異なっているような気がするが・・・。

「ぶっ飛ばしてもええかのう?晶」

「まあ、止める気も起こらん。この際だから、一緒にやるか、モリガン」

「我輩も止めるつもりはありませんニャー」

 珍しく、ミケさんも腹が立ったのか、晶とモリガンに同意した・・・もっとも、ミケさん自身は戦うことができないので、結局できることは何もないのだが・・・。

 唯一、早苗だけが、まだ何かぶつぶつ言っている。「ボブ扇」と言われただけでなく、やはり様々な「毒舌攻撃」を受けて、相当ショックだったようだ・・・。

 早苗は、この際そっとしておいた方がいいかもしれない・・・。

「よし、それじゃあ、思い切って片付けるか」

「当たり前じゃ!!」

「やるニョだ、二人とも」

 ーここから先は、一方的な二人によるリンチ状態となった。基本的にこいつは戦闘能力を持っていないようなので、もはやバトルと呼べるような代物ではなかったー。

「ぎゃふん」

 毒舌ニャンドラゴラが、早苗の足元までぶっ飛ばされてきた。そして、これ幸いにと、早苗に対して助けを求めた。

「おお、ボブ扇のお姉さん。なあ、助けてくれよ。あんた、優しそうだし何とかしてくれ」

 ・・・あれだけさんざん他人を馬鹿にしたような発言をしてきたというのに、なんとも打たれ弱いやつである。

「うーん」

 早苗は、そんな毒舌ニャンドラゴラを一目見て、それからにっこりと満面の笑みを浮かべながら、

「ここで私に扇で100回叩かれるのと、地中深くに埋められるのと、どっちがいいかな?」

 ・・・ヒュ~。

 なんとも言えない寒々しい風が辺りを吹き抜けていく。

 そして、晶もモリガンも、そしてミケさんですら、今の早苗の姿に、背筋が寒くなるのを感じた。

「ちょうど、近くに大きな穴があったよねぇ。その穴の中なら君も居心地がいいかな?ただし、誰にも引っこ抜かれないように、何かの入れ物に詰めて埋めてあげるね」

 早苗の笑顔は変わらない・・・が、逆にその笑顔が却って怖い。そして、「二度と」という言葉に、やけに力が入っていた気が・・・する。さらには・・・目もなんだか危険な光を放っているような・・・。

 モリガンは、たまに和泉鏡香の背後に般若の面を見ることがあるが(イメージではあるのだが)、なんというか、今の早苗はその状態に近いものを感じる・・・。

「それとも、やっぱり扇100叩きかなぁ?これ鉄扇だし、よ?」

 そういって、自らの鉄扇を毒舌ニャンドラゴラに対して示す早苗。毒舌ニャンドラゴラが言葉にならない悲鳴を上げた。

「のう、晶。早苗ってもしかして・・・?」

 モリガンがたじたじになって晶に確認しようとする。

「ああ、あんまり深く考えない方がいいと思うぞ、モリガン。世の中には知らない方がいいこともあるんだ」

 普段優しそうな女性が怒った時ほど、恐ろしいものはないという話がある。

「鏡香さんといい、清野といい、うちのチームの女性陣は怒らせるととてもやばいからな・・・まだしも咲那ねえの方が常識人に思えてくるぞ」

 まあ、逆に姉御肌で気さくな薬師寺咲那であれば、ある程度怒りの方向性とかもわかりやすく、それゆえまだ理解できるのだが・・・。

「まあ、この一件については、あいつの自業自得としか言いようがない・・・せめて安らかに眠ってくれ」

「・・・そうじゃな」

「哀れニャやつニャ・・・」

 晶は、毒舌ニャンドラゴラに対して合掌した。モリガンとミケさんもそれに倣う。

 ついさっきまでリンチ状態にしていた晶たちであったが、それすらも忘れたかのように、心底毒舌ニャンドラゴラに同情した晶たちであったー。



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